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 HOME > フットウエアプレス >  2013年バッグ市場規模 5年ぶりに1兆円の大台に回復
 
                                                  アルコット/徳江実
 前号で記したように、2012年(平成24年)経済センサスの商業関連データの精度に懸念があるため、靴と同じように、バッグの市場規模を貿易統計と生産統計から試算してみた。

12年から回復基調

 バッグ小売の市場規模は2013年推計で1兆円を超え、5年振りに大台に復活した模様だ。
 08年までは国産、輸入ともに好調だった。しかしその後、不景気ムードとラグジュアリーブランドのブーム沈静化で失速し、8400億円と2割ほど縮小したが、12年9000億円、13年1兆円と連続して大幅に盛り返した。円相場とほぼ連動したようにも見える。
《グラフ1、バッグ市場の推移推計》


 輸入品の金額は保険料・運賃込みのCIF価格で表示され、その合計額(ショッピングバッグ除く)は12年16%増、13年12%増と2年連続で2ケタアップ。
 ただし、為替変動も大きく、ドル換算では11年の17%増に続き、12年も16%増だったが、13年は逆に10%縮小している。
 国内生産は09年、10年と連続2ケタ減で、11年に下げ止まり。12年はプラスに転じた。
《グラフ2、バッグ輸入と国内生産の金額推移》


 輸入品のCIF平均単価は、2011年の1360円から12年1551円、13年1769円と2年で3割も上昇し、この間の円高は2割を超えている。
 小売上代はCIF価格の2〜3倍だが、為替変動にほぼスライドした価格設定は受け入れられたようだ。
 輸入品のうち、革(コンポジションレザー含む)の財布など小物類が大幅プラスで、数量は11年の2187万個から、12年2216万個、13年2206万個とほほ横ばいだが、平均単価が11年の2236円から、12年2559円、13年2957円と2年で32%もアップしている。
 カバン・ケース類も大きく上昇し、11年1160万本、平均単価2074円から、12年1356万本、2199円。13年1268万本、2760円へと、単価が33%アップ。
 革ハンドバッグ類は、11年210万本で平均単価1万2698円、12年232万本の1万2952円。13年246万本の1万3938円と1割程の小幅アップで、円高にはおよばず。
 革ハンドバッグの国内生産は経済センサスの11年数値で214万本、出荷額平均7851円。工業統計の12年数値が213万本で、8379円。
 合皮などプラスチック系のハンドバッグ類の輸入は11年1422万本、平均単価1758円から12年1568万本の1801円、13年1623万本の1686円と数量が上昇、単価は上下している。
《グラフ3、輸入バッグの平均単価推移》









大きな市場のショッピングバッグ

 バッグの統計数値からは除外したが輸入品目番号「420292000」として、塩ビなどプラスチック製の安価なショッピングバッグがあり、これが莫大な量で、11年が6・4億本1918億円で平均単価326円。12年6・2億本2039億円の327円、13年6・3億本2338億円で373円。
 この範疇には、自転車の輪行用ナイロンバッグなど大型のものも含まれ、バッグ専門店より、GMSや雑貨店など他業種で広く売られ、ノベルティにも使われる。日本人一人当たりで年に5本も消費する、大きな安定市場だ。
《グラフ4、ショッピングバッグの輸入推移》

 紙の袋も別な品目で、ほとんどは店の包装用として使われ、13年の輸入は199億円、13万トン。平均40グラムとして計算すると、33億枚、1枚6円になる。
 高級ブランドや人気店の紙バッグは素材や印刷品質も高く、相当数が家庭に保管されている。百貨店は100円や200円で自販機販売もしている。
 また、食品スーパーやコンビニ、廉価品の包装などに使われるポリエチレン製のレジ袋も別枠で、年間消費が推定500億枚、大袋換算で300億枚。
 うち国産は4分の1ほどで、輸入はプラスチック製品の一部として区分され、生鮮や冷凍用の切り取り式連続タイプや、ゴミ袋、農業用、産業用などと合算されるため、レジ袋だけの数値がない。13年輸入は53万トン、1248億円。レジ大袋で1枚2円弱か。過半数が中国から。
 ちなみに日本の貿易統計の輸入数値はCIF(保険料・運賃込み価格)で、輸出はFOB(本船渡し価格)と異なるが、国際収支統計や海外のIMFなどの数値はFOB価格となっている。

家計調査のバッグ支出額

 バッグの消費は、個人差が大きく、客層の偏りも大きいため、家計調査からの全体像把握は難しいが、年毎や分類による比較は問題ない。
 2人以上世帯の年支出額は9346円まで減った11年から、12年4%増、13年6%増と、08年の1万0442円に近づき、世帯人口が減っているため、1人当たり換算では08年を超えている。
 平均単価もバッグ市場全体の伸びには劣るが、「ハンドバッグ」が11年7597円から13年8216円まで回復。「その他のバッグ」も11年2663円から13年2863円へ上昇した。
《表1、家計調査2人以上世帯バッグ支出額》


 都市別の支出額では、全体で川崎市の1万7306円がトップ。以下、千葉市、東京区部、京都市、堺市と続く。
 ハンドバッグだけでは京都の1万0575円が首位で、以下、東京区部、佐賀市、川崎市、名古屋市の順。最多と最少の都市格差は6・3倍ある。
 通学用のトップは松山市。旅行用のトップは堺市で、ハンドバッグで最下位だった浜松市が2位。
 好調が続く「その他のバッグ」は広島市の5206円から、徳島市、川崎市、大阪市、相模原市の順に続き、上位都市の地域は割れた。
《表2、都市別バッグ支出額ランキング》


 単身世帯は調査サンプル数が約700世帯と、2人以上世帯の9万世帯強に比べ、少ないため、ブレが大きくなりがちで、バッグ支出額は08年8123円から10年4912円まで急減したが、11年5299円、13年5472円と回復基調にある。
 バッグ購入の中心層、女性34歳以下は数年前まで年2万円前後で推移していたものの、13年は1万円を割ってしまった。女性34歳以下のサンプル数は22世帯と少なく、判断は微妙なのだが、ブランドバッグ離れの影響か。
 35〜59歳女性は1万円前半で推移し、13年は1万2474円と単身者平均の2倍以上。
 逆に少ない60歳以上男性は長く年1000円台だったが、10年からは3ケタに、13年は407円にまで減った。選択肢に入っていないというか、つまりは買わないのだ。こちらのサンプル数は100世帯。
《表3、単身世帯のバッグ支出額》