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メリーグラシス(福岡・中央区)
「色彩」を生かす靴販売で快適な歩行を提案

 「身体は足元から、心はカラーで」。メリーグラシス(福岡・中央区)は色彩コンサルティングを生かした靴販売という新しい切り口で、美しく快適な歩行を提案している。
代表の中村美賀子さんは、イギリス留学後、色彩心理を専門にしたコンサルティングで94年に独立。靴とは縁がなかったが、ある経験が転機となった。

「飛び込み営業で歩き回るうち、足を痛めてしまいました。あまりの痛さに靴を脱いで帰ったこともあるほど。なんとかしたいと数軒の靴店を回りましたが、納得できる靴は見つかりません。痛みの原因を店員に質問したところ、『足が悪いんじゃないですか』と心無い一言も」と中村さんは振り返る(以下コメントは中村さん)。

無いなら自分で理想の靴店を作ってみせる、と一念発起で99年12月、福岡・天神にオープン。「靴販売と豊富な店内イベントを柱に顧客を獲得。年1足以上購入するリピーター率は48%に達しており、着実に売上げを伸ばしている。

国産オリジナルが人気

 レンガ造りのビルの1階、外光が差し込む明るい30坪の路面店は、従来の靴店のイメージとは異なる。天井近くまで高さのある木製棚を使い、靴を1スパン数点に絞り込んでゆったりと陳列。接客スペースでは1人掛けのソファを2つ用意し、その前の壁に全身鏡を2枚設けて、サロンのような空間を演出する。

 売上げの80%を占める靴は、バン産商が扱うスタイリッシュコンフォート、「カルツェリア・ホソノ」、「BMウォーキングシューズ」など約30ブランドを展開。「30代女性のライフスタイルを基準に選び、実際に足入れして納得できた商品だけを扱っています」。

主力は国内工場と組んで開発したオリジナルだ。女性5000人の足型データとスタッフの経験を反映させ、「見た目が良くて本当にはきやすいパンプス」を追求。12年前の発売以降、年1回ペースで新製品を投入し、総デザイン数は50を数える。常時15型を展開し、価格は2万7000〜3万2000円。年々リピーターが増え、今では5足のまとめ買いがあるほどの人気商品になっている。

インソールの提案も積極的。「価格に不安があるお客様が多いので、先に伝えると購入率が上がります」。靴購入客の半数以上が一緒に買うため、客単価は3万5000円と高い。バッグやアクセサリー、雑貨類もよく購入される。

 複数買いが多い理由は、1人当たり1時間〜1時間半に及ぶ接客にある。「洋服に合わせたカラーコーディネイト提案やメイクなど色彩の視点でアドバイスできるのが強み。お客様が好む色の傾向をつかみ、接客のポイントも変えています」。接客に立つ2人の女性スタッフはフィッティングとあわせて、「どうすれば美しさを引き出せるか」を念頭に置きながらお客に接している。

     


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