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ピッティ・イマージネ・ウオモ

日本人バイヤーが30%増加

 第82回「ピッティ・イマージネ・ウオモ」が6月19日から22日までの4日間、イタリア・フィレンツェのバッソ要塞(Fortezza da Basso)で開催された。真夏のような暑さの会場には、涼しげなエレガントカジュアルで着こなした出展者や来場者であふれかえっていた。
 常連ブランドから新鋭ブランドまで1065ブランド(海外390ブランド)が出展し、カテゴリー別に分かれた42ヵ所のパビリオンで、最新コレクションを発表した。
 今回は「Wonderfood Pitti」をテーマに、「我々が持つ文化、情熱、テイスト、生きるための理由の源を自然からもらった$H物に回帰し、共に生きることと、その一方で美しさ、エコロジー、都会的なパノラマを再生する」を掲げ、会場中央にオリビエロ・バリディーニがデコレーションした野菜とフルーツのスタンドバーを設置、それを守る案山子(かかし)が会場の雰囲気を盛り上げた。
 主催者が発表した会期中の来場者は3万人を超えた。このうちバイヤー数は1万7800人で、イタリア国内は16%減少の1万0400人、国外は7400人で8%増加した。
 海外からのバイヤーで最も増加率が高かったのが日本(+30%)で、ロシア(+20%)、トルコ(+12%)、アメリカ(+10%)と続く。中国、韓国に関して来場者数は減少したものの、ショップ数は増加した。ヨーロッパはイギリスの増加を除いては減少となり、ブラジル、インド、南アフリカ、メキシコからのバイヤー数は増加するなど、現状の世界経済の状況を表す結果となった。


 見本市のラファエロ・ナポレオーネ会長が「出展社すべてが商品開発やマーケティングに力を入れ、価格設定に大変な労力を費やしており、クリエイティビティーかつ市場性のある商品ンとして、多くのコレクションが大きな成果を得たようだ」とコメントしているように、バイヤー達はクリエイティブでありながらも値頃感のある商品に注目していたようだ。


 商品傾向

涼しげなインディゴが人気

 カジュアル化が進む中で追求される“心地良さ”。今回もさらに軽くなった“スーパーライト”なスタイルが多く登場した。
 注目は“インディゴ”を取り入れたスタイル。ウエアからシューズまで、涼しげなデザインに仕上げたインディゴブルーが目を引く。
 ジャパンブランドを集積したジェイプロジェクトに出展した「Copano86」では、農作業着をヒントにしたインディゴのパンツを提案。同ブランドは藍染のパンツやウエアのコレクションも提案し、ジーンズはイタリアの有名ファッションブランドでも採用されている。
 「Brunello Cucinelli」のテーマは“タイムレスラグジュアリー”。50年代のアメリカと80年代をミックスしたラグジュアリースタイルを提案している。

ライトでクールに仕上げたトラッド

シューズではブローグ、サドル、ローファーなどトラディショナルデザインをさまざまなアレンジで、夏らしくライトに仕上げたスタイルが多く提案されている。
 「トリッカーズ」「パラブーツ」の日本総輸入代理店となっているGMTでは、日本市場に合わせたデザインを提案、今ではそれが人気モデルとして世界をリードしている。
 カジュアルでは革とスニーカーのミックスデザインが人気で、特にヨーロッパのバイヤーは、レザーシューズを探していると言う。
「Maccheronian」を提案しているタナカユニバーサルでは「レザーシューズは人気だが、売れているのは100ユーロ以下」と、価格に対して相当慎重になっている現状がうかえる。





 ブランド紹介

「Maison de Fous」

スペインのエスパドリーユメーカーが提案するカジュアル

有名ファッションブランドも手がけるスペイン・エルチェの伝統的なエスパドリーユメーカーが独自のブランドを立ち上げ、ピッティに初出展した。
 新ブランドデビューにあたり、商品コンセプトからプレゼンテーションの仕方までを充分に考慮、スタイルをよりわかりやすく伝えるために、ポルトガルで生産したポロシャツを提案し、足元とコーディネイト出来るようにデザインされている。
パッケージなど細部までスタイリッシュにデザインされているブースが目を引き、初出展にも関わらず、多くの来場者から反響があった。
 日本では八木通商が輸入代理店になっている。

「You Footwear」

コスモポリタンなライフスタイルを提案するシューズブランド

 3度目の出展になる「ユーフットウエア」は、地球環境を考えながらスタイリッシュなシューズを提案しているイタリアンブランド。
 ベジタブルタンニンレザーとフェルトやカーテン、キリムなど高級レザーと再利用された生地の組み合わせが素材の対照、異文化の魅力を生み出している。
 今回、イタリアで活躍する次世代の才能あるデザイナーを対象とした「Who is on Next? Uomo」にノミネートされ、その才能がファッション関係者から高く評価された。
日本では有名セレクトショップで販売されている。



「One Over One」

メード・イン・イタリーのジャパンブランド

 前回から現代的な職人が作り出すブランドに着目した「Make」パビリオンが新しく設置されたが、そこにイタリアで生産するジャパンブランドが出展している。
 日本人デザイナーが発想したデザインを、革製品の本場イタリアの素材を使って現地のメーカーで生産するという、いわば日本とイタリアがコラボレーションしたブランドだ。
 “使う人によってその製品が完成されていく”との意味が込められたブランド名の商品は、オリーブの木を使ったファスナーの取手を採用したバッグや機能的な財布、小物など日本人ならではの繊細なデザインが特徴的。9月にはフィレンツェに直営店もオープンする。
 皮革輸入会社サライが日本の代理店となっている。



 トピックス

 コロンブスの「Boot Blak」を海外のショップで販売

 コロンブスのスタイリッシュなシューケアブランド「ブートブラック」が、ドイツ・ハンブルグ、イギリス・ノーザンプトンのショップからオーダーが入った。ジャパンブランドの品質に対する信頼性と新しい物を探していたバイヤーとの思惑が一致し、今回のオーダーに結びついた。
 イタリアの有名ファッションレザーブランドのブティックでシューケアクリームを販売するという話も進んでおり、着実に展示会出展の効果が表れ始めている。