今月の記事 ピックアップ  2003.8
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2003年秋冬バッグトレンド ジャスミック 川崎智枝
この春夏はやはり、カゴに代表される季節商材が不調。来シーズンも持てるような安心感のあるシンプル&ベーシックタイプ、または「私だけ」という欲求を満たす凝った一点もの感覚の商品が人気だった。この傾向は今後もしばらく続き、特にセミオーダーやオンリーワン商材にはまだ伸びる芽が隠されている。
全体傾向

●辛口、トラッド、ソフト感
レディスでは大きなテーマとして上の三つが挙げられる。フリルや花柄などを多用した少女っぽさから一歩脱却した、大人も持てるすっきりした「辛口テイスト」の取り入れ。あまりマニッシュに振りすぎず、ソフト感や素材の面白さなどで女性らしい提案をすることもポイント。トラッド傾向は秋冬の定番だが、今年は柄・素材・ディテールなどでさり気なく取り入れる。千鳥格子などモノトーンプリントが一押しに。
 
●スロー&シック
 SARS騒ぎに振り回されながらも、結果的にモノ作りにおいて「Made in Japan」を見直す好機になったことは興味深い。今後客層がますます二極化へと進む中で、低価格vs高価格との格差がより明確化していく。MDを高品質へとフォーカスする際には、肩肘を張らない「スロー&シック」の切り口がポイントになりそう。

素材傾向

●さまざまな光沢感
前シーズンから継続・拡大する光沢系。春のスパンコールやラメなどのキラキラ系から、ブロンズ、メタリック、パール調、コーティング、ナイロン、艶スムースなどマット感が目立つ。フォルムはソフトでシンプルでもツヤ感でさりげなくエレガント表現。

●トラッド素材
 特にざっくりしたツイード関係は各メーカーで提案。ネップに金属糸を織り込んだりファーとコンビにするなどの一手間加えたアレンジがポイント。他にもコーデュロイ、ベルベット、キルティングなどのトラッド素材も人気が高い。ジャカード織り、モノグラムなどトラディショナルな定番素材もオリジナル性を打ち出し易いこともあり今秋も継続
 
●ファー傾向
ファーといえば従来はラビットが主流だが、今年は変わりダネの雰囲気がポイント。ラビットでもヒョウ柄やゼブラ柄を施す、カラフルに染めるバリエーションが登場。また縮れ毛のモンゴリアンラム、ミンク、ラクーン(アライグマ)、毛足の長いフォックスなどを部分使いして全体のアクセントにしているものも。ハラコのパッチワークも登場している

●レザー系はソフト感とゴージャスな型押し
 革ものは広い客層へと浸透し、カジュアルで軽い風合いのアイテムは依然根強い。今秋はタンニン鞣しのナチュラル系バリエが拡大、ソフト化も加速。ナッパ調、シボ加工、ソフトベロアなど柔らかいタッチの素材感が新しい。
 また新傾向として、クロコダイルやパイソンなどハ虫類の型押しも今年らしい。エレガンス系やマニッシュのゴージャス表現にはぴったり

カラー傾向

●モノトーン系浮上
初秋の店頭に欠かせないのがモノトーン系プリント。千鳥格子やグレンチェックなどコンサバ系プリント、またゼブラやダルメシアンなどのモノトーンアニマル系も久々に新鮮。バッグ自体を黒×白のモノトーンでまとめたカラーリングもあり。

●白、ベージュ、グレー
 秋冬の基本カラーは黒、茶、キャメルが中心となるが、例年秋物が前倒しで展開されることもあり、秋と言えど白やベージュなどの淡いトーンが欠かせなくなった。クラック加工やペール調のくすんだ色合いもポイント。モノトーン傾向を受けグレーも注目カラーに

●差し色としてイエロー、オレンジ、ピンク
 コレという明確な提案色が見えにくいシーズンだが、マスタードに近いイエロー、スポーティなオレンジ、様々なトーンで出現するピンクが、比較的アイキャッチになるカラーとして浮上する。これらのブライトカラーを黒や白と共にコンビで展開するのも○


シェイプ・ディテール傾向

●一本手の流れ
 ショルダーは前シーズンから引き続き好調。ただ小さめの斜め掛けポシェットは減り、クロワッサン型、セミショルダー、一本手の手提げタイプにシフトしてきた。二本手トートでもソフト感や手紐の工夫でショルダー風に見せる工夫も。従来の四角いカッチリしたトート型は落ちついている。丸みと柔らかさがポイント

●「背負い」フォルム
ヤングカジュアルでは男女共にワンショルダー、リュック、ボンサックなど、背負うタイプの形状が注目されている。関西のストリートからこの傾向が拡大し、街では新しいリュックの流れが生まれている。大人の客層にも革ゾッキでオンシーンでも対応できるボンサックが浮上中。久々の新鮮な形を秋にプッシュしたい

●柔らかさを生かすフォルム
クタ感を表現したソフトなディテールも今年は多い。トートの口折れや中折れ、シャーリング、紐絞りによる伸び縮み、結び・つまみ・ねじりテクニックなど素材の柔らかさを引き出したディテールが新鮮。

●大ぶり金具やハードディテール
 マスキュリンの流れもあって、ややハードなディテールが受けている。大きなリング使い、スタッズ、鳩目、チェーン、アンティーク調の金具など、デザインポイントになる辛口ディテールに注目。他にも



秋の売場のポイント

●ディスプレイの工夫
 バッグだけでなく、MDの中に小物や雑貨を取り入れるのは良く見られるようになってきた。それだけでなく中古やアンティークのファニチャー(家具)を導入した売場作りもアパレル等から始まっている。家具では大掛かりなので、レンガや木材などを什器に見たててもユニーク

●「大人メンズ」の復活
長らく低迷中のメンズ市場。ストリート系のヤング達はこのところ服にお金をかけない。対して、団塊Jr.を中心とする30代以上は、意外とオンシーンでもおしゃれ。20代に比べ彼らはバブル期でのファッションを経験している。ファッション費がまだ高いこのゾーンは、高品質とクラス感をアピールすれば開拓の余地はある。各メーカーは「大人の男」に向けたカジュアル&ビジネスを提案し始めた。レディス系のメーカーでもユニセックスに力を入れた所も。



「アンチフォルムデザイン」(井野屋)

「ピンキー&ダイアン」(ヤマニ)

「シーソー」(マロード)

「カナナラ」(井野屋)

「バルドロゼ」(レガロ)

「ニュートラルグレイ」(高屋)

「ボーデッサン」(ボーデッサン)

「カナナラ」(井野屋)

「アンジュール・アンサック」(ヤマニ)

「ナチュラルビューティ」(ヤマニ)

「シーソー」(マロード)

「アンチフォルムデザイン」(井野屋)

「ボーデッサン」(ボーデッサン)

「ボーデッサン」(ボーデッサン)

「バルドロゼ」(レガロ)

「マフィアデザイン」(レガロ)

「ピンキー&ダイアン」(ヤマニ)