今月の記事・ピックアップ 2008・9
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色もスタイルもライト感覚な表現に

 日本人バイヤーにとっては魅力に乏しい?
 6月とは思えないほど涼しい日が続いたがフィレンツェで、6月18日から開催された第74回「ピッティ・イマージネ・ウオモ」は、前日から一変し、暑さの中でスタートした。
 4日間の日程で開催された同見本市は、前年同シーズンより24社多い724社(911ブランド)が出展し、海外ブランドに関しては全体の33%を占める302ブランドが出品した。日本からは靴メーカーブランド「ペルフェット」が海外展に挑戦するなど2社が初出展した。
 全体来場者数3万5000人の内、2万0565人をバイヤーが占め、海外からは38%を占める7827人が来場した。国別の企業来場者数はドイツ、フランス、中国が前年より伸びており、ユーロ高と国内経済悪化の影響が大きい日本、アメリカ、イギリスが減っている。
 定期的にオーダーしている日本人バイヤーにとって商談の場として有効な展示会だが、新しい商品を探しているバイヤーにとっては"新しい物がない"という声も聞かれ、物足りない展示会のようだった。某セレクトショップオーナーは「ピッティ展で気に入ったブランドはすでに日本での販売代理店が決まっており、ミラノのショールームで見ることが可能な物も多い。買い付けはミラノ、パリで充分」と語っていた。


幅広く丸いトウライン。色もデザインも軽く
 快適で機能的なウエアが増えている中で、来春夏の足元も快適で軽いスタイルの商品提案が増えている。トウラインは丸く幅広になり、ライトブルーやライラックなど淡い色合いの"かわいい"デザインが目立つ。膝丈パンツスタイルの日本人バイヤーを会場で多く見かけたが、そんなスタイルに合うようなシューズが多かった。
 「ブルーノ・マリ」ではオーストリッチを使ったオパンケ製法のシューズを、「マーク・ジェイコブス」では軽く仕上げたブローグやギリーと、現代のスタイルに合わせたライト感覚のトラッドやドレスシューズも多い。
 ライトに仕上げたモカシンやデッキシューズの提案が多い中で、ノーズの長さ、丸さとバランスのとれた「パラブーツ」は日本人バイヤーの間で特に人気のようだった。
 メンズの拡大を狙って初出展した「カスタニエール」では、ストライプやチェック柄などオリジナル素材を使ったエスパドリーユを提案している。同商品は日本の輸入総代理店であるハイブリッジ・インターナショナルがイタリアでオーダーしている。




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ハイテクを使ったオーダーシューズ

 今展示会はハイテクを使った靴のオーダーシステムの展示が目に付いた。
「キッカーズ」では、既存の商品をもとにパソコンで好きなカラーや素材を選べるセミオーダーシステムを展示。現在はミラノにあるショップで展開している。
 「パーカーソン」は、3次元で読み込んだ足のデータを基に、靴作りをするという独自のシステムを開発。店とメーカーが直結しており、注文した商品は2週間ほどででき上がる。9月からモスクワのショップで展開する予定だ。
 注目すべきは「プーマ by ミハラヤスヒロ」と「プレステーション3」とのコラボレーション。画面上で選んだモデルに、同ブランドのスニーカーやウエアをコーディネイトし、映像の中であらゆる方向に動かして見られるもので、実際に商品を購入することが可能なシステムをプレゼンテーションした。
デザイナーの三原康裕さんも会場を訪れ、世界中のジャーナリストからインタビューを受けていた。話題のブランドのコラボレーションが今後、世界でどう広まっていくのか。 インタビューを受けた後の三原さんはこう語る。「ファッションに消極的だったスポーツブランドの世界で、積極的に自分を受け入れてくれたプーマとコラボレーションして10年になります。今後、より近未来を視野に入れた試みとして、『プレステ』との実験的なプロジェクトを考えています。今までは店頭やインターネットでの通販は可能でしたが、そこにエンターテイメント性を持たせています。将来的にはお客さんが自分でデザインするプーマbyミハラが購入できる時代がくればと思います」。
 今回、ウエアのデザインも手がけた三原さん。新作のスニーカーでは、地球が溶ける様子をイメージしたソールデザインなど、環境問題メッセージも隠されており、相変わらず彼の哲学は健在だ。