今月の記事 ピックアップ   2004.8
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2004年秋冬  バッグMDガイド           ジャスミック 川崎智枝
さらに大人っぽくなる素材表現。
ゴージャスな中に遊び感覚を取り込む


6月開催の04‐05秋冬バッグ展で、ほぼシーズントレンドが出そろった。トレンドの中にはチェックやアニマルなど晩夏から持てるアイテムが多く、立ち上がりのタイミングに注意が必要だ。夏物セールの終盤を見計らって、中だるみしてきた頃にアイキャチとして第1弾の投入を図りたい。
レ デ ィ ス

素 材

ラグジュアリー素材をソフトに
クラシックな流れが強まって来るシーズン、リッチ感のある素材が欠かせない。特にクロコやパイソン、オーストリッチなどをカジュアルなアイテムに部分使いし、ソフト仕上げで軽い雰囲気にするのがポイント。
またベルベットやサテン、レースといったゴージャスな光沢感も必須。光沢素材は3シーズン目に入るので、この秋冬には従来と違う切り口の落ち着いた光沢感をセレクトしたい。パーティーにもタウンにも持てるキラキラしたカジュアルフォーマルバッグも、バリエーションが増え、引き続き継続している。

「サック・ガールズ」サック

秋冬一押しのアニマル柄
春夏のプリントでヒットは出なかったが、ヒョウやゼブラなどのアニマル系はこの秋冬一押し柄。ストリートでは既に身に付けている人も出て来ており、男女問わず注目度は高い。シーズンに入ればファーのアニマルプリントタイプも増えそう。ダルメシアンやホルスタインなど、バリエーションも増えそうだ。
「ピュア・パウワウ」サック
トラッドを大人っぽく遊ぶ
「カシュカシュ」アンビリオン 「アンチ・フォルム」井野屋
 
クラシック&トラディショナルの傾向が強まるシーズン。レディスでは特にツイードに乗せたチェック柄が今年らしい。ツイードの製品洗いや、チェック柄のなかにラメを効かせるなどバリエーションも増加。トラッドエッセンスを大人っぽく遊ぶ感覚がポイントとなりそう。同様に、コーデュロイ、ウール系、キルティングなども浮上してくる

革の加工バリエーション
 シンプルなレザータイプは表面の凹凸感がキー。製品洗いなどのナチュラルな風合い、シュリンク加工のシボ感は要注目。また若々しいメッシュが秋冬も登場しているのが今年の流れ。
 ここ数年定着してきたピッグレザーも、洗い加工の拡大やカラーバリエーションの豊富さ、価格の手軽さもあり定番素材に浮上してきた。スエードやヌバックといったきれい系な起毛素材も復活。発色の美しさをアピールしたい

マロード

ハラコ中心のファー
 
「カンサイ・ビス」センゾー 「OZAM」ペタ
 
ファーはハラコが中心。アニマルやチェック柄に、あるいはパッチワークにするなど楽しい雰囲気に仕上がっている。毛足の長いフォックスやラビット、ムートン、ラクーンなどは、異素材とのコンビの面白さが勝負。シンプルなゾッキ使いだけでなく、メッシュ加工、ネットとのコンビ、インナー使いなど従来あまり見られなかった工夫が多い。


カ ラ ー

スモーキートーン
 秋冬になってトーンは落ち着くが、カラーリングは春夏から引き続いて重要になっている。ややくすんだスモーキーカラー、グレイシュカラーのバリエーションが増えている。定番のベージュ、キャメル、茶のほかに、ピンク、パープル、グリーン、マスタードといった華やかな色味のあるカラーも注目。特にグレイシュピンク、バイオレットなどはコンサバな流れの中では欠かせない。
「トゥルクオーボ」サック

秋冬もホワイトに注目
 春にもかなりヒットしたホワイトは、この秋冬も切り口を変えて再び登場する兆し。春夏との違いは、白のゾッキ使いが減って、付属に使われる割合が増えていること。またヌバックやハラコ、ファー、ニットなど違う質感で表現されている。生成りではなくピュアホワイトに近い方が今年らしい

「バルド・ロゼ」レガロ

茶系バリエーション
 
「バルド・ロゼ」レガロ
秋冬シーズンは欠かせない温かみのあるブラウンレンジ。カントリーやレトロテイストの流れを受け、ダークブラウン、キャメル、ベージュ、マロンなどは押さえたい。シンプルなブラウンだけでなく、光沢感を出してブロンズやメタリック系としても展開したい


フォルム・ディテール

継続するショルダー&ボストン
 一本手ショルダーは依然として人気継続。斜め掛けのポシェットは減って、大ぶりの袋調へとシフト。短く持てば肩掛け、長くすれば斜め掛けという2ウェイタイプもヒット。
ボストンはスポーティーカジュアルの流れを受けて引き続き継続するが、ディテールの変化として口枠、ボックス型、ドクターバッグ型など横長でクラシックなフォルムも台頭している。トートは四角いカッチリタイプではなく、口絞り、かぶせ付き、クタとしたショルダートートなどソフト調に変化している。

「ラウゴア」ラウゴア

金具、美錠、コンサバモチーフ
 「アンチ・フォルム」井野屋 素材と同様、今年は金具や美錠が重要な役割を担う。大きいリング環、バックル、クラシックな留め具、鋲や鳩目、スワロフスキーやスパングル(大きいスパンコール)など、インパクトのある金具がバッグの表情を左右する。
またエレガントなコンサバテイストも拡大することから、太めのリボン、コサージュ、ジュエリー&チェーン使いにも注目。取り外してデニムチャーム(ジーンズのループに引っ掛けるアクセ)に使用できるなどの2ウェイアクセサリーも要チェックとなる。



メ ン ズ

大人志向のオン&オフ兼用が拡大
 メンズではストリートスポーツの流れが落ち着き、大人っぽい雰囲気が主流になっている。特に30代以上がオンでもオフでも持てる革付属のトートやショルダー、若々しいデザインの革ゾッキのビジネスなどが充実。国内の職人を使い、付加価値を高めたハイクオリティーなアイテムや、レディス調のソフトレザーを使ったもの、アンティーク加工や光沢加工を施すなど、高級感やレトロ感を表現する傾向が顕著になっている。
おしゃれな大人に向けたマーケットは今後拡大が期待できそうだ。
「ドロワー」林五 「スフィーダ」東京ラゲージ