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コミュニケーションデザイン 渡辺孝二 

ティンバーランド

――直営ネットワークとVFによる成長戦略

都心型ブティックに改善された第2旗艦店
  ティンバーランドは4月29日、サンフランシスコのマーケットストリートに旗艦店をオープンした。ロケーションは観光客の最も集中する地区で、サンフランシスコの一等地である。続いて5月27日には、ニューヨークのヘラルドスクエアにも旗艦店をオープンした。
  同社は03年にサンフランシスコから撤退しており、10年ぶりの再出店である。ニューヨークは09年2月のSOHO旗艦店に続いて2店目の出店である。新旗艦店は共に都心のショッピングゾーンで、品ぞろえもファミリー客に対応している。つまり観光客狙いの店になっているのである。
  ティンバーランドは中堅フットウエアブランドで、最も早くから直営小売チェーン展開を推進してきた企業である。ジェフリー・シュウォーツ社長は2000年にアジア全域(5ヵ国)に直営小売ネットワークを展開した。当時そのようなフットウエアブランドはなかったから、短期間のうちにアジアでプレミアム・ブーツブランドとしてのイメージを確立した。余勢を駆って02年にはアパレルとフットウエアのマルチブランド宣言も発表し、サンフランシスコとニューヨークに直営フラッグシップストアを出店した。
  ただ、この拡大路線は04年からのトゥィーンズ市場急成長に対応できず、業績不振のなかでサンフランシスコ店は03年、ニューヨーク店は06年に閉鎖に追い込まれた。
  09年のニューヨーク旗艦店第1号店は、いわばリターンマッチをかけた直営ネットワーク構築の再挑戦だった。前年の10月にはロンドンのウエストフィールドモールに直営の実験ストアを出店しており、ニューヨーク店はその成果をベースにした本格的旗艦店の第1号になった。
  今回出店したサンフランシスコとニューヨークの旗艦店は08〜09年の2店に比較して、都会的にソフィスティケイトしたプロダクトに切り替えており、ストアインテリアも観光客向けの都心型ブティック(メトロブティック)に改善されている。
 今年6月13日、VFコーポレーション(本社=ノースカロライナ州は、ティンバーランドを買収することで合意したをと発表した。買収価格は1株43ドル、総額22億ドルである。

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