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特集
急成長! 靴のネット販売 
インタビュー 
アマゾン ジャパン ファッション事業部 バイスプレジデント
ローレン川崎さん

今ほしいものをいち早くリスクなく届けたい

 米国ネット小売最大手のアマゾン・・ドット・コムが日本に進出して10年。圧倒的な商品量、テクノロジーを駆使して開発された便利な機能と独自に築いた物流インフラを強みに、“商品到着が早くて配送料が安い”サイトとしてすっかり定着した。そのアマゾンが08年から靴とバッグの販売に本格参入。30日間返品無料・翌日配送という画期的なサービスを打ち出し、大きな話題を呼んでいる。日本でファッション全般を統括するローレン川崎さんに、これまでの取り組みと戦略を聞いた。

アマゾンと日本語サイトAmazon.co.jpのこれまで
95〜99年  現CEO(最高経営責任者)のジェフ・ペゾス氏が、米国ワシントン州シアトル市でアマゾン・ドット・コム(Amazon.com)を設立。インターネットによる書籍販売を皮切りに、音楽CDや家電など扱い商品を拡大。独自に確立した物流システムを強みに、売上げを伸ばす
2000年11月 日本語サイト、Amazon.co.jpを創業。千葉・市川市に物流センターを開き書籍販売を開始
01〜04年 音楽やDVDのメディア、家電、生活雑貨、玩具など商品ジャンルを広げる
05年11月 スポーツ用品の取り扱い開始。ナショナルブランドのスポーツシューズも加わる
07年10月 Amazon.co.jp内で“アパレル&シューズ”ストアを開設。衣類、靴とバッグの展開を本格的に始める
08年11月 靴とバッグに特化した新ウェブサイト「Javari.jp(ジャバリ)」を立ち上げる
09年7月 ジャバリ内で“キッズ&ベビー”ストアを新設。子供靴を加える
9月 ジャバリ内で“デザイナーストア”ストアを新設。高級インポート靴を加える
9月 米国アマゾン・ドット・コム社が、ネット靴小売で急成長する米国企業ザッポスを買収
10月  大阪・堺に第2の物流センターを設立

――日本で靴とバッグを扱い始めたのは07年からですね
 ファッションアイテムのネット購入が広く浸透し始めた時期でした。当時は靴とバッグのオンラインプレーヤーが非常に少なく、大きな可能性を感じました。私たちが参入することで靴・バッグのeコマース(電子商取引)が盛り上がり、業界全体が伸びる中で成長していきたいと考えています。

――「アマゾン」での展開とは別に「ジャバリ」を立ち上げた理由は?
 商品はほぼ一緒ですが、サービス面でストレスなく靴とバッグが購入できるよう、より最適な環境を目指した結果です。サイト上では足幅による絞り込み検索や拡大画像の簡単表示で使いやすく、購入時には翌日配送や送料・30日間返品無料で安心して購入できる工夫をしました。いくつかサイズを取り寄せて試しばきして買う。店頭にいるような感覚で買い物を楽しんでもらいたいと思っています。
 ジャバリとはアマゾン川の支流の名称。07年1月に米国で立ち上げ高い支持を得た靴・バッグの専門サイト「エンドレス」の日本版という位置付けです。日本をはじめイギリスでも運営を開始しており、今後は他国へも順次広げていきます。

物流センターに
足入れ確認スタッフが常駐


――靴のネット通販はフィッティングが大きな課題です。返品無料による試しばき推奨のほか、何か取り組んでいることはありますか?
 フィッティングスペシャリストが足入れして確かめた「フィット感」を、レディス全商品で掲載しています。社内で“シンデレラ”と呼ばれているこのスペシャリストは、日本人女性の典型である23p・Eウィズにぴったり合う足の持ち主。市川の物流センターに届く商品を彼女がすべて足入れし、サイズ感・幅・土踏まずのサポート感・ブーツの筒周りについて「狭め」「ちょうどいい」「広め」などはき心地を評価しています。今年1月からは、商品購入者によるレビューの投稿機能を追加。スペシャリストと同じ項目でフィット感を判断してもらい、その評価の平均値も閲覧できるようにしました。
 こうした足入れ評価を含めた商品情報は、すべて市川の物流センターで作成。メーカーから提供された情報をもとにもう一度チェックして、正確を期しています。撮影も同センターにあるスタジオで行っています。

――膨大な商品量は他に類を見ません
 特定のジャンルにこだわらず、積極的に商品を集めています。2月現在、商品数は靴・バッグ合計で800ブランド・9000型以上。ジャバリの立ち上げ時から約3倍に拡大しました。なかにはエービーシー・マートさんや丸井さんのPBもあります。たとえ当社にとって利益が薄くても、お客様にメリットを提供できるなら小売の商品でも扱っていきます。
 レディスとメンズの割合は7対3。購入されている商品はミドルからローエンドが多いですが、昨年に高単価なデザイナーブランドを導入したことでハイエンドの需要も増えています。店頭で見つけにくい25p以上の大きいサイズや22p以下の小さいサイズも好調です。たとえば25pなら現在(1月時点)約3000点扱っていますが、実店舗でこれだけある店はないでしょう。より多くの需要が期待できるので、メーカーにはもっと作ってくださいとよく話しています。



続きは本誌に
ジャバリ http://www.javari.jp/