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特集ダイジェスト 「ジャパン・ブランド」中国を往く
中国人ジャーナリストが見る日本ブランドの可能性
「日本製」イコール「ブランド」と認識し、ジャパン・ブランドを押し出すべき
服飾導報社 周建明社長
日本生産のファッションブランド、あるいは中国生産の日本ブランドが市場に浸透する可能性を、中国で各種ファッション雑誌を発行している有力出版社、服飾導報社・周建明社長にインタビューした。

1 日本のファションブランドは認知されていない
 中国には世界中のファッションブランドが進出しています。日本からも入ってきていますが、消費者のほとんどは日本のファッションブランドを知りません。例えば、上海の百貨店にオンワードの「23区」が出店しています。百貨店に来る多くの人が「23区」は知っていますが、それが日本ブランドとは理解していません。日本のファッションブランドはマス媒体を使った宣伝が少ないため、日本のブランドとして認識されていないのです。
ファッション製品以外でも、例えば文房具のコクヨの製品はよく売れていますが、中国人の多くが、コクヨはアメリカのメーカーだと思っています。一方、電気製品や車は日本の製品として認識され、売れています。ソニー、ナショナル、東芝、日立、トヨタ、日産、ホンダといった企業名ももちろん知られています。
日本にファッション企業は中国市場でモノは売りますが、それが日本企業のものだということを、あえて知らさなくてもいいと思っているように見えます。両国の過去のいきさつから、時々起こる不買運動の対象になりたくないと考えているのかもしれませんが、宣伝もせず、日本製であることを知らせていないブランドが多いことはもったいないことです。

2 ビッグになりたいなら、広告宣伝は絶対に必要
 日本のファッションブランドが消費者に知られていない理由の一つには、いま話したように、商品の広告がされていない点があります。これでは消費者はその商品を知りようがありません。この点は欧米ブランドと大きく違う点で、欧米ブランドの広告に対する力の入れようは、日本企業とはまったく違います。
中国のTVや雑誌広告の料金は、日本人が思っている以上に高いと思います。しかし、日本企業が広告できないかといえばそうでもありません。若い子に人気のあるファッション雑誌など、日本のものがそのまま中国版になっています。そこで効果的な宣伝ができると思いますが、それをあまりしていません。
もう一つ知られていない理由は、商品の絶対数が少なく、マスで流通していないことがあります。中国のような巨大な国土で限定したマーケットでの展開では、広く周知されることはありません。

続きは本誌に

服飾導報社(ファッション・ニュース)
中国・南京に本社を置き、各種ファッション誌を発行する有力出版社。フットウエア・プレスの好評連載「中国最新靴事情」は同社の発行する靴関連の情報専門誌「鞋世界導刊」(シューズワールド)と誌面提携して再編集したもの。