今月の記事 ピックアップ   2003.9
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「アポイス」(東京・中野区)

ウインドーは午前1時まで明かりをつける
元デザイナーの「普段使えて、ちょっとおしゃれ」なミニブティック
店内にボディは2体。「うまいコーディネイトの際には、
飛びつきも早い」

今年の年賀状
 新宿方面から西武新宿線で15分の野方駅。「アポイス」は下町の雰囲気漂う駅前商店街を3分ほど歩いた場所にある。周辺の昔ながらの店構えとは趣の違った、モダンな外観である。 
オープンは98年9月1日。オーナーの小川圭子さんは、バッグメーカー・問屋でデザイナーとして約30年間のキャリアを積んできた人で、野方生まれの野方育ち。
一緒に仕事をしてきた仲間達が独立していく姿に刺激を受けて、またデザイナーとしてやり終えたという達成感もあって、バッグ店をオープンすることに。
当初は地元での開業予定ではなかったが、タイミング良く物件が見つかり、準備期間2〜3年を見こんでいたところ、わずか2ヵ月でのオープンとなった。
「周辺に個人商店が多いので気負わずにやれるかなと思って」と小川さん。
店名はフランス語の「apois」を片かな読みしたもので、“小さな中にものがいっぱいある”という意味。「いろいろなものが可愛くそろうお店にしたいなと思って付けました」。(小川さん)

●国産の革ものを中心に。でも流行は追わない
総面積は10坪(売場面積7坪。他は試着室と事務室)。バッグ6割、洋服・靴・アクセサリーなどの雑貨類が4割という商品構成。
普段用途を基本に、ちょっとしたお出かけにも使えるカジュアルでおしゃれ感のある、そんなアイテムがそろう。
バッグの仕入先は約15社。クリーム、ドアン、フジヤなど国産がほとんど。革ものを中心に、在庫は店頭の約60点。一部、インポートもあるが良いものがあれば扱うという程度。
「商店街立地で、例えば卵を買うついでに立ち寄る、といった感覚ですので、あまり高いものは置かないようにしています」(小川さん)。

小川圭子オーナー
店の奥に設けられた洋服コーナー。
全身を映す大きな鏡は欠かせない
価格帯は9800〜4万円、中心価格帯は1万6000円ほど。
お客は地元のミセス層が中心だが、20代後半から70、80代と幅広い。バッグが好きでたくさん持っている人、買いなれている人が多い。 
「お客さんを見ていると、自分好みのものを一瞬で選べる、買い物のプロだ、と感じます。それに『これはイタリアのカーフ素材です』といった説明をしなくても、良さをわかっている」(小川さん)。
そんなお客がメインとなるため、流行ものは扱わない。仕入れても売れないと言い切る。
また、商店街立地なので、“一点もの”にも気を使う。「スーパーに行くとみんなお宅の財布を持っている」と言われることもあるというから、地元での人気はかなりのもの。
●オープン記念日にはオリジナルのミニバッグをプレゼント

洋服や雑貨類の取り扱いは、さりげないおしゃれバッグとコーディネイトで楽しむといった店の方針をわかりやすく打ち出すためのものでもある。
洋服は試着室も用意し、サイズの直しにも対応する(知り合いの業者に依頼)。中心価格帯はスカートで1万4000円、カットソーで9000円ほど。靴については、「メルフォード」のみだが、今後増やしていく予定だ。
 オープン時より、チラシは配らず口コミで広がってきた。購入時には顧客カードを記入し、「最低でも年2回は必ず出す」という手作りのDMのリストが現在700人。その他、Eメールのやり取りを行なっている。「パソコンをなさっている奥様方も多く、頻繁にやり取りを行なっています」(小川さん)。
 オープン記念日には毎年、デザイナー時代の経験を生かして企画したオリジナルのミニバッグをプレゼントする。コレクションしているファンもいるそうだ。昨年は花柄のポーチを用意し、持っている人を町で見かけたことも。
 「まだまだわからないことも多く、のんきにやっている」と笑うが、今年の売上げは毎月前年対比10〜15%増で推移しており、着実に成長している。
 この9月には4年目を迎え、品ぞろえのパターンが固定してきた。今後はエレガンス性を高めていきたいと話す。

アクセサリー・小物類


観葉植物を意識的に使う

財布・革小物の「アイソラ」。同社のHPを見ての来店も多い。
また、小川オーナーがネット販売を担当している
▽アポイス
東京都中野区野方5‐33‐7
TEL:03‐3337‐9813