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モノづくりの現場を見てもらい、体験してもらう

――280社が参加、町おこしにもつながる

 2013年5月24~26日の3日間、晴天のもと、東京・台東区の南部・徒蔵(カチクラ)エリア(御徒町~蔵前~浅草橋にかけての2km四方の地域)で開催された第4回モノマチが、大盛況のうちに幕を閉じた。「モノマチ」とは、古くから製造/卸の集積地としての歴史をもつ徒蔵エリアを歩きながら、「街」と「モノづくり」の魅力に触れてもらおうというイベント。

  100を超えるワークショップやモノづくり体験&実演、90組のクリエイターと職人によるマーケット「モノづくり市」、職人見学ツアー、スタンプラリーやトッピングを重ねてオリジナルのトートバッグをつくる「トッピングラリー」など、いくつもの魅力的な企画で構成されている。
 
 会期中の動員数の正式な発表はこれからだが、約6万人(延べ)を集客した前回よりも参加企業が約2倍の280社に増え、3日間を通して天気にも恵まれたことから、10万人近い人々が足を運んだとみられる。

 徒蔵エリアは革小物、アクセサリー、帽子など服飾雑貨のパーツや道具、卸、職人が一堂にそろう、世界でもまれなエリア。モノマチは、台東デザイナーズビレッジの村長・鈴木淳氏が地域内の有志に声を掛ける形で11年5月にスタート。第1回の参加企業は53社だったが、延べ1万人の人々がこのエリアを訪れた。以後、回を重ねるごとに着実に参加企業を増やし、知名度を上げ、モノづくりの魅力をアピールすると同時に、これまで横のつながりが薄かったモノづくり関連の企業や職人との結びつきを強め、地域の活性化に貢献している。

 最近は、「モノづくりをするならここで」と徒蔵地区で工房や店を構えるクリエイターも急増。テレビや雑誌で「カチクラ」を目にする機会も増えている。年に一度のイベントの域を超えて、町おこしとして機能しているモノマチと徒蔵地区の注目度は今後さらに高まりそうだ。






台東デザイナーズビレッジ村長・鈴木淳
徒蔵エリアを日本のソーホーに
 モノマチは、毎年実施している台東デザイナーズビレッジ(通称デザビレ)の施設公開イベントがきっかけとなって開催に至りました。デザビレを中心に町ともっとつながっていこうという取り組みを深堀りした形です。村長を努めるかたわら、マーケティングディレクターとして中小企業へのアドバイスも行っていますが、国内で下請けだけをやっていたのではこれから厳しくなる一方。製造卸や製造小売への転換が必要です。そのために、会社やモノづくりの現場を見てもらい、この地域でつくったものをブランド化していかなくてはなりません。幸い、第4回も大好評のうちに終わり、予想以上の手応えを感じています。モノマチを開催する過程で企業の横のつながりが増したのも大きな収穫です。
 ただ課題も少なくありません。参加企業が300社近くになり、マンパワーが限界に来ています。今後は、ガイドブックの製作など作業をシステム化し、空いた時間でコンテンツをつくり込み、地域の町会や住民がもっと参加しやすい形を考えたい。外国人の集客も強化していきます。目標は徒蔵をNYのソーホーのような町に育て上げること。日本のモノづくりの魅力を世界に発信していきたいです。