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革靴メーカー31社のアンケートよりB
靴小売チェーンのOEMが優勢に

浅草を中心とした革靴メーカーの現状の取り組みをレポートする、シリーズ特集4回目の今回は、OEM(相手先ブランド生産)の現状を取り上げた。
当シリーズ特集の1回目で実施したアンケート(浅草地区のメーカー31社から回答を得た。回答企業は別表)でもOEMに関連することを聞いている。各社ごとのレポートの前に、OEMに関連するアンケートの概要を見る。
回答企業31社のうち、婦人靴メーカー60%、紳士靴メーカー38%(両方を手掛けるメーカーも含む)。従業員の数は11〜20人のメーカーが最も多く、次は31〜50人、50〜90人の順。従業員の平均年齢は47・6歳だった。回答メーカーは40歳代が52%と半数を占め、50歳代が31%。30歳代も10%あった。

8割のメーカーがOEMは主力
アンケートではオリジナルブランドの有無を聞いている。結果は「持っている」19社、「持っていない」12社の回答。61%のメーカーが自社契約のライセンスブランドも含め、何らかのオリジナルブランドを持ち、販売していることになる。
ただし、すべてのメーカーがオリジナルブランドの販売で営業ができているわけではない。全生産量に占めるオリジナルブランドの比率を見ると、19社中、100%オリジナルブランドで展開するメーカーは2社。このメーカーは小売店に直販するほか、百貨店での展開もある。このほか、オリジナルブランドの比率が50%を超えているメーカーが2社、50%が2社だった。オリジナルブランドの直営ショップを持っているメーカーや、百貨店でオリジナルブランドをコーナー展開するメーカーでも、全生産量から見た比率は50%以下となっている。
逆の見方をすれば、回答のあったメーカーの39%はOEMのみの展開であり、オリジナルブランドを持つメーカーでも、50%以上はOEMというのが4割ほどを占めている。

生産品の供給先は小売で、伸びている
OEMを手がけるメーカーに供給先を聞いた。複数回答だが、最も多いのが小売35%。次が卸33%。ほぼ同率だが小売が上回っている。都心型婦人靴チェーンとの取引が主である。卸は百貨店問屋といわれる大手婦人靴卸がほとんどだ。メーカー下請けと同率で異業種小売が15%の比率。数量、アイテム数は限られるが、アパレル小売はOEMが靴展開の一般的のスタイル。
アンケートでは増えている、減っている取引先を聞いている。増えている取引先では小売50%、異業種小売21%で上位。次が直営店やネット販売での消費者を上げる。反対に減っている取引先は卸が59%を占めた。
ただ、アパレルとの取引が「成果につながっているか?」については、43%のメーカーが「まだ判断できない」という意見。また、ネット販売については「成果が上がっていない」とするメーカーが53%を占めた。

企画力や営業力も求められる
アンケートでは、現状の課題と今後の計画について記入してもらっている。ここでは人材不足や高齢化、若手への技術継承が生産面の課題で上がってきている。OEMに関連した課題では、製品提案力・デザイン力の向上、きめ細かい対応、出荷価格の低下(価格を上げられない)、安定した受注の確保、販路開拓のための営業力アップ、といった課題が上げられた。異業種小売などと新たに取引を開始したことで、ロットが小さくなり、納期や価格設定も変わっている。また、これまで以上に企画力も求められており、提案型の対応が重要になっている。これまで必要としていなかった営業体制を設けることも必要になっている。