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転倒しないためにも
合った靴をはくことが重要

エムズフットは大阪・寝屋川市にある。同店は「みのる薬局」の店名で調剤薬局を経営するミノルの子会社。この薬局が靴店「エムズフット」を開業するきっかけを、店長の小縣俊介さんは次のように話す。
 「薬局では『健康は自分で管理しましょう』というセルフメディケーションのために、OTC医薬品(一般用医薬品)をたくさん置いている。そのなかには介護シューズも販売している。しかし、多くの売場が足のサイズをきっちり計測し、フィッティングを見て販売していない。そこに疑問を感じた」。
足に合わない靴がすり足を助長し、転倒の危険性が高まる。本来、健康の支えであるはずの薬局が、フィッティングをせずに靴を販売することで、転倒するきっかけをつくっているというのである。とくの転倒による骨折が、高齢者の場合は寝たきり、痴呆の原因になりやすいという。


靴の販売からフットケアまで
多彩なサービス

エムズフットの開業は10年8月。薬局の子会社が展開する靴店として特徴を出すために、扱い商品は絞り、フィッティングやフットケアを主力に、機能ソックスや靴修理のサービスを行っている。また、オリジナルでゴルフ用のインソール販売に取り組んでいる。

靴販売、修理
 靴はミズノのウォーキングシューズ、ハイキングシューズ、ゴルフシューズを取り扱い、クリームや消臭剤などの関連商品も置く。
 靴修理は12年5月からスタートした。お客さんの中に靴の修理を求める声が多かったことから始めたもので、お客さんからは好評で靴購入のリピーターにつながっている。

足長、足幅、足囲の計測
 必要があればフットプリントも採り、時間はかかるが、靴の販売やサービスにはとても重要なこととして取り組んでおり、お客さんにも好評だ。

5本指ソックスの販売
5本指ソックスがソックスの売上げの大半を占めている。5本指ソックスに興味のあるお客さんにはフィッティングする前にはいてもらい、はきごこちを感じてもらいながらフィッティングしている。ほかに外反母趾を予防・緩和するソックスも扱っている。

各種インソールの販売
歩き方の矯正をする、ヒール靴に入れるタイプなどいろいろ扱っている。なかでもゴルフに特化した品ぞろえに力を入れている。ゴルフシューズのパターンオーダーを用意し、ゴルフ専用のインソールも開発している。これが同店の経営に貢献している。
ゴルフ場主催の催事などで足や靴の相談会をするなど、ゴルフシューズやインソールの売上げにつながる機会も広がっている。またセレクトショップに同店のインソールを置いてもらうようになっている。

フットケア
ドイツ式フットケアに取り組んでいる。メニューはカウンセリング、フットバス、爪ケア、角質ケア保湿パックなどがあり、足が痛くなくなった、歩くことが楽しくなったと喜ばれている。

鍼灸師や接骨院とも連携
地域ネットワークをつくる

 エムズフットの周辺には大学病院、整形外科、皮膚科などが点在し、隣には調剤薬局がある。
「靴屋は医療や義肢装具士との連携は大切だと思っている。オープン当初に多くの医師に挨拶したのですが、反応は冷たかった。反面、鍼灸院や接骨院は真剣に話を聞いてくれた。なかには足のことを熱心に勉強している人もおり、連携をはかって互いのビジネスにつながるように活動している」(小縣店長)という。
同店のパンフレットを鍼灸院に置かせてもらうと同時に、鍼灸院のパンフレットを自店に置き、「いい先生がいますよ」というアナウンスもしている。鍼灸院や接骨院とのつながりは、地域で「足」を支えていくための足がかりにもなっている。今後もこうしたネットワークをベースに、靴の大切さを啓蒙する活動をしたいという。
同店では子供靴にも力を入れており、子供靴も扱うと同時にいろいろな啓蒙活動もしている。店長は幼児子ども専門シューフィッターであり、子供靴の重要性を地域に強く浸透させるため、お母さんサークルやラジオ番組に出演し、子供靴の選び方やはかせ方の話をするなどの活動をしている。
 ウォーキングなどはきごこちのいい靴に絞っていることで、お客さんからは「もっとパンプスやかわいい靴はないの?」と言われるという。しかし、今後も靴の種類を増やすことは考えていない。ターゲットを絞り、生涯歩行やスポーツのサポートを大切にして方針は変えない考えだ。ここでは靴屋として、まだまだお客さんに喜んでもらえることはないか? 常に考えている。
 

 エムズフット
大阪府寝屋川市香里南之町19-31田村建設ビル102
TEL: 072・802・3332