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ライフスタイルバッグの開発現場 29
ジャーナリスト 三田村蕗子

「マチェール」(トップギア)

  メッシュで多彩な表情のバッグを創造する

OEMメーカーが、メッシュのPBを立ち上げる
 バッグのマーケットでトレンド素材となったメッシュ。この人気をけん引する国内ブランドの最右翼が06年12月にスタートしたトップギア(東京・台東区)の「マチェール」だ。シープスキンのメッシュバッグはすっかりマチェールの「顔」となった。
 合皮を使ったボリュームゾーンのバッグを中心にOEMを手掛けてきた同社が、オリジナルブランドを始めた理由を、常務取締役の田中宗利さんはこう語る。
「『もっと可愛い、もっと良いバッグが作りたい』と思っても価格的に作れない。そのストレスを解消すべく、素材と質感にこだわったブランドを立ち上げました」。
 マチェールがターゲットとするのは、20歳代後半から30歳の女性。「甘すぎないエレガンス、崩れ過ぎないカジュアル」をコンセプトに、ゴートやポニー、水牛といった素材の質感や風合いを生かし、ディテールにもこだわったバッグを提案している。
 メッシュをマチェールの個性として打ち出すことは、当初から狙っていた。トップギアと長いつきあいのある中国の協力工場は技術力が高く、何よりメッシュを得意としていたからだ。
「普通の革バッグでは個性が出ない。その点、メッシュだと多彩な表情が作れます。持ち前の強みを生かそうと考えました」。
 田中常務の言葉通り、マチェールのメッシュは、従来のメッシュバッグが持つ「かちっとしたイメージ」にとらわれない、自由な発想に満ちている。ワッシャー加工を施したシープスキン、スネークスキン、パイソンなどさまざまな素材を使って、ほどよいしなやかさと柔らかなシルエットを追求し、カラーリングもパープルやイエロー、メタリックなど斬新な取り組みが光る。

新しいメッシュ表現が年齢、性別を超えて支持される
 中心価格帯は約3万円。これまで発表した数々のメッシュバッグの中で、高い人気を誇っているのが、シープメッシュのボストンバッグだ。くたっとした質感を表現しつつ、スタッズを用いてシャープさを醸しだし、サイド部にはリングを使って立体感を演出した。マチがたっぷりと取ってあり、斜めがけできる長さに調整できる3ウェイ機能も好評だ。
 「普通のバッグは作りたくない」という田中常務のこだわりは、パイソンのクラッチバッグにも貫かれている。一見、普通のクラッチバッグは、実はハンドバッグにもなる2ウェイタイプだ。通勤のランチを入れることからパーティーシーンまで応用力が高く、何より「華」がある。
 男性客から支持されるバッグでもある。その代表例が、収納力の高いポケットを3つ設け、ふっくら丸みを帯びたフォルムが特徴的なシープスキンメッシュのショルダー「ホーボー」だ。

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