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ネットモール「ゾゾタウン」の実力とEC成功の条件
 スタートトゥデイコンサルティング 澤田宏太郎社長
スタートトゥデイ(千葉市)が04年から運営する「ゾゾタウン」は、ファッションに特化したネットモールの先駆け。ユナイテッドアローズやビームスなど有名セレクトショップがこぞって出店し、ファッションモールでは現在最大の売上げを誇る。スタートトゥデイコンサルティング(千葉市)は同社100%出資子会社として08年に設立。これまで蓄積したノウハウをもとに、アパレルメーカーや小売のEC(ネット販売)支援やコンサルティングを手掛けている。東京・両国の国際ファッションセンターで8月に開かれた澤田宏太郎社長のセミナーをもとに、ECの変遷とゾゾタウンに見る成功のポイントを紹介する。


ECの変遷と拡大
EC、つまりネットへの出店にはさまざまな選択肢がある。実店舗と同じように、どういう形態、戦略で出店するのか考えなければならない。モールへの出店なのか、自社でECサイトを立ち上げるのか。モールならファッション特化型がいいのか、楽天のような総合サイトなのか、などを決める必要がある。
 アパレル企業のECに対する考え方は年々変化している。06年以前は「アパレルはECでは売れない」という考え方が大勢を占めていたが、07年ごろから潮目が変わってきた。そこそこ売れると分かり、ファッションECモールへの出店が増加。自社で運営するより手軽でコストが安いため、やめようと思えばやめられるという認識で広まった。
 08年に入るとECで売れるという理解がさらに進むが、実店舗優先の考えは根強く、人気商品はECに在庫を回さない企業もまだ多かった。しかし、09年以降はECを実店舗と同じように1つの店として捉え、しっかり管理していこうという姿勢に変わった。ポイント発行や店員によるコーディネイト提案といった店舗発信型コンテンツなど、リアルと連携した取り組みも目立つようになっている。
今はモールへの出店と自社ECの両方に取り組むのがトレンド。今後も増えていくだろう。

アパレルの成功企業
アパレルの単独型ECの有力企業として、まずユニクロが挙げられる(表参照)。売上高に占める割合は高くないが、海外展開を加速する中、グローバルで1つに統一したシステムにしている点が注目できる。良品計画もサイト上での実店舗の在庫表示にいち早く取り組み動きが早い。ただ大手に関わらず、数億円規模でも自社ECを始める企業が増えている。支援する企業が増え、立ち上げやすい環境が整ってきたためだ。
アパレル専門のモール型はゾゾタウンがトップ。カタログ通販からECに移行した丸井は集客時に実店舗をうまく活用している。
成功するために重要なのは、どれだけ真剣に取り組めるか。専属の担当者をつけ、MDを組んでいくだけの投資ができるかがポイント。真剣の度合いによっては商品力を上回ることもある。
「EC成功のポイント」は本誌に

アパレルECの主要企業と売上げ規模
メーカー単独型 ○モール型(アパレル専門)
ユニクロ 188億円(09年8月期) ゾゾタウン 370億円
良品計画 82億円(10年2月期) 丸井 161億円
ポイント 47億円(10年2月期) スタイライフ 92億円
バロックジャパン 35億円(09年1月期) マガシーク 81億円
*メーカー単独型はすべてECの売上高
*スタートトゥデイコンサルティング調べ


スタートトゥデイコンサルティング
設立:08年5月
代表:澤田宏太郎
住所:千葉県千葉市美浜区中瀬2-6WBGマリブウエスト16F
事業内容:ECサイトの立ち上げ支援、コンサルティング
支援サイト:ビームス、伊勢丹メンズ、ユナイテッドアローズ、オンワード、シップス、アンドエー、ヒステリックグラマーなど
特徴:支援先はアパレルだけでなく靴やバッグも対象。依頼するメーカーや小売は商品情報の登録をするだけで、システム面や物流はスタートトゥデイコンサルティングがすべて請け負う