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フットウエア・プレス  2006・8
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売場で聞かれる「消費者からの質問」 回答編@
*回答は一例であり、製品の素材や状態により異なる場合もある
本誌5月号では売場で消費者からよく聞かれる質問をまとめた。今月号からその中から抜粋した質問に対する回答例をテーマ別に紹介する。(回答協力=彩革の匠・安富好雄氏)

シューケア・リペア関連

Q1
 スエードとヌバックの違いと手入れ方法は?
A 革の裏面を起毛させたのがスエード、ぎん面(表革)を起毛させたのがヌバックです。いずれも毛足にホコリが入り汚れやすいため、使用前に防水スプレーをかけておくと良いでしょう。手入れ方法は共通。スエード専用ブラシ(豚毛かナイロン製)でブラッシングし、汚れを取り除きます。汚れがひどい場合は、ワイヤーブラシや消しゴムを使用。色あせ部分には素材と同色の補色スプレーが便利です。仕上げに防水スプレーをして毛足を整えたら完成。

Q2
 レザースニーカーは洗ってもいいの?
A スニーカーであっても革製なので、革靴と同じように手入れします。完全に水に浸して洗うことはプロでないと難しいですが、靴の内外を布で水拭きするだけでも十分に汚れを落とせます

Q3
 雨の日、急に濡れてしまった後の手入れは?
A 大雨で靴全体が濡れた場合、シミの心配はありません。そのまま陰干して乾いたらシューキーパーもしくは新聞紙を丸めて詰め込み、外から押さえて形を整えます。問題は部分的な雨ジミです。濡れたところと乾いているところの接点をなくすことがポイント。タオルを硬めに絞り靴全体を水拭きして均一に濡らします。しつこいシミはタオルで押さえ込むように繰り返すと効果的。ただシミ抜きできるのは、水拭きした時に薄黒く水が染み込む革だけに限ります。表面を防水加工している水が染み込みにくい革は、シミ抜きできませんので注意して下さい。

雨に触れたら全体を水拭きする

Q4
 白い(淡い色の)靴が汚れた時の対応は?
A 素材が革と革以外のもので異なりますが、白い(淡い色の)靴は汚れが目立ちやすいため、早めに手入れする必要があります。手入れは通常と同じ。クリーナーで汚れを取り、クリームを塗って防水スプレーをかける。ここでブラシを使用する場合は、他の色の靴で使用したものは避けて下さい。色移りの原因になります。また、日差しによって黄ばみが発生しやすいので、干す場合は直射日光を避け陰干しするように気をつけましょう。手入れ後、使用前にはあらかじめ表面を保護するクリームを塗っておくとより良いです。

Q5
 カビが生えてしまった靴を再生させる方法は?
A 時間の経過で革の奥まで浸透した黒カビは除去できませんが、初期段階の粉状の白カビであれば取り除けます。最初に乾いた布でカビをよく払い落とし(水拭きは厳禁)、靴用の除菌消臭スプレーを吹きかけます。消臭スプレーは市販されているエタノール(アルコール)配合が有効です。カビ菌は死滅するまで時間が掛かるので、最低でも1〜2日、できれば1週間程度風通しの良い場所に保管しておきます。その後、通常の手入れをすれば完了です。

Q6
 乳化性クリームと油性クリームの違いは?
A 乳化性クリームはワックス、油、水の3成分を乳化剤で混合したもの。革を柔らかくしツヤを出す保湿・保革性、着色性に優れています。油性クリームはワックスと油で構成され、水は入っていません。この点で乳化性よりも防水性に優れていますが、使い続けると革が硬くなり色も薄くなる場合があります。革に栄養を与える乳化性との併用が望ましいです。市販されているものでは、乳化性がビン入りやチューブ入り、油性は平缶入りなので店頭でも見分けがつきます。

乳化性クリームがビン入りやチューブ入り、油性クリームは平缶入り

Q7
防水スプレーはどの程度の頻度で使えば良いのですか?
A 防水スプレーの効果はあまり長持ちしませんので、毎回の手入れ後に使用するのが良いでしょう。また、雨に濡れた時はその都度、使用した方が良いです。