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アイテム別マーケティング
クールビズ
デザインは茶系色のビジカジ、機能は通気性・清涼感が主流
クールビズは05年に環境省が提唱した、ノーネクタイ・上着なしのワーキングスタイルの名称。靴についてはとくに定義がないため、靴売場での提案は各店のとらえ方によりさまざまだ。今夏で3年目となる「靴のクールビズ」の現状を、百貨店や専門店など5店舗の取材でレポートする

取材店
西武百貨店池袋本店 東京・豊島区      松屋銀座本店 東京・中央区
マドラスメンズセレクション 東京・中央区   シュー・パブ 東急百貨店吉祥寺店 東京・武蔵野市
バーンズソーホーストリート イオン与野SC店 埼玉・さいたま市
※文中ではそれぞれ「西武」「松屋」「マドラス」「シューパブ」「バーンズ」と略して表記

販売動向

百貨店ではコーディネイト提案が基本。このディスプレイのテーマは「父の日に贈るクールビズスタイル」

クールビズ効果は多少の好影響にとどまる
 クールビズの浸透に伴い紳士靴売場にも好影響が出ているが、商品がクールビズ需要として売れているのかどうか分かりにくいため、大きな影響や効果が表れている店はない。
前年比106%の売上げで、客数・客単価ともに伸びている西武では「クールビズ効果による売上げ増は多少ある」という。売場全体では前年並みの松屋も、カジュアルや通気性の高い商品は顕著に伸びている。
同じく前年並みのシューパブでは「目に見える効果はないが、固定客の認知度は上がっている」。開店以来右肩上がりのマドラスでは「影響は少しある」という。前年並みのバーンズでは「クールビズが言われるようになった時期は、一般の男性がモードカジュアルに関心を向け始めた時期と重なり、相乗効果もあって浸透しつつあるのでは」と見ている。

潜在需要を得るには提案やアドバイスが不可欠 
紳士靴専門店は靴単品での打ち出しが難しいこともあり、クールビズ提案にまったく取り組んでいないか、もしくはそのように見える売場も少なくない。売場ではとくに中高年層のお客から「クールビズの靴はどれ?」と聞かれることが増えており、提案やアドバイスが潜在需要の掘り起こしにつながりそうだ。「ファッションに無頓着で、靴は休日用と平日用の2足しか持っていないという男性もいる」(バーンズ)ため、お客のタイプによってはきめ細かな提案がとても効果的なのではないか。
マドラスでは「靴だけで打ち出すのは難しいが、これだけ言われているクールビズに乗らない手はないと考え、その結果成功した」という。バーンズでは「100人いれば100通りのクールビズスタイルがある」と考え、売場提案はとくにせず、会話の中でそのつど提案している。
フロア全体でクールビズに取り組む百貨店はトータルコーディネイトでの提案がしやすいため、お客の認知度も比較的高い。「靴は当初、手持ちの中で間に合わせるような扱いだったが、今ではジャケットとパンツにどういう靴を合わせたらよいかと相談されるようになった」(松屋)、「茶系色のベルトを持参して、近い色の靴を入念に探すお客さまも」(西武)。

半袖シャツとノーネクタイの"クールビズスタイル"で来店


店頭什器で茶系色を集約。今年らしい半メッシュタイプを最前列に陳列
40代前半までデザイン重視、
後半からは機能重視の傾向

店によりデザイン面と機能面どちらかに比重をかけて提案しているが、お客の需要はデザイン重視と機能重視の2つに明確に分かれる。概して40代前半くらいまではアパレルとのコーディネイトを意識してデザイン面を重視し、40代後半からは清涼感やムレにくさなど機能面を重視する傾向だ。




商品傾向、各店レポートは本誌に