今月の記事・ピックアップ 2012・6
 HOME > フットウエアプレス >  2012-13 Autumn&Winter Collection ミカム見本市レポート 


“クラシック”から“メンズライク”ムードに

大幅減少するイタリア国内からの出展社、来場者
 3月4日から4日間、12-13年秋冬靴見本市ミカムがミラノ・ロー見本市会場で開催された。今回もパリのファッション展と一部日程が重なり、相変わらずの日程設定に疑問視する声も多かった。
 出展社は昨年同時期と比べて63社減の1560社、イタリア国外からは前年とほぼ変わらない609社が出展しており、イタリア靴メーカーの減少が際立つ結果となった。今回、ヴィトン・グループの「ロッシ・モーダ」は出展せず、ビジターズエリアに「マーク・バイ・マーク・ジェイコブズ」のみでの出展となった。
 来場者に関しては7%減少の3万6049人だった。イタリア国内が9・7%減少の1万7362人、国外が4・6%減少の1万8687人で、イタリア国外からの来場者数が上回った。内容を見ると旧ロシア諸国やアジア、アメリカからのバイヤーの積極的なバイイングが見受けられ、イタリア靴輸出の好調さを印象付けた。
 サグリパンティANCI会長は「ミカムは国際的な見本市であり、11年も輸出が12・2%増と好調で、メード・イン・イタリー商品が世界で人気なことが裏付けられた。しかし、国内マーケットは低迷しており、国内需要を喚起するさらなる政府の援助と対策が必要だ」と語った。

明暗分かれるブースの状況
 会場面積は今回も減少して6万8596uとなり、会場の所々に空きスペースが目立つ。出展各社のブースでも縮小しており、アイテムを絞っているブースが多かった。そんな中で「チエ・ミハラ」はブース面積を広げたという。
 「ファビオ・ルスコーニ」「アルベルト・フェルマーニ」など常に人があふれているブースがある一方で、ひっそりしたブースも見られるなど格差がますますはっきりしていた。今回の出展で8回目になるジャパンブースは、継続出展の効果が出始めており、オーダー状況も上々だった。

   

<商品傾向>
ショートブーツ、ブーティが主流に

 クラシックの流れが徐々にきていたが、ここにきてクラシックムード一色になった。ブラウン系を中心としたトラッドテイスト、マニッシュデザインが多様に提案されている。
 底回りは引き続きボリューム感を醸し出している物が多く、ストームやウエッジ、ブロックヒール使い、ラバーのタンクソールやラギッド・ソールをタウン用に採用している商品も目立つ。
ロングブーツは影を潜め、台頭しているのはミディアム〜ショートブーツやブーティ。このなかでサイドゴアが人気デザインだ。
 ファーを取り入れたブーツも提案されているが、今回はウール使いが多い。「ムートンは人気だが、価格を抑えるためにウールを採用している」と説明するのは「ブッテロ」。材料費の高騰が影響しているようだ。
 モダンなクラシック商品を提案している「アルベルト・フェルマーニ」では、日本側(総輸入代理店ヒットマン)が提案したデザインを取り入れ、全体的にフェミニンに仕上げている。スマートなスクエアトウのパンプス、エレガントなヒール使いと綺麗目な仕上がり。
昨年に引き続きクラシックカラーが提案されている中で、注目色は深みのある“クラシック・レッド”。ブラウン、グレー、モスグリーンのクラシックカラーにポイントカラーとして取り入れられている。



「メンズライク」が台頭

 ウィングチップ、ストレートチップ、マニッシュデザインをベースにした商品が多様に提案されている。エナメルやツヤ感のあるレザー使いで、柔らかさを出したものやヒールアップでフェミニンさがプラスされている。 




「ショートブーツ、ブーティ」が主流

 アンクルブーツやブーティが、人気のサイドゴアデザインを中心にさまざまな形で提案されている。ストーム、ウエッジ、ブロックヒールといずれも底回りのボリューム感があるのが特徴だ。




「クラシック・レッド」に注目

 オレンジに近い物からからダークなものまで、幅広いレッド・カラーが提案されている。素材や仕上げによって表情が変わり、いずれも深みのある印象的な仕上げ。



 注目商品

「Casadei」のトレンド表現

 イタリアのエレガンスのトップメーカー「カサディ」。毎シーズン、高度な技術を使ったエレガンス商品を提案している希少な靴メーカーだ。
来シーズンのトレンドは「ピンナップ・ガール」。“ベティ・ペイジュ”をアイコンに、フェミニンでレトロなパンプスを提案。トウ部分とヒールのラインを狭くし、セクシーに見えるデザインに仕上げている。
一方、現代のピンナップ・ガール“レディ・ガガ”をイメージして、ストーム入りハイヒールやネオンカラーを靴のラインやシューレースに採用し、夜でもラインのみが見えるような効果を狙ったシューズを提案している。
 他にもソフト・クロコダイルを使ったパンプスやチェーンデザインを施したヒール使いのブーツなど、高級素材を豊富に採用した商品を提案している。

心地よいはき心地「Olivia Martinez」

 「オリヴィア・マルティネス」は、イタリア・パドバの靴メーカー「de Roberto」が健康と美容を考慮して提案している新ブランド。秘密は活性炭と“Farro”(小麦の一種)を材料に使ったインソールにある。アーチ部に使ったFarroは、歩行時のバランス、循環を良くする働きがあり、靴をはいているとだんだん暖かくなってくる。活性炭は殺菌、消臭効果を備えている。
 イタリアメーカーもデザインに加え、機能性を追求した商品で差別化しているところが増えている。