今月の記事 ピックアップ   2004.6
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バッグメーカー紹介
カッシーナ
凝った手仕事のデザインを楽しむ

実用性から考えたら、ここまで凝った作りのバッグは要らない。また、シーズンのファッショントレンドを追ったバッグでもない。しかし、根強いファンを持つのがカッシーナ(東京・足立区、TEL03・5613・2370)のバッグである。オリジナル「ボナ・フォルトゥーナ」のコンセプトは、「手仕事のデザインを楽しむ」というものだ。
ものづくりは95年頃からスタートした。元バッグメーカーのデザイナーだった柏崎栄子社長(写真)が、これまで取引関係のあった小売店からもう一度バッグを作ってもらうよう求められ、個人的な関係から作り始めた。これが広がり、99年に会社を設立、現在、バッグ専門店やブティックなど300店舗の取引先を持つ。
商品は多彩な素材、カラーを使うが、それ以上に作りに凝った、創造的なデザインで、まったく新しいイメージのバッグを見せてくれる。柏崎栄子社長
これまで企画したデザインは700型に及ぶ。その型紙のすべてがストックされており、売場の要望に応じていつでもつくることができるのも当社の特徴だ。オーダー受注も受けており、ストラップの長さ調整やポケットを新たに付けるなど細かい対応をしている。
3年前から靴も展開している。「靴はバッグのコーディネイト商品としてデザインしている。価格ではなく、こだわりで買われている」(柏崎社長)。
靴は30デザインあり、バッグと同じコザージュをサンダルに載せるなど、他にはないようなデザインを打ち出す。
バッグ3万3000〜4000円、靴2万円前後が中心上代。

ヤマト屋
消費者の声で新化するバッグづくり

東京・浅草の仲見世にあった和装小物の小売店からスタートしたバッグメーカー・ヤマト屋(東京・墨田区、TEL03・3616・2366)。現社長の正田喜代松さんが3代目になる。
1964年、2代目で現社長の母親がちりめんの巾着から発想した小さく収納できるナイロンバッグ「ハイバッグ」を開発、これがメーカーに転身するきっかけとなるヒットになった。同商品は以後30年間にわたって売れ続け、累計で七百数十万個を超えるロングセラー商品となった。
同社のものづくりの基本は「お客様の声で発想、進化させる」というもの。「お客様からのクレームは宝、ここで困っていることを何とか解決したい、ということからパテントにつながるものもあります」(正田社長)。
グッドデザイン賞を取ったミセス向けのトラベル用リュックもそのひとつ。「いろんなお客さんの要望を取り入れ、10数回進化させて完成したバッグ」(正田誠専務)という。遠目には普通のリュックサックだが、まず目を引くのが肩ベルトが左右交差していること。こうすることで外側にズレることがなくなり、快適に背負えるようにしている。他にもファスナーロックや底の隠しポケット、雨用フードなどアイデア満載のリュックである。
同社はバッグメーカー唯一の日本テディベア協会会員で、テディベアをあしらったゴブランバッグを多品種展開、これが根強い人気商品としてある。フランスのゴブラン織りメーカーから素材を入れているが、商品はその素材メーカーを通してフランスにも輸出もしている。
現在の取引先は卸経由もふくめ、3分の2は百貨店である。試験機も置く本社のショールームにはデディベアもフルライン陳列されている。

正田専務(左)と正田社長