今月の記事・ピックアップ 2008・5
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特集
伸びている会社、          伸びている理由 フィット(靴・バッグ小売)
丸紅フットウェア(靴卸)
サニーコーポレーション(靴メーカー)
ギャレリア・ニズム(バッグ小売)
バギーポート(バッグ企画卸)
アインソフ(バッグ企画卸)

市場の低迷が伝えられる中で、堅調に推移した企業の理由をレポートする。商品力、生産システム、販売員の力など企業ごとにその理由は異なるが、マーケットの変化に応じて常に変えている。ここでは各業種・業態からピックアップし、好調な伸び率を見せている企業を取り上げた。
丸紅フットウェア
靴の輸入卸小売、オリジナル生産、OEMの3本柱で展開

 丸紅フットウェア(東京・中央区)は総合商社 丸紅の100%出資企業。社名のとおり靴を専門に扱い、主な事業は@海外ブランドの輸入販売、Aオリジナルブランドの生産販売、BOEM(相手先ブランド生産)など。同社は07年に米国企業とFC契約で展開していた小売チェーン「アスリートフット」を終了し、現在は2つの事業部で3本柱の事業に取り組んでいる。各事業の構成をバランス良く維持していく考えだ。「当社はフットウエアに関わる事業を幅広く、バランス良く成長させていることが強み。生産地やマーケット、経済状況の急激な変化など、どのような状況にも対応できる強い組織を目指している」(同社)。

「メレル」を全国に出店予定
@の海外ブランドは「メレル」を筆頭に、「パタゴニア」や「コールマン」(現行品で販売終了)などアウトドアブランドを展開。中でも米国ブランドのメレルは年間20億円弱(出荷ベース)の規模に成長、毎年着実に売上げを伸ばしている。販路は07年にオープンしたメレルのオンリーショップ2店舗をはじめ、アウトドアショップやスポーツ量販店、靴専門店など国内1200店舗以上で販売されている。
「今後は直営店舗を毎年1〜2店ほど出して行きたい。旗艦店も良い立地があればいつでも出店できるよう備えている」。前述のとおり同社では小売チェーン展開から撤退し、「小売事業の難しさを実感し、着実に事業を進めることの大切さを学んだ」という。メレルのショップ展開も小売事業拡大の狙いはなく、ブランド浸透や一般消費者とじかに接する場として、まずは首都圏を手始めにゆくゆくは全国の主要都市に設けたいと考えている。
Aのオリジナルブランドは、展開10年目となる子供靴の「イフミー」。スポーツドクターとの共同開発により、発育時期の子供の健康な足を形成するオリジナルのアイデアが搭載されている商品である。
BのOEMは、スリッパやサンダルなどの価格帯の低い商品から、高単価の革靴まで幅広い商品を取り扱っており、販路も靴小売やアパレルなどさまざまだ。

  

続きは本誌に
「メレル」HP=http://www.merrell.jp/
■好調ポイント
・主要3事業の構成比をバランス良く均等に育てていく
・中国協力工場との長年の信頼関係で中国生産のリスクを極力排除
・小売チェーン撤退の経験を生かした着実な事業展開


バギーポート
国産オリジナルで6年連続2ケタ増のバッグ企画卸

カジュアルバッグ卸のバギーポート(神戸・東灘区)は、6年間連続で2ケタの伸びを見せている。バッグを売る場が業種・業態を越えて広がる中で、専門店以外の市場でも積極的に展開するOEM対応の企業として伸ばしている。

異業種に販路を拡大
バギーポートの創業は17年前。オリジナルブランド「バギーポート」で多彩な素材使いのカジュアルバッグを展開してきた。現状では革を使ったカバンの「バギーポート」と、キャンバスなど雑材でトータルファッションに対応するバッグ「コットンフィールズ」の2ブランドを展開する。売上げ構成比は財布・小物を含め、3分の1ずつで同率。
商品作りの「ものが入れやすいよう間口が広く、シンプルなデザインの道具であることが基本」(池上勝久社長。以下コメントは同氏)という。シーズンごとに話題性のある工夫や仕掛けのある新商品を打ち出すが、白化合皮など素材のヒットから定番的に継続される商品もあり、中には11年間続くものもある。また、ショルダーバッグの人気は高く、ネット販売が集計するバッグの部門別年間販売実績では、ショルダー部門で「バギーポート」が3年連続トップになっている。
供給先の中にはバッグ小売の大手専門店チェーンや地域の有力専門店のほかに、ハンズ、ロフト、ビブレ、コレクターズ、フィットハウスなど雑貨トータル業態の大手小売も積極的に供給先として開拓してきた。大手チェーンでも商品を理解して販売する売場に限定している。

積極的なOEM対応
ここでは同社オリジナル商品のみで展開しているが、売上げの40%はOEM対応の売上げだ。これが売上げ第2の原動力となっている。同社のOEM生産は、大手小売の下請けメーカーに徹するという考え方ではない。
「売場の統括的なマーケッティングができるセントラルバイヤーと組み、その企業の商品政策に即した商品開発で行うのが我々の取り組むOEM生産。ここではパーツの使い方や製造に細部までわかる社員が私を含めて4人おり、対等の立場で一緒に企画を組み立てている。ものづくりがわかることで、その場で問題を解決しながら素早いOEM商品ができるのがポイント」。
もちろんここでは「バギーポート」のにおいを残した企画がベースになるが、最近の盛んなSC開発の中、同じSCの中で供給先が競合するケースも増えており、OEM対応はバッティングを避ける上でも効果的だ。さらに完全買い取りで、プロパー商品とは違った粗利が得られるなどお互いにメリットのある取引を実現している。このため、同社では年3回のレギュラー展のほか、OEMのための展示会も年2回開催している。




続きは本誌に
バギーポートHP=http://www.baggyport.com/

■好調ポイント
・業種を超えた小売店のOEM生産に、企画力をもって対応
・国産のメリットを生かし、国内メーカー(職場)を確保
・直営、FCのオンリーショップでマーケティングを行う


*写真はすべて3月オープンの京都店