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インタビュー

ナイキ アドバンスト プロダクト担当シニアエンジニア ナイキフリー開発者
トビー・ハットフィールドさん

裸足構造の「ナイキフリー」は足全体を使う歩行を取り戻す

  「ナイキフリー」(以下、フリー)が発売されたのは04年。裸足感覚の追求で足を鍛えるという新しいコンセプトが話題を呼び、トレーニングから日常ばきまで広く浸透した。ナイキの代名詞になったフリーを開発したトビー・ハットフィールドさんに、その特徴と日本市場について聞いた。

――日本市場でのナイキフリーの広がりをどう捉えていますか?
トビー 日本は新しいテクノロジーに対して積極的。フリーも発売当初から関心が高く、特徴を早々と理解してもらえたことはうれしい。日本市場で評価されれば、世界でも受け入れられる。日本での成功は大きな自信につながっています。

――トーニングというコンセプトのシューズが売れていますが、どう見ていますか? フリーはどういう点で違いますか?
トビー 大きな話題となっていることは認識しています。トーニングは足というより、足より上の部位、つまり脚全体やヒップまわりの筋肉に有効と言われています。対してフリーは、足そのもののを強くするのが目的。裸足の足圧分布に近づけたワッフル状のソール構造で、カカトから足指まで足全体を使う歩行を促します。トレーニングは健康な足があってこそ。足本来の自然な動きを生かし、足底の筋肉を刺激するのがフリーです。

――フリー着用効果の科学的な根拠はありますか?
トビー ドイツスポーツ大学で実施した実験で結果が出ています。健康な100人を対象に6ヵ月間にわたって週4回・約30分間、フリーを着用してトレーニングしてもらい、その効果を測定。足と足首の強さは10〜20%向上、足と足首の稼動域は5〜10%向上、神経筋バランスは20〜22%改善し、いずれも統計学的に意味がある結果が出ています。フリーの構造が足筋の刺激に有効だと科学的に裏付けられました。

――今後について
トビー フリーは改良を重ねながら、進化しています。裸足を0・0、普通の靴を10・0という基準をもとに、5・0や3・0など屈曲性とソールの薄さに変化をつけて展開。大人だけでなくキッズも加え、さまざまなニーズに対応できるラインアップになっています。4月に発売する「ナイキフリー ラン+2」(「トピックス」参照)もより多くのファンに受け入れられると期待しています。