今月の記事 ピックアップ    2003.9
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シリーズ13
カルツェリア・ホソノ青山本店(東京・港区) 

工房のある売場でオリジナルを展開。7人の職人が接客を行う
「カルツェリア・ホソノ」外観

レジの奥と左手に工房がある
カルツェリア・ホソノ青山本店は、靴の製造から販売までを行う轄ラ野(東京・港区、細野勝社長)の直営店。同社のPB「カルツェリア・ホソノ」はFC6店舗を含め、全国23店で扱われている。細野社長は業界外でも有名で「徹子の部屋」(テレビ朝日系)などテレビ出演も多数ある。
店では婦人靴はじめ、サンダルやメンズなどをすべてオリジナルで展開。シューズ以外にはインポートのインドアや5本指靴下、ケア用品なども販売する。PBの中心上代は2万円前後。
本店は表参道交差点にほど近い一等地。開店して25年になるが、その10年前より、現在地の近隣でオーダーショップとしてスタートしている。本店は約70坪の売場と工房のから成り、店の横にはフットケアルームも併設する。
 客層は30〜50代が中心で9割が女性。女性は外反母趾や靴が合わないことに悩むお客が多く、男性はオーダーが多い。2階の店なので、路面店と比べ目的意識を持ったお客が主に来店するという。口コミも多い。
関東圏以外から来店するお客も増えている。この背景には同店が雑誌でよく紹介されることや、近年、インターネット上で靴に悩む女性のためのホームページが各種開設され、盛んな情報交換が行われていることなどがあるだろう。足に合う靴を求める女性は遠方に出向くこともいとわないようだ。

7種類のウイズ展開と外反母趾を防ぐ木型

黒を基調とした店内には壁一面に靴が整然と、ウイズサイズごとに並んでいる。婦人靴は独自規格でのウイズとなっており、AAからFまで7種類もそろう(CがJIS規格の3Eに相当)。
「ウイズを合わせることは非常に大切ですが、市販のウイズバリエーションではとても対応しきれません。ですから足のトラブルは細身の足に多いのです」。と細野太郎専務。サイズは20.5cmから26.5cmまで作っている。
 木型も独自の形状。親指の外反を防ぐため、内側(親指側)をカーブの少ない直線的なラインにしている。はき心地を追求しているが、「いわゆるコンフォートとしてではなく、あくまで、はきよいエレガントな靴として作っています。要所を押さえれば、デザインとはき心地は両立できます」という。
実際、同社の婦人靴は幅広の足は細く、幅狭の足は大きめに見える。それぞれのお客が気にしている点をカバーするよう工夫を施しているのだ。
本店スタッフのうち職人が7人で、職人は皆販売も兼ねる。販売職で入社した人も職人の仕事を手伝う。接客は職人にとって勉強になる、と細野さん。お客の足と要望、悩みなどにじかに触れることができるからだ。
フィッティングは、初来店のお客の場合、オリジナル計測器で足を計る。ウイズが独自規格のため、測定は欠かせない。工房には自社開発の「シューズアジャスター」もある。アッパーを数分で部分的に伸ばすなど、微調整の要望にも素早く対応できる。

黒を基調としたスタイリッシュな店内
顧客の誕生月に発送するDMのハガキ オリジナルの木型。内側は親指をまっすぐに伸ばすための直線的なライン
顧客の木型が店内にずらりと吊るしてある。このほか工房にも多数


2万人の顧客の誕生月に割引DMを郵送

人気商品はヒール5cmくらいのラウンドトウ。「カルツェリア・ホソノ」
専務の細野太郎さん。自らもオーダー靴を製作する
(株)細野の年商は約2億円、内訳は本店の売上高が半分、残り半分が卸売上げとなる。本店での売上構成比は既製品のPBで80%以上、オーダーは10%、小物は5%以下。「最近は複数買いのお客様が減りましたが、固定客が多いので売上げは安定しています」。周囲には高額インポートを扱うショップが多いが、客層が異なるため競合にはなっていないという。
顧客リストには2万人が名を連ねる。それをもとに顧客の誕生月にDMのハガキを発送、持参すると10〜20%引で商品を購入できるようにしている。回収率は約5%。
「今後も“お客様の足を守る”というコンセプトでやっていきたい」と細野専務。最近では「シューズアジャスター」の業界向け販売や電話による「足の悩み相談室」開設、フットケアルームと共同開発したサンダル「桐ツボ」などを打ち出し、新たな取り組みも行っている。
▽カルツェリア・ホソノ=東京都港区南青山5−1−2 青山エリービル2F
TEL(03)3409−9425
http://www.hosono.co.jp