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特集
高機能だから安心!
ONシーンではく 「帰宅靴」
昨年3月の東日本大震災直後から仕事靴に変化が表れた。それまでの一般的なエレガンス&ドレスから、イザという時でも長距離を快適に歩ける機能性を備えた靴に関心が集まった。やがて1年が経とうとしている。ここでもういちど、家まで歩いて帰れる仕事靴に目を向けたい。


京王百貨店新宿店

 1  歩きやすいパンプス・コーナーが注目される 
 京王百貨店新宿店の婦人靴売場は機能性にこだわったシューズを充実させており、ウォーキングシューズを大きな柱としている。そのため、震災前から「歩きやすいパンプス」の要望が高く、機能性のあるパンプスを集約したコーナー展開して好評だった。
 震災直後は節電対策の影響で、エスカレータやエレベーターが止まり、歩く機会が増えことなどにより、「歩きやすいパンプス」のコーナーがさらに注目を浴びた。秋には、“ウォーキングパンプス”と銘打って、さらにお客様にわかりやすく展開、「点数を拡大したこともあるが、前年比148%(11年3月〜 12 年1月)と驚異的な伸びを見せています」(婦人靴・洋品担当、宮島邦治バイヤー)。

  
 2  ウィズのバリエーションでフィットするもの 
 売れ筋の中心は「サクセスウォーク」とアシックスの「ジーロ」の2ブランド。「どちらもパンプスなのに歩きやすく、ヒールの高さを感じないところが人気の理由」(宮島バイヤー)。
 とくに「サクセスウォーク」はウィズがD、E、2E、3E、サイズが21・5〜 25cmまでの32 種類のサイズの中から選ぶことができる。「自分にフィットするものを選びたいが、いくつも出してもらうのは気が引ける」という声を反映したディスプレイがよかったという。デザインは黒のプレーンとストラップ付き、価格帯は1万6000〜2万円で、2 足目、3足目のリピーターも増えている。


 3  デザイン性も備えたウォーキングパンプスで 
 ウォーキングパンプスは確実に伸びており、「機能の優れたものを」という要望に応え、1万円半ばから2万円の価格帯の安定したものが売れるとみている。人気の2ブランドを核に、春夏はベージュ系やグレー系、パープル系などの色ものやデザイン性のあるウォーキングパンプスもそろえていく意向。
 昨年秋シーズンから導入している軽量パンプスの「アシオト」、4oの低反発中敷きが入った「ネネ」などで、デザイン性もあり、機能性にも特徴のあるものも増やしていく方針。「春はパンプスが強く、ウォーキングパンプスはさらに注目されると思います。前年比120%を目標にしたい」( 宮島バイヤー)。






西武池袋本店

 1  スニーカーから、歩きやすいパンプス通勤に 
 大震災直後はスニーカーやカジュアルシューズが人気を得たものの、4月に入ると一段落。かねてからパンプスが強い同売場は、パンプスのカテゴリーの中で歩きやすい靴を求める傾向
があるよう。「パンプスに歩きやすさをプラスした靴のニーズは強い。以前は40 歳以上が大半でしたが、いまでは若い方にも受けている」(婦人雑貨部婦人靴ゾーン店長・澤純也さん)。同
売場では2010 年10月に「履きやすさ」をテーマに売場を再編集し、依然からあった「ネオリズム」などの機能パンプスに加え、顧客の要望の高かった「サクセスウォーク」を導入。これが功を奏し、売上げは昨年上期で前期比109%。今年1月末時点で110%。 女性のニーズを踏まえたリニューアルは確かな効果をあげている。


 2  「サクセスウォーク」が高い伸びで推移 

 圧倒的な売れ行きを見せているのがワコールの「サクセスウォーク」。「壁面で展開していますが、絶好調。月に500万円を売上げます。今期は前期比700%で推移しています」(澤さん)。機能はもちろんのこと、インナーウェアでの知名度や信頼感、頻繁な電車広告や同売場が半期に一度開催して いるイベントがうまく結実している格好だ。売れ筋は黒のプレーンパンプス。サクセスウォークの売上げの8割を占めるが、「ヒールの高さが3・ 5cm から7cmまであり、ウイズもDから3Eまで選
べるバリエーションの豊富さが人気です」(澤さん)。ほかには、そごう・西武のオリジナルブランドで、モールド底の「リミテッドエディション」も好評。

 
 3  通勤パンプスの切り口で新ブランドを導入 
 通勤パンプスというカテゴリーを西武池袋本店の強みとすべく、3月からはニューバランスのパンプスを導入する。ストラップ使いなどデザイン性の高いラインアップで、ベーシックで汎用性が高いサクセスウォークとすみ分けを図って行く計画だ。澤さんが今後の課題として挙げるのは、年配の女性向け商品の拡充だ。
 「おしゃれな靴を求めて当売場を支持してもらい、キャラクターブランドを経てインポートシューズ(ブルーノマリやコールハーン)をはいてきた女性が年齢を重ねて、足に快適な靴に切り替えようとしたときの受け皿がない。いまの50 代、60 代は若々しく、格好よさを追求する。カンペールなどインポートカジュアルは支持されているが、国内ブランドが手薄。デザイン が秀逸ではきやすい国内ブランドの靴を育てていきたい」。