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特集  
 

トーニングシューズ

成長は一段落。代替ない独自性で市場定着を見込む
スケッチャーズ「シェイプアップス」とリーボック「イージートーン」の09年日本上陸から2年。売場の人気商品として定着しつつあるトーニングシューズの今後について、2大ブランドの販社と売場、識者に聞いた。
イージートーンを扱うアディダスジャパンでは「爆発的な成長は見込めないものの、引き続き成長市場であると予測。今後も生活に密着した新しいスポーツカテゴリーとして拡大する」と考えている。他のスポーツと異なり、参入障壁の低さが大きな魅力という。「今後は単なるテクノロジーからの視点だけではなく、より消費者のライフスタイルに密着した商品が市場をけん引すると考えます。カテゴリー全体が消費者に魅力的であり続けるような提案や取り組みを行いたい」。
シェイプアップスを扱うアキレスでは「今後の需要は横ばいと見ています。大きく伸びることはないと考えますが、こうした斬新な商品はそうそう出ないし、ウォーキングカテゴリーにトーニングの代替となるような商品はないので、縮小する要素も見当たりません」と見ている。「今後は商品の新機能を打ち出し、ターゲット層に新たな提案をしていきます」。
 
「ベアフットも構造の発想は同じ」
また売場でトーニングを8ブランド展開するアスビー渋谷センター街店では、「需要がひと回りしてリピーター中心になってきたが、まだまだやりきれる部分はある。機能や効果にも目が向けられるようになったので、接客時にブランドや商品の違いを説明すればリピーターの需要拡大につなげられそう。今後はある程度淘汰されながら、ランニングやウォーキングと同じように1つのカテゴリーとして定着するのでは」と見ている。
本場米国での動向はどうか。市場に詳しいコミュニケーションデザインの渡辺孝二代表は「米国ではひと段落した」と見る。メーカー各社の業績報告では、トーニングが売れているとの明言がなくなった、とも。「先駆ブランドが08年に登場して4年。最近は3〜5年で消費サイクルがピークを迎えるので、折り返しに入ったのでは」。
いま注目されるベアフットも“ポストトーニング”にはならない、と見ている。「ソール構造の発想は同じで、同じ根のもとから派生しています。米国ではベアフットが売れて業績が上がった、という話は今のところ聞きません」。
 日本国内でも米国でも爆発的な成長期は終えた。今後どのような形でひとつのカテゴリーとして定着していくのか、引き続き動向が注目される。

     
 軽量化で女性がよりはきやすい仕様に改良した11春夏新製品。リーボック「イージートーン」¥13,000     12春夏新製品はより細身で軽量、耐久性を向上。スケッチャーズ「シェイプアップス」 “エボリューション”¥12,000

 ゼビオがトーニングアドバイザーを全店配置

 スポーツ用品小売大手のゼビオは3月中旬から、「リアルトーニングプロジェクト」と銘打ったトーニングの販促企画を実施している。各店のシューズ担当者をeラーニングなどでトーニングアドバイザーに育成。より高い効果を求めて来店するお客に、具体的なアドバイスができるようにした。
 売場展開では「トーニングコーナー」を設け、リーボックなど5ブランドを集積。ブランドごとに基本的な構造の違いが分かるよう、POPを置いて分かりやすく説明する。さらに「合わせワザ」と称して、シューズの効果をさらに引き出すインナータイツやウエア、サプリメントを一緒に陳列、またはPOPで案内。販売員、商品展開の両面でトーニングを総合的に提案する体制を整えた。
 プロジェクト実施でトップブランドだけでなく2番手、3番手のブランドも売上げを大きく伸ばした。母娘の親子や夫婦、友達同士の来店が増え、効果が上がっている。同社は「トーニング需要はまだまだ多方面に拡大していく」と見ており、フットウエアの1つのカテゴリーとして今後も継続展開する方針だ。

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