今月の記事 ピックアップ   2004.1
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AUTUMN & WINTER 2004 / 05
LINEAPELLE  04-05AWマテリアル・トレンド

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伊・フィレンツェ在住 大谷聡美 Satomi OTANI

引き続き豊富な複合加工レザー流れはクラシックな方向へ


今回は茶系のレザーが中心

会場内では中国企業との
ミーティング光景も
今回のリネアペッレは、通常の日程より1週間ほど早い10月末に行われた。日本では春夏商品の展示会時期で展示会行きを中止したところもあったようだが、日本人の来場者はいつもながら多く、さらに今回は中国人の姿を多く見かけた。逆にドイツ人の来場者が少なかったという出展者の声があり、業界の状況を象徴しているようだった。
 イタリア・タンナーの産地であるサンタクローチェの状況は相変わらず良くないが、今回も複合加工レザーが豊富に提案されており、質で勝負できないような原皮にどう付加価値をつけるかという試行錯誤の後がうかがえた。

Leather Trend

Color
主力は茶、ダークトーンでクラシックな雰囲気に

 前回の秋冬展も茶系のバリエーションは提案されていたが、今回はさらに茶系の革が増えている。砂のようなサンド・ベージュや緑がかったオリーブ・ブラウン、栗色、濃厚なこげ茶とバリエーションがさらに広がっている。
そして茶系と相性が良い深みのあるグリーン、グレーブルー、ボルドーをベースとしたレザーにさらに手を加え、表情豊かな色合いに仕上げたものが目に付く。
全体的に色合いはマット(つや消し)になっており、ここ数シーズン続いたゴールド・シルバーにブロンズが加わり、ラグジュリーでクラシックな雰囲気の商品が出てきそうなことを予感させる。

BOMAR(ボマール)ダークブラウンも豊富なバリエーション

QUESIA(クエジア)深みのあるグリーン

BADALASSI(バダラッシ)パステルもマットになってスモーキーカラーに
STEFANIA(ステファニア)ブロンズレザーを使ったブーツ

Technique
ワニ・ハ虫類を中心とした多種類の型押し

革の複合加工は、今回もさまざまな技法をこらしたものが出ている。特にアニマルの型押しが圧倒的に多く、クロコダイル、アリゲーター、ヘビ、トカゲ、ダチョウと模様が大きいものから小さなものまで多種多様。それをエナメル加工やメタリック加工してつや感を出したり、マットに仕上げてナチュラル感のある雰囲気に仕上げている。
 以前までクロコダイルはバッグと決まっていたが、柔らかい仕上げの革が多くなってきたことで、最近は洋服に多様に使用されている。
毎シーズン、オリジナル性の高い革を豊富に提案している「ATEMA」では、今回新しく10種類の型押しを追加した。アニマル以外に木や葉っぱなど自然をモチーフにしたものを型押しで表現している。

アンティーク加工で味のある仕上げに
 
今回のアンティーク加工は、通常のムラ染めに加え、焦がしのようなムラを入れたもの、使い古した革の雰囲気を出してヴィンテージ風に仕上げたものが多い。
ブラッシュオフで下地の模様や色出しが出来る革も出ている。こうした革の雰囲気は、靴メーカーが最後の仕上げの段階で仕上げていくもので、ヨーロッパの靴はこうした仕上げで差別化しているものが非常に多い。残念ながら日本では手間を惜しみ、そういう仕上げをやらず最初から加工した革を使いたがるので、いい味が出ないそうだ。 

PELLEROSSA(ペッレ・ロッサ)仕上がりはしなやか

PELLEROSSAソフトな仕上がりのエナメルの型押し

NATHALIE柄の間に色が入っている

ATEMA(アテマ)型押しのバリエーションが拡がっている

ATEMAペイズリーは大柄に

AMTIBA(アンティバ)表面をこすると下地の模様が出てくる

BOMARヴィンテージ風の製品が多い

KEARA焦がしを入れたような加工

STEFANIAグラデーションをかけた仕上げ

Motif
花、植物、70年代プリントは継続

花、植物、70年代プリントとモチーフは、前シーズンからの継続が多い。70年代のオプティカルプリントはカラフルなものからシックなスタイルになり、以前と同様のプリントはシックな色使いにしたりジュエリーを加えて変化をつけたりしている。

ATEMAデザインをポニーで
縁取っている

PELLEROSSAシックになった
オプティカルプリント

NATHALIEジュエリー使いで変化を


Heel & Sole

エレガントなフォルム、根強く続く高寸

来秋冬シーズンは木型が短くヒールは高いというフォルム。12cmほどの高寸でも今回はプラット使いが多いので、そう高さを感じさせない。
ファッションヒール・メーカーのCMCでは、シーズンに関係なくさまざまな色のプラスチックヒールを用意しており、普段はパソコンの画面上で多方面からヒールを見ることが出来るソフトを活用し、クライアントとのオーダーに対応している。
ソールに関しては、今回もさまざまな趣向をこらしたソールが提案されていたが、注目されたのは、モード・デザインにスポーツタイプのソールを使う手法。メンズシューズに加え、最近はレディスでもその傾向が顕著に現れている。エレガントなデザインにスポーツタイプのソールを使ったものが、秋冬シーズンはさらに広がりそうだ。

VIBRAMレディスの需要が増えてきた

CMCペイントはすべてハンドメイド


Non Leather

新しさはナイロンをプラスした加工
 
ノン・レザーはトレンドとしての大きな変化はなく、プリントは型押し、70年代、アンティーク調と前回からの継続が多い。秋冬素材ということでベロア、ウール、キルティングが多く出ており、新しさとしては生地の表面にナイロンを張ってデザイン加工したもの。色は、マロン、ブラック、ボルドー、グリーンと落ち着いている。

FONTANELLA秋冬はウールが定番

FONTANELLA表面にナイロンを張っている