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フットウエア・プレス  2003・3
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イタリア通信  フィレンツェ在住 通信員 大谷聡美
フィレンツェのオーダー靴職人  ロベルト・ウゴリーニ(Roberto Ugolini)さん

世界に顧客を持ち、
細かい注文にも応じる若手職人

 弱冠33歳のロベルト・ウゴリーニさんは、おじいさんが靴職人、お父さんが靴修理工と代々、靴に関わる家系です。ロベルトさんも靴修理工を経験した後、職人から靴づくりを学び、7年前にフィレンツェにオーダー靴の工房を構えました。
 工房を構えたら靴職人になりたいという日本人が後を絶たず、現在も2人の日本人の職人がおり、すでに2人の靴職人が独立しています。

靴職人になりたい日本人


軽快な音楽の中で作業をするロベルト氏
 「たくさんの若い人が、靴職人になりたいと訪ねてきます。中でも日本人はとても強い情熱を持っており、非常にまじめで熱心に働いてくれます」とロベルトさんは話す。
彼らはロベルトさんの片腕となり、今いる日本人は2人とも十分靴が作れる技術レベルになっているという。

 作りはグッドイヤー、ノルベジェーゼという手の込んだものから接着まであらゆる製法が可能で、お客さんが希望する製法で対応している。基本の木型が5タイプ、それぞれに15〜16のデサインモデルがあり、細かな注文に応じてデザインや木型のラインを変えていきます。
クライアントは半数以上が日本人、他はアメリカ人、ドイツ人など。イタリア人にとってオーダー靴は高くてなかなか買えないようで、そう多くはありません。
 日本人と他の国のクライアントの好みについ、ロベルトさんはこう語っています。
「日本人のほとんどが、オックスフォードのストレートチップをオーダーし、色は絶対的に黒か濃茶。アメリカ人などは鮮やかなブルーや赤、カラーコンビを好みます」。
  
人がやっと通れるほどの工房内 デザインを自由にアレンジできる
  

木型が並んだ壁の裏に工房がある
注文靴が750ユーロで

ロベルトさんは定期的に日本にも来ており、旅行の途中のフィレンツェでオーダーすれば、その後のフィッティング調整などを日本でも行えるようです。
 革は直接タンナーやグロッシスタ(革問屋)から購入。小さな規模の靴メーカーでもロットに関係なく同じ条件で良質な革が手に入るといいます。
 年間で100足を生産し、750ユーロ(8万6000円)前後という価格は、オーダーにしては良心的な値付けですが、「自分の実力に相応した値付け」とロベルトさんは語っています。

Roberto Ugolini
Via Michelozzi,17r
50125 Firenze
Tel.055 216246