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第105回 GDS見本市レポート 本誌 椎名 克年
 ドイツ国内需要の回復で 欧州勢の出展増える
 ――高まるスタイリッシュ・コンフォートの提案

イタリアが増えて中国が減る
 世界最大規模の靴見本市「GDS」が3月14〜16日、ドイツ・デュッセルドルフで開催された。3日間のうち2日が雨模様だったものの、来場者数は76ヵ国・3万4000人と前回よりも3%増えた。
出展社数は39ヵ国・1382社(皮革製品展「GLS」含む)。ほぼ前回並みとなったが、中国を始めアジア勢が減った分、欧州勢が増えて顔ぶれに変化があった(表参照)。欧州勢の躍進は、高感度ブランドを集積したゾーン"ホワイトキューブ"や"プライムスクエア"でイタリアの出展社数が増えたことが大きい。一方、前回最多の中国が急減した背景には、欧州連合(EU)が中国製品に対し反ダンピング関税を適用したことで、メーカーの淘汰が進んだ影響があったようだ。
出展社数トップ10
ドイツ 374 (20)
中国 328(△64)
イタリア 204 (59)
オランダ 71 (10)
スペイン 69 (△5)
香港 36(△17)
イギリス 32  (2)
ポルトガル 31  (6)
オーストリア 24  (2)
フランス 21 (△7)
合計 1382(△10)
*日本は3社

コンフォートもトレンド性を重視
 今回、最も出展社数が多かった国は地元ドイツ。増加数もイタリアに次いで多く、回復の兆しを見せている。その理由を主催者広報は「健康志向の高まりから、国内の市場環境が良くなったため」と説明する。靴工業統計を見ると、確かに靴メーカーの07年国内取引高は前年比2・6%と伸長し、従業員数も3・6%増えている。
 国内市場の復調は、前年比2ケタ増を記録した輸出の拡大によるところも大きい。国別に輸出実績(表参照)を見てみると、ルーマニアなどの東欧諸国とロシアの伸びが著しい。特に輸出額3位のロシアは、近年の経済発展による旺盛な需要で急速に存在感を高めている。
 この中で対日輸出はユーロ高の影響から減少しているものの、「海外で一番重視する市場」「他国より取引が安定」「日本向けの商品開発を行っている」とドイツメーカーの意識は依然として高い。最近、日本から求められるのは「ファッション性を追求したコンフォート」。機能性はそのままにトレンド要素を取り入れたいわゆる"スタイリッシュコンフォート"である。今回は各メーカーがこうした商品を積極展開する姿勢が一段と目立っていた。

輸出額伸び率トップ5
輸出額(1000ユーロ) 前年比(%)
ルーマニア 15,133 188
ラトビア 8,711 44
スロベニア 11,590 67
ロシア 163,774 33
ウクライナ 20,448 30

ドイツ 07年靴輸出実績(金額)


進化するスタイリッシュコンフォート
 はき心地が良くておしゃれな靴が欲しい――。日本を始め世界各国で、スタイリッシュコンフォートの要望が高まる中、コンフォートメーカーはよりファッション性を向上させた商品展開を増やしている。今回は@フットベット入りBはき心地に配慮した木型A複数の機能性を持つ、の3点いずれかを満たし、かつトレンド性を追求した商品を紹介する。

トレンド素材
エナメル素材やムラ・シワ加工など、積極的にトレンドを取り込んでいる。赤やシルバーといった明るい色使いも増え、新しい客層を狙えそう。
 「Finn Comfort」 「trippen」 「kennel & Schmenger」
「CHRISTIAN DIETZ」 「HAFLINGER」 「Josef Seibel」
「Paul Green」 「DORN DORF」

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