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加工とシンプル仕上げの両極を提案

景気回復を背景に出展社、来場者とも増加

 2014年春夏素材見本市「リネアペッレ」が、4月3日から3日間、イタリア・ボローニャ見本市会場で開催された。
 出展社は昨年同時期より3・3%増の1081社(イタリア745社、国外334社)。内訳はタンナー514社、アクセサリー・コンポーネント443社、ノン・レザー106社、デザイナー・学校・他18社となった。
 来場者は昨年同時期より6%増の1万9000人。42%がイタリア国外からの来場者で、97ヵ国に及ぶ国外来場者は13%の増加となっている。特にアメリカ、フランス、中国からの来場者が多く、日本や韓国からの来場者も増えた。今回の出展社、来場者増の背景に、景気の回復が見られると主催者側はコメントしている。
 高級素材、価格パフォーマンス性のあるもの、トレンドに左右されない素材などが来場者の興味をひき、イタリアタンナーの間では上質原皮の買占め問題が話題となっていた。さらに、環境保護の意識も高まっており、ISO取得企業も増加している。



素材傾向

デリケートカラーで表現されたなめらかで透明感のある素材

 展示会場全体が明るい雰囲気にディスプレイされたスタンドになっている。来シーズンは、すっきりした印象のデリケートカラーが多彩に提案されている。
 シンプルで透明感のある仕上げが注目され、アクセサリー・コンポーネントでも「クリア」がトレンドとして浮上している。肌触りがなめらかで上質な雰囲気の革が人気のようだ。
 小判を得意とする「ステファニア」では、キッド、スエード、ガラス、ナッパ、エナメルすべてのカテゴリーをマットレザーで提案している。ナッパに関しては、昨年より倍のオーダーが入っているという。


 レザー・トレンド
 
   多彩なデリケートカラー
 

 ライラック、ミント、スカイブルーなど、デリケートに表現された中間色が多彩に提案されている。「コンチェリア800」では、ライラック、グレーが人気カラーと語っている。




  ファッション系は加工、クラシック系はシンプル

 今回は全体的に統一したトレンドはなく、各社の人気素材がそれぞれ違っている。ファッショ系を得意とするところは加工レザーが多く、クラシック系はシンプルな仕上げ。
 日本人には、すっきり仕上げたシンプルレザーが人気のようだ。







  バラエティーに富んだカラフル素材

 ノン・レザーでは、カラフルな水玉をモチーフに使った生地が人気。「Fontanella」では、シルバーとのコンビ、カラフルスタンプ、花のファンタジーをトレンドとしてあげている。「オーダーの際は、みな値段を相当気にしているようだ」と語っている。



 
植物タンニンなめし革協会のメンバーである「ラ・ブレターニャ」が香り付きの革を開発、新製品として展示した。素材は植物タンニンなめしではないが、話題性のある物をと今回の開発に至った。
 バニラ、レモン、アップル、ローズ、オレンジとそれぞれの色に沿って5種類の香りが付いており、「バッグや小物からほのかな香りがしたら楽しいだろうと考えた」と同社のパオロ氏。香港のレザーフェアでは好評だったようだ。

 

 企画力で定評のある「富田興業」が、ピッグのスエードに和紙を使ったダブルフェイスレザーをトスカーナのタンナー「リノ・レポラッティ」のブースに展示、「グッチ」の来シーズンのサンプルに採用が決まった。白なめし革のバッグを「グッチ」で製造したという実績があり、今回はコラボレーション第2弾となる。
 「New Pelli」のブースではシープのスエードと和紙のダブルフェイスフェイスレザーを展示し、ネーミングも「サクラ」と日本らしい。

 パーツ
 キーワードは「ライト」「クリア」

 来シーズンのトウラインは短めのポインテッド。さまざまなヒールの高さのポインテッドトウが提案されている。
 ヒールのトレンドはカラフル、クリア、シックが挙げられており、アクセサリーでもクリア、ミラーと「クリア」が重要なキーワードとなっている。
 「ヴィブラム」ではより軽量化したソールが提案されていた。ミッドソールにEVAのインジェクションソールを使い、アウトソールをカスタマイズできるというフレキシブルなソールの提案を行っている。