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フットウエア・プレス  2006・1
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  イタリア・リニアペッレ・レポート

  伊・ミラノ在住
  大谷聡美  Satomi OTANI
 10月25〜27日まで、06‐07年秋冬資材見本市「リネアペッレ」がイタリア・ボローニャで開催された。
 今回の出展社はイタリア971社、海外430社の合計1401社。前年に比べて971社と大幅に減少した。来場者は前年に比べて15%マイナスの2万3000人となった。日本人の来場者も前年に比べ73人減少の400人となった。

スペインをはじめ、海外の出展社は50ヵ国にも及ぶ
 来場者の内訳はデザイナー・企画60%、靴メーカー28%、皮革業者10%、アパレル関係2%と、デザイナーにとってこの展示会はかかせない存在であることを裏付けた。
 ヨーロッパの皮革業界は悲観的な状態にあるが、アメリカ向けの商品を作っている靴・家具メーカーや、ロシア向けの靴メーカーを顧客としている業者の売上げは好調だという。また、日本も重要なマーケットとして位置づけられていると主催者側は発表している。
 秋冬のメイン素材となる革の傾向は、シボやしわ加工、メタリックなどで立体的な視覚を狙った革の提案が多かった。マットな仕上げから濡れたような感覚の仕上げと表情はさまざまで、全体的にクリーンで洗練された印象の素材が増えている。パーツも上品でエレガントなデザインが目立った。
Leather Trend

ブラウン&ディープ・ブラック
秋冬といえば黒や茶などベーシックカラーが主流になるが、その中で印象に残ったのは、限りなく黒に近い色。ブルーやグリーン、紫などを深みのあるダークな雰囲気に仕上げている。
 さらにメタリック、特にアンティークゴールドの提案が多い。パールや箔でさりげなく加工したもの、ヘビやクロコダイルなどのアニマルレザーはブロンズでダイナミックに加工されている。
 茶系と相性のよいミリタリーカラーもトレンドとして浮上している。
深みのある紫のバリエーション(Russo di Casandrino/ルッソ・ディ・カサンドリーノ) 素材によって色の雰囲気も違う(Rino Leporatti/リーノ・レポラッティ)
エキゾチックレザーの光り物は迫力がある(Dormen/ドルメン) "ミリタリー"もひとつのトレンド(Bomar/ボマール)



表情豊かな革のバリエーション
 今回はさまざまな揉み方の違いにより、変化に富んだシボ入り革が多く展示された。細かなものから大胆なものまで、シボの出方が革の表情に変化を付けている。さらに、しわ加工やプリーツ加工の提案も多かった。
立体的な効果を狙ったしわ加工も多い(Nuova Antilope/ヌオバ・アンティロペ) シボの出方はさまざま(Antelopeアンテロペ) 角度によって色の表情が変わるプリーツ加工(Sirte/シルテ)

エンボス加工は、花をモチーフにしたバロック調のデザインが多い。アンティークの雰囲気を表革で、革の裏側をイメージさせるような仕上げをヌバックで、というように陰と陽を同時に提案している。


柔らかく温かみのある印象(Atemaアテマ)

バロックをイメージさせるデザイン(Sicerpシチェルプ)

刺しゅうを重ね合わせた革(Arno Conceria/アルノコンチェリア)

遠くから見ると本物の生地のようだ(Dormen/ドルメン)
目に付いたのは、生地感覚に仕上げた革の提案。毛糸のステッチや刺しゅうを重ねたもの、ポニーなどの革にチェックやハートをプリントしたものは本物の生地と見分けがつかないほどだ。

ラメやパール入りレザーの提案も多く、光り方にいやみはなく、ソフトに光る効果を狙っているのが特徴的。エナメルの艶感もアンティーク調でさりげない。
裏に色を入れて微妙なカラーリング効果を狙っている(Russo di Casandrino/ルッソ・ディ・カサンドリーノ)

カラーリングはすべて手作業で行っている(Co.Ri.Pe/コリペl)

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