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フットウエア・プレス  2004・5
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ミカム靴見本市レポート ミカム靴見本市レポート
2004/2005 Autumun&Winterr
フィレンツェ在住 通信員 大谷聡美

エレガンス・ブランドが打ち出す丸いトウ。オーナメント、ストラップデザインが増える

<商品傾向>
エレガンスは継続、丸いトウが主力に

 トウの丸いスタイルは、昨年の3月展から提案されていた。しかし、市場では細身のエレガンススタイルが継続して人気だった。特にイタリアではポインテッドトウが人気で、日本でもなかなか丸いトウ・スタイルの広がりは見られなかった。
 今回も引き続き細身で先の尖ったフェミニンなスタイルが提案されている一方で、エレガンスを得意とするブランドは、こぞってトウの丸い商品を提案している。
 まず、今回目に付いたのが、50年代風スタイル。例えば、クリスチャン・ディオールのニュールック旋風の時に代表されるような、トウの細いスマートなハイヒールパンプス。素材を現代風にアレンジしたもの、ヒールを低寸にしたもの、トウ部を短くはき口を浅くデザインしたニュースタイルも出ている。さらにエッグトウのローヒールパンプスも多く登場している。
 ここで来シーズンの主力となりそうなほど多く提案されていたのが、トウの丸いスタイル。トウが完全に丸いノスタルジックな雰囲気のパンプスやブーツがさまざまなスタイルで登場している。他に60年代調のソフトスクエアのパンプスやブーツ、さらに、50年代のファッションに影響を及ぼしたという、20年代のファッションからインスパイアされたデザイン、素材、スタイルが商品のところどころに見られた。

COLOR
根強いピンク、注目色はブルー、グリーン
ここしばらく続いたピンクは、今年の秋冬も継続しそうだ。ベビーピンク、桜色の優しい色合い、さらにフクシャから赤、紫と深みのある強い色合いに派生している。
 ゴールド&シルバーも継続。きらきらした派手な印象というよりもブロンズなどマットな光りで懐かしい印象を受ける。
 注目されるのは、ブルー、グリーン。コバルトブルー、ライトブルー、ライトグリーン、ブルーグレー、ピスタチオ・グリーンと鮮やかな色合いから懐かしさを感じさせる色合いまで幅広い。



青空を思わせるようなライトブルー(GIMMI BALDININI)

色・デザインともノスタルジックを感じさせるパンプス(ROSA MOSA) 暖かみのあるグリーン系の組み合わせ(E' di SPACE E')
今回もピンクがたくさん 目を見張るような鮮やかなグリーン(SIGERSON MORRISON)


MATERIAL
ファー、フェルトなど暖か素材が豊富
今回も引き続きエナメル使いが多く、カラー提案する上でヌバックも欠かせない素材となっている。型押しレザーも多く、サケやエイなど魚の革も少しずつ増えており、うなぎの革といった特殊なものも見られた。
 秋冬ということで暖か素材の提案も多い。ファーはインナーとして全体的に使っているもの、ポイントとして使っているものとさまざま。ポイント使いとしてはフェルト素材を使っているのも特徴的。
 さらに、ツイードをフェミニンなヒールに使用している商品も多い。デザイナーのロドルフ・ムニュディエールは「女性が解放された20年代のマスキュリンファッションに、50年代のフェミンなスタイルをミックスさせた」と語っている。

丹後ちりめんを使ったまさにオリジナル(JAPONICA) デザイナーのRODOLPHE MUNUDIER(ロドルフ・ムヌディエール)
ツイード素材の提案が多い(LULU GINNESS) ヌバックをエナメルで縁取っている(GIMMI BALDININI)
毛糸でステッチしている(TRANS-PARENTS) ファーとジュエリーでよりゴージャスに(GIMMI BALDININI)
アクセントについている花はフェルト素材(Hina KAGURA)


ORNAMENT
トウに大きな花や金具をポイント使い
印象的だったのが、トウ部にあしらった大きな金具や花。シャルル・ジョルダンやバルディニーニでは丸い金具を使った60年代風のスタイルを発表していた。ブランドオリジナルをさらに強調するべく、金具にはデザイナーの名が記載されている。
 ゴージャスをかもし出すジュエリーは、ヒールやアッパー、アンクレットのように足首に巻きつけるなど使い方が多彩になっている。ヴィッチーニでは、デザイナーであるジュゼッペ・ザノッティのサインをジュエリーで加工したものを靴につけていた。
'60年代風のカッターシューズ(GIMMI BALDININI) デザイナーの名が刻まれている(DUCCIO DEL DUCA)
ツイードとパールを使った花をアクセントに(GIANNA MELIANI) カメオとリボンで上品な雰囲気(ACCESSOIRE DIFFUSION)


ITEM
シューズ
豊富なアンクルストラップ


 今回はワンストラップ、Tストラップといったストラップシューズの提案が多く、中でもアンクルストラップがダントツに多い。金具で留めるタイプ、足首に巻きつけて結ぶタイプ、サテンのリボンを巻いて結ぶフェミニンなタイプも。

ピンクがポイントのアンクルストラップ(ESTELLE YOMEDA)

足首に結ぶタイプもバラエティ豊富(DUCCIO DEL DUCA) 足首に巻いてリボンをポイントに(DEI MILLE)
マニッシュをフェミニンに

 フェミニンなパンプスやシューズが多い中で、マニッシュなスタイルをフェミニンに表現したシューズが新鮮な印象を受けた。メダリオンデザインを施したシューズの提案も多い。
スカート、パンツ両方のスタイルにもOK(ACCESSOIRE DIFFUSION) サテンのリボンでフェミニンな印象に(DUCCIO DEL DUCA)


ブーツ
ロングからショートに主役交代

 昨年の秋冬はロングが圧倒的に多かったが、今年はショート、ミドル丈が多く、特にショートが主役になりそうな気配だ。
トウは先が細いものから丸いものとさまざまだが、トウが短くパンプスと同様にノスタルジックな雰囲気のデザインが多い。ロングブーツもトウが細いエレガンスタイプは少なくなっており、丸いトウにシフトされている。
今回目に付いたのが、ファッション化したゴム長靴。ファーやジュエリーがついた従来のゴム長靴を超えたデザインのものが提案されている。さらに、ウエスタンブーツの提案も多く見られた。



トウを丸く短くアンティークの雰囲気(ESTELLE YOMEDA)
ゴム長靴の概念が変わる(TRANS-PARENTS) ブルーノらしい楽しいウエスタン(BRUNO BORDESE-CLONE)
ゴムソールを使ったブーツ(BRUNO BORDESE-CLONE) さまざまなショートブーツが提案されている(LULU GINNESS)