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夏の旅行シーズンを前に、盛り上がるトラベルバッグ商戦。収納性と軽量性をポイントに違いを訴求する売場展開。ケース周りの関連アイテムや日常使いの提案などでさらに需要拡大を図っている。(取材・文/ジャーナリスト・三田村蕗子) |
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軽さと丈夫さが購買ポイントに 東急ハンズ新宿店のトラベル用品コーナーの売上げはほぼ前年並み。最近の傾向は2つのキーワードに集約されるという。 「軽さと丈夫さ。サイズに関わらず、この2つが購買のポイントですね。サムソナイトのコスモライトは2つを兼ね備えたブランドとして高い人気を集めています。一番の売れ筋です」(トラベル用品担当の奈良場太一さん)。 ポリプロピレンシートを独自にシート上に加工し、高圧プレスをかけて仕上げたコスモライトは、サムソナイト史上、最強・最軽量とされるシリーズ。CMのDVDを流し、機能を伝える売場での販促策も購買を後押ししている。 リモワブランドの中で、軽量性を持ち味とするサルサエアーも好調なシリーズだ。「軽くて丈夫な上にデザイン性の評価も高い。女性にはAKB48の篠田麻理子が宣伝するエースのラグーナライトが、中国など外国人観光客にはメイド・イン・ジャパンを特徴とするエースのプロテカが好評です」。 軽量性を追い求める消費者志向は、荷物の重量を50sまで測定できる「ラゲッジチェッカー」の人気にも表れている。「最近の航空会社は重さにうるさく、特に米系エアラインはシビア。超過料金を払いたくないという方が非常に多い。行きは自宅の体重計で測れるが、帰りはそれができないので、事前にこの商品を購入し、ホテルで測定するという使い方です」。 圧縮袋も一緒に売れる 軽量化のあおりを受けて、売上げを伸ばしている旅行用品もある。衣類を小分けにする圧縮袋だ。重さをカットするため、無駄なポケットをなくしたスーツケースが多いため、中で荷物が暴れないようにと購入する客が以前にもまして目立つのだ。 ハードとソフトとではハードケースが優勢だ。ハードが軽量化しているため、ソフトは以前ほど売れなくなっている。ただし、国内用や1〜2泊用としては地味な黒系の需要は手堅い。 より軽くという志向は今後も高まりが予想される。 「年齢が上になればなるほど軽いスーツケースが好まれる。ただし、人気のコスモライトでも、その仕様(シェル型デザイン の凹凸リブ構造)に抵抗があるという年配客は少なくない。年配客の色や柄についての保守的な傾向はまだ続きそう」。
サイズは2極化し、好調な伸びを維持 昨年の大震災後も売上げを落とすことなく、前年並みの数字を確保したサックスバーフェーズ越谷レイクタウン店。今年も順調に売上げを伸ばし、前年比120%のペースで推移し、夏の旅行シーズンに突入した6月は前年同月比150%を達成した。 スーツケース(ソフトやハード含む)の年商は4000万円。商品単価も以前の1万6000円から1万9000円にアップし、好調を続けている。 最近の傾向として、東京デリカ第2販売部地区長の会田一郎さんが挙げるのは、収納容量の二極化だ。 「機内に預け入れられる小さなサイズか、70リットル、80リットルという大容量サイズ。この2つに売れ筋がはっきりと分かれている。ただ、全体的な傾向としては軽量性を求める人が多い。当店は30代〜40代のファミリー客が大半なので、デザインよりもとにかく軽さを望む方が大半。みな重量には敏感です」。 大容量の「リモワ」が人気トップ 大容量サイズの商品で圧倒的な人気を獲得しているのが、リモワのスーツケースだ。以前から同店では人気が高いブランドだったが、取り扱いを増やし、軽量素材・ポリカーボネートを使用して軽量化を果たしたサルサエアーシリーズなど高額帯の比率を増やした商品政策が奏功。月商は2倍ほどの70〜80万円にアップ。同ブランドの売上げは昨年の290万円から今年はさらに増え、最終的には450万円近くに達する見込みだ。 軽量性を武器とする商品では、サンコー鞄のスーパーライツMGシリーズも人気が高い。リモワよりも比較的高い年齢層に支持されているという。 機能的に際立った特徴はないが、イノベーターも高いブランド力を発揮している。 「特に軽量というわけではないがブランド化した珍しいケース。企業努力もあって値崩れせず、ブランドイメージを保っている」。 今後の傾向について会田さんは次のように語る。 「軽量性が求められる傾向はこれからも続きそう。と同時に、最近は機内預け入れサイズのスーツケースを日常的に使うという人が着実に増えており、こちらも潜在需要は高いので、拡販していきたい」。 |
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