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 HOME > フットウエアプレス >  アセアンで靴生産に取り組む

日本のメーカー・卸の多くが、90年代に入ったころから中国で本格的な海外生産に取り組んできた。しかし近年の生産コストのアップから、中国以外の国にも生産拠点を求めるようになっている。ここではLDC(後発開発途上国)などアセアンにも生産拠点を持つ企業に、チャイナプラスワンのメリット、デメリットと併せ、現状を聞いた。


マドラス

インフラ整備と技術力アップのカンボジアに期待

 マドラスが海外から靴を仕入れている国は、紳士靴では中国、イタリア、メキシコ、タイ、ベトナム、カンボジア、バングラデシュ、ミャンマー。婦人靴も合わせると、これらの国にオーストリアやドイツ、スペイン、ポルトガルが加わる。もっとも多いのは中国。海外生産の50%近くを中国が占めるが、最近は賃金が安く、最特恵適用国であるカンボジアやミャンマーの比率が少しずつ上昇中だ。  「特にカンボジアはインフラ整備の進展が著しい。工場にも新しい機械や設備が導入され、技術力も上がり、生産可能な商品の種類が増えてきた。中国と比べ、モノにもよるが単純に上代ベースで3000〜5000円安くなるのは魅力」(第一商品部・小栗金弥部長)。  革を国内で調達できるバングラデシュも増加している国の一つ。特徴はコブ牛がいること。婦人・紳士ともにサンダルのレベルは高い。加工底やモールド底の加工が中国並みになれば、商品のバリエーションも広がりそうという。  今後の強化国としてベトナムも挙げる。「最特恵国よりは高くなるが、技術水準が高く、仕事がていねいで、働きぶりもよい。これからウエートが高まっていくでしょう」。

 
                        ミャンマー協力メーカー


リーガルコーポレーション

安定した品質をめざし、アセアン生産が5割強

 国内の生産子会社は主力のドレス、ビジネスアイテムを生産。海外はカジュアル・アイテムを中心に直貿(直接貿易)と商社経由を併用し、調達している。
「海外については直貿比率を高めてきたが、エリアの拡大に伴い商社経由を見直している」(業務統括部・武川雄二部長)  海外生産のうち、もっとも比率が高く、2011年度で約6割を占めていた中国が、12年度は50%を割り込むところにまで減少した。これは、海外子会社である「Hongkong regal」が人件費の高騰を受けて、生産地を中国からベトナムにシフトしたことによる。  伸びているのはタイ、ベトナム、カンボジア、インドネシア、インド。バングラデシュとミャンマーは微減傾向にある。「この2ヵ国はインフラが未整備で原料調達もまだ難しい」ためだ。  これからも伸びが期待されるのはカンボジアとベトナムだ。特に後者は従業員の性格が真面目でメンタリティーが日本人に近い。
「靴は労働集約型の製品なので、安定性は重要。単に安価な労働力を求めるのではなく、弊社の品質基準をクリアできることを前提に、個別に企業・メーカーのレベルで判断し、移転を進めていく」という。



他の企業についてはFWP本誌に掲載