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これで、ロングセラー
「ダナー」ダナーライト(ダナージャパン)
79年米国生まれ。史上初のゴアテックス搭載ブーツ

軽快なデザインのアウトドア

息の長い商品には10年、20年という節目がやってくる。ここまでくるとロングセラーとしても別格だ。ダナージャパンのアウトドアブーツ「ダナーライト」は市場に登場してちょうど30年。今秋には記念限定モデルも発売されるロングセラーである。
ダナーライトは1979年に米国で誕生。当時はゴアテックスを初めてブーツに採り入れた商品として市場にインパクトを与えた。汗などの水蒸気を外へ逃がす透湿性を持つ一方で、雨など外部からの水は通さないという防水性。この高機能素材がもつ二律背反といえる優れたメリットが、快適さや耐久性を一段と高めることに成功した。
 またアウトドアシューズにつきまといがちな無骨さを抑え、軽快さを感じさせるデザインとしたことも成功の一因となった。山歩きはもちろん、ストリートやオーセンティックなスタイルまでさまざまな場面に合わせて自在にはきこなせる。ゴアテックスを使用した靴自体が珍しい存在ではなくなった今、この意匠面での特色はロングセラーを維持する大きな強みになっている。
 


堅実にブランドの価値を守る

年間販売足数はダナーライト単体で3000〜5000足。景気にあまり影響されず、例年安定した数字を維持している。この秋は昨今の不景気のなか、受注状況は昨年同時期に比べてプラスというから驚く。近年のアウトドアブームの後押しもあるが、ブランドを守るべく、極端な増産や販路拡大に走らずに堅実な路線をとってきた同社の戦略によることも大きい。
価格は4万2000円。安価ではないので、ブランドに信頼を寄せてくれる根強いファンをベースとした販売を維持している。おもなターゲットは20〜30代前後だが、商品自体の長年のファンもいるので幅広い。
商品は長くはける上、ソール張替えなどのメンテナンスもOK。手入れさえしっかりしていれば5年、10年、あるいはそれ以上にわたってはけるという。ここに価格以上の高いコストパフォーマンスを見出しているファンも多い。最近はアウトドア志向やライフスタイルの変化もあり、全体的な比率はまだ少ないものの、女性ファンが売上げを底上げしてくれている面もあるという。
 販路はスポーツやアウトドアの専門店やシューズの専門店がメイン。百貨店などはまだ多くないが、昨今はこの業界も新しい顧客層を取り込むべくアウトドアやライフスタイルの売場を拡大する傾向で、引き合いも増える傾向にあるという。
 30周年を迎え、いまだ衰え知らずの人気はたいしたもの。すでにある意味完成された商品だけに、ファンが求める「ダナーライト像」を踏み外すような大きなアレンジはしづらいが、同社では記念モデル(写真)のような少し異なった素材を使ったモデル等を出すことで、潜在的な顧客層やリピーターの要望にも応えられる工夫していく考えだ。