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 2014年春夏コレクション 第80回エクスポ・リヴァシュー・レポート
     ミラノ在住通信員 大谷聡美

発展を続ける国際靴見本市

 2014年春夏コレクション靴見本市「エクスポ・リヴァシュー」が、6月15日から4日間の日程で、イタリア北部にあるリヴァ・デル・ガルダ展示会場で開催された。今回は80回という節目を迎え、ガルダ湖畔にあるパラミーティングで「ザ・シュー・マスト・ゴー・オン」と題して、歌や音楽、ダンスを織り交ぜながらリヴァシューの軌跡をたどったショートフィルムが披露された。さらに、トレント州の名産を試食できるアペリティフ(食前酒)タイムを開催、街とのコラボレーションを図った。
 1297社(イタリア343社、国外954社)が出展、展示面積は3万2685uを占め、エチオピア、ギリシャ、シンガポール企業が初出展した。中国メーカー専用のフロアに続き、グループ出展しているインド靴メーカーの専用フロアも設けられ、インド皮革輸出協会が、2年前から開催しているインド・リヴァシューのPRを行った。
 来場者数は昨年比15%増の1万0850人。イタリアを筆頭に、ヨーロッパ、カナダ、アメリカ、日本、中国、メキシコ、チリ、さらにケニア、南アフリカ、エジプトからの来場者が目立った。
 同展示会マネージメントディレクターのジョヴァンニ・ラエッザ氏は「30億足の靴販売と具体的な商談が行われた第80回リヴァシューは、将来へ向けて発展を続ける展示会である」とコメントしている。
リヴァ・デル・ガルダ・フィエラコングレッシのカルラ・コスタ女史は「リヴァシューは新しいトレンドとアイデアが出会う重要な場、南ヨーロッパやアジア、南アメリカのクオリティの高い手づくり商品も注目に値する」と述べている。


増加する日本人来場者

 近年、日本人来場者が増加の傾向にある。靴業界関係者に加え、靴分野に参入しているアパレル企業、ショップなど新しい業態の来場者が増えているようだ。
 「この展示会は早くサンプルが手に入るので、10月の国内展に充分間に合う。ミカムに比べてゆっくり商談が出来るのもメリット」とコメントするのは長年同展示会に足を運んでいる靴のインポーター。あるアパレル企業は、「最近、リヴァシューに来ている。インドの生産地まで足を運んだが、手の込んだものは難しく、シンプルにアレンジした商品を商談している」と語っている。
 ピッティ展と開催時期が重なっていることもあり、双方の展示会を視察するという来場者がほとんどだった。

グローバル化する商品

 国の枠を越えたコラボレートの結果生まれた、グローバルな商品がますます増えている。
 例えば、ドイツのタクシーシューズ社は、イタリアのデザイナーを採用、中国で生産した商品をヨーロッパやロシアに販売している。ドイツのマークシューズ社は、インド生産のレザーを採用、商品はポルトガル、インド、インドネシアで生産している。


 商品傾向

人気のショートブーツ

 レディスでは、秋冬から人気のショートブーツがサマースタイルとして継続。ブラウンやベージュのナチュラルカラーに明るいブルーやグリーンをポイントカラーとして加えている。
 ビーズを使ったモダンエスニック風のサンダル、淡い色合いの型押しやスネーク柄を採用したバレリーナなど形より素材で新しさを表現している。 
 「メンズは細身のスタイルが新しい」と説明するのはナポリの靴メーカー、ヴェラ・スポート・イタリア社。フランス・ドレスコ社のデザイナーは、「キッズではビビッドカラーやアニマル柄を採用した楽しいデザインが充実している」と語っている。



 各国の靴メーカー

イタリア
好感度トレンド商品を提案「Vela Sport」

 20年続くナポリの靴メーカー。ほどよいトレンド商品が充実しており、メンズ、レディスとテイストごとにブランドを分けて提案している。販売先はフランス、日本などイタリア国外が主で、日本ではドゥオモ商事と取引をしている。平均FOB価格メンズ40ユーロ、レディス25ユーロ。



エチオピア(初出展)
エチオピア製の靴を世界へ「Tikur Abbay Shoe s.co.」 

エチオピアでは大手10社の靴メーカーがあり、もともと国内やウガンダ、南スーダンの軍隊用の靴を生産していたが、近年になって安全靴やファッションシューズに転換してきた。
 同社ではレディス、メンズはクラシックからスポーティーまで幅広いタイプの靴を生産している。イタリア向けにノックダウンも行っており、今後、エチオピア製シューズをアピールしていきたい意向だ。
 平均FOB 価格レディス7・5ドル、メンズ15〜16ドル。



インド
手の込んだハンドメイド商品が充実「J.K.Footwear」

40年続くムンバイの靴メーカー。日産800足で、メッシュやペイント、刺しゅうなど手の込んだデザインをすべてハンドメイドで仕上げている。
 最近は中国からインドへ生産拠点を変える所が多く、主にメンズ商品はアメリカ、レディス商品はヨーロッパに販売している。平均FOB価格7ユーロ。



アラブ首長国連邦(初出展)
ドバイ発のコンフォートシューズ「Gulf Footwear」

 1994年に設立された同社は、ドバイに6社ある靴メーカーのひとつ。当初は国内向けに生産していたが、マーケットが狭く、世界へ販売することに。主力はコンフォートブランド「コンフォートプラス」。日本への販売もトライしたが、関税が高く、難しいとのこと。ちなみにヨーロッパ向けの輸出には5%の関税がかかる。平均FOB価格12〜15ユーロ。



ポルトガル
幅広いレディスコレクション「Enecentury」

 エレガンスからスポーティーまで幅広いレディストレンドを提案している、30年続く靴メーカー。スタートはメンズシューズを生産していたが、5年前からレディスのファッションシューズに切り替えた。
 リヴァシューではデンマークなどスカンジナビアからのクライアントが多く、ミカムでは日本のクライアントが多い。平均FOB価格30ユーロ。


スペイン
日本で人気のエスパドリーユメーカー「Gaimo」

 伝統的なエスパドリーユをオリジナル性のある素材使いでファッション感度の高い商品に仕上げており、生産はすべてハンドメイド。有名ファッションブランドのOEM生産も手がけており、日本でも人気がある。
 スペイン、イタリア、アメリカに販売しており、日本ではGMTが販売店になっている。平均FOB価格レディス25〜30ユーロ、メンズ30〜40ユーロ。