今月の記事・ピックアップ 2013・8
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 グリーンボックス 葛西店(東京・江戸川区)

多様なブランドを導入し 価格帯に幅を持たせる

 「グリーンボックス 葛西店」のあるイオン葛西店は、GG(グランド・ジェネレーションズ)対応の一号店だ。最上階である4階をGG対応スペースと位置づけ、楽器店やカルチャースクール、書店などを置いている。この施策は効果を上げ、シニアの来店客が増えている。当然、2階にあるグリーンボックスの店でもシニア層が夫婦で、また母娘で訪れる頻度が高まっている。

 店舗は約130坪と大きく、4月に(同じフロアではあったが)現在の場所に移動した。その際にイオン側から「百貨店のような品ぞろえをしてほしい」という申し出があり、「イング」「マドラス」「クラークス」「エコー」など1万円台のブランドをレディス中心に新たに導入、価格帯に幅を持たせている。レイアウトではブランドシューズを壁面に飾り、フロア内の島什器では価格のこなれたPBを置いてアイキャッチにしている。ことにレディスでは、「履き心地の良い靴」コーナーを設けて「パンジー」やシンエー社の靴などを集中的に置き、効果を上げている。

「GG世代(50代半ば以上)よりも40代のOLさんなど、もっと若い世代にも売れています。壁面が全面的に変わりましたので、ブランドをよく見ていらっしゃるお客さまが多くなりました。そんな方々には、なるべくお声掛けするようにしています。皮革のシューズは足入れしてみると感触が違いますので、それを体験していただきたいのです」(高橋絵里店長)

アメカジブランドが人気

 レディスブランドで人気なのはパンジーやクラークス。クラークスは圧倒的人気で、以前取り扱った経緯があるだけに「また始めたのね」と戻ってくる顧客が多いという。
 メンズでの導入ブランドはクラークスとリーガルで、壁面を二分する勢いだ。このほか、PBの「チェロキー オム」のデッキシューズが、夏らしい爽やかなブルー、コンビカラーを提案している。同じ「チェロキー」からはかかとも踏める、夏らしい超軽量でメッシュのイージーシューズが発売され、シニアに限らず非常な人気となっている。
 さらにスニーカー部門では、上階にフィットネススタジオが入ったこともあってジョギングコーナーを新設したところ、かなり売上げを伸ばすことができた。健康づくりのためにジムに通うシニア層も増えてきており、そのニーズをつかんだためと思われる。ブランドとしては、ニューバランスのものがよく売れている。
 非常な速度で高齢化が進む日本において、イオン葛西店は一つのモデルになるだろう。その意味で、グリーンボックス葛西店の品ぞろえや販売方法は大いに参考になるものと思う。



 アスビーウォーク 北浦和店(埼玉・さいたま市)

ていねいな接客でウォーキングシューズを売る

シニア業態店

 ジーフットが運営する「アスビーウォーク 北浦和店」(埼玉、さいたま市・TEL:048・826・7077)は、JR京浜東北線北浦和駅から徒歩10分ほどのイオン内1階にある。「足によい」「足入れしやすい」靴を主軸に品ぞろえし、ウォーキングシューズの展開は幅広い。来店客の主力ゾーンは50〜60代の女性たちだが、このゾーンに歓迎され、売上げを拡大することに成功した。品ぞろえは店頭のサンダル、ブーツなどの季節品をのぞけば、はきやすいウォーキングシューズが主体で、メンズが2割、レディス6割、スポーツ2割。

「アスビーウォーク」の業態は同店が第一号店であり、昨年12月にオープンしたばかり。同じイオン内2階に「グリーンボックス」があるが、商品がかぶらないように調整している。のみならず、セルフが基本のグリーンボックスとは対照的に、「ていねいな接客」を基本とし、店頭の1万5000円を超す商品を多く販売している。
「客層も分からないままスタートし、接客によってお客さまの情報を聞き出して品ぞろえに反映させてきました。外反母趾の方が多いこと、意外に自分の足のサイズを知らないことなどがわかり、できればぴったりしたサイズをお勧めし、お客さまのお役にたちたいと思っています」(櫛田清枝店長)

「足に合った靴」をお勧めする手がかりのひとつが、足型の計測サービスだ。毎月100人ほどが計測、先月はアサヒメディカルシューズとのコラボレーションでキャンペーンを行い、土日で102人もの来店客が計測した。こうしたキャンペーンも、同店の知名度を上げるのに大いに役立っている。

ウォーキングが売れ筋

 売れ筋のダントツ1位がヨネックス社の「パワークッション」。3・5Eと幅が広く、トゥが細めにつくられているため、はくと足が細く見える効果がある。2位以下には、アキレス社の「ソルボ」、リーガルコーポレーション社の「リーガルウォーク」などウォーキングシューズが上位に名を連ねる。

同店の接客は本格的で、個々人の名前、お好みなどの情報を全員で共有、いつその顧客が来店しても対応できるように努力している。個人情報保護の観点からあえて顧客台帳はつくっていないが、全員で情報を覚えることにしているという。その結果、「接客がやさしい」というお褒めの言葉も数多くいただいている。ことに櫛田店長には甲の骨の形に合わせてシューレースを結ぶという得意技もあり、こちらも好評だ。「将来はフットマッサージなどもショップ内に置けたら」と櫛田店長の夢は広がっている。

従来、このようなていねいな接客で商品を販売するのは小規模小売店の得意技であるはずだが、「アスビーウォーク」は、まさにその領域に踏み込み、コンサルティング販売を開始した。その意味で、この業態は画期的なものであるといえる。