作り手が主張できるメーカーを作りたかった
ブランド名をすぐに連想させるような派手なデザインでもなければ、わかりやすいロゴが刻み込まれているわけでもない。それなのに、なぜか「どこの製品なのか」察しがつく。そんなブランドは少ないが、ボーデッサンは間違いなくモノ自体が静かにかつ強烈に自己主張するブランドの一つである。
フランス語で「good design」を意味するボーデッサンは、1979年に設立された。ちょうど、大手問屋が扱う海外ブランドのライセンス品が市場を席巻していた頃だ。常務取締役の生嶋時彦さんは立ち上げの動機をこう語る。
「大手問屋が市場をけん引し、メーカーは問屋の指示や発注で右往左往していた時代です。そんな中で私たちは作り手が発信できるメーカーを作りたかった。イタリアのファミリーメーカーは、自分たちのブランドに誇りを持ってモノ作りに臨んでいます。私たちもボーデッサンという会社のストーリーを育んでいきたいと考えました」。
モノ作りの姿勢を理解し、耳を傾け手を貸してくれる職人と、応援する専門店に支えられ、ボーデッサンは問屋を通すことなくビジネスをスタート。企画、素材の調達・仕入れ、デザイン、裁断、縫製などすべての工程を自社内で完結させている。
 |
ロングセラーの名刺入れ。こうした小物に至るまで、ボーデッサンらしさが発揮されている |
|

浅草にあるショールーム。
秋冬のコレクションでも「まず素材ありき」の路線を貫いている。

馬の革を使った商品。メンズ狙いではないが、オシャレ派の男性ファンが多いのもうなずける |