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新社長に聞く
(株)ジーフット 代表取締役社長 神谷和秀氏 
 

イオングループの「4つのシフト」に沿った経営を目指す

――アジアシフトでは、中国・東南アジアへの進出を計画


 神谷和秀氏は、今年5月にジーフットの社長に就任した。イオン執行役サービス・専門店事業最高経営責任者との兼任である。1982年にイオンに入社、32年間イオンのクレジットカード部門で活躍、2002年には「イオンクレジットサービス」社長となった。イオンの4つのシフト(都市・シニア・アジア・デジタルへのシフト)が明確に打ち出される中、国際経験豊かな神谷氏の手腕に期待がかかる。


――金融分野を長く歩いてこられました。そのプロの目から見て、ジーフットはどのような会社だと思いますか。
神谷 1987年に香港に行き、そのときイオン香港1号店がオープンしました。後に香港クレジット事業の責任者として、15年間香港に駐在。イオンクレジットサービス、イオンフィナンシャルサービスの社長を経て、5月の株主総会でジーフットの社長となりました。松井博史会長(前社長)は、営業や商品関係に詳しいし、自分は経営管理的な分野で効率的に利益を上げることを目指し、二人三脚で会社を運営していきたいと考えています。
 ジーフットは、771店舗・社員数約1400人(フレックス社員=パートタイマーを入れると約7000人)で、年商1000億円ほどの売上げを上げています。効率のよい店舗運営をしている、素晴らしい会社だと思います。出店もとても積極的で、成長している企業だと見ていました。

Eコマース分野にテコ入れ

――イオングループでは、大方針として4つのシフトを掲げています。これらを、経営の中にどう反映していきますか。
神谷 「都市シフト」では、人口の集中している首都圏近郊、名古屋・大阪地区に出店を強化します。ダイエーの店舗は首都圏に多いので、ここを軸に、今期は60〜70店舗出店の予定です。
 「シニアシフト」については、健康という切り口でシニアにはきやすい靴を提供していきます。年配の方はウォーキングをなさるので、膝に負担のかからない靴など、提案したいですね。GG(グランドジェネレーション)コレクションは55歳以上を対象としていますが、65歳くらいを目安として仕事をしていた方が定年退職し、消費行動も変わっていくでしょう。何枚かあったクレジットカードもお得で便利な1枚に集約されるでしょうから、そのときにイオンのカードを選んでいただきたいと思います。
 「デジタルシフト」に関しては、まずはアイパッドを通して771店舗の店長とエリアマネージャーが、販売方法、販促手段、レイアウトなどの効果的な情報を共有化し、よりスピーディーに対応できるようにします。すべての店舗とエリアマネージャーに向け、アイパッドは約1000台を導入しています。
 Eコマースのほうは、現在売上げ全体の5%程度の比率しかありませんし、もっと伸びる余地はあると思っています。イオンカード2500万人の会員に、当社の商品がご案内できていない状況です。カードを分析すれば、いつ、どこで、どんな商品をお求めになったのかがわかる。そこに、きちっと商品をご紹介していく。イオングループの企業だからこそできることす。靴は品数も多いし自分のサイズも大体わかっているので、ネット販売には向いていると思います。
 海外シフトについては、現在中国の北京、天津に9店舗を展開していますが、今後は中国とアセアンに積極的に進出したいと考えています。マーケットとしては、カンボジア、ミャンマー、ベトナム、インドネシアなどの国々に注目しています。勢いがあり、若い人も多く、今後所得が上がっていく地域でしょう。先方での仕入れ、日本からの輸入、ドロップシップ(直送方式)など国情に応じて対応したい。ジーフットには、海外勤務を経験した人材がまだ少ないので、人材の育成も含め、きちんとした形で進めたいと思います。

接客力が差別化の根底にある

――重点ショップを、アスビー、アスビーファム、グリーンボックス、フェミニンカフェに絞っています。
神谷 基本的にグリーンボックスは、イオンやダイエーなどGMSの中に入っていく。アスビーやフェミニンカフェはモール内や路面に出店します。小商圏向けにファミリー対応のアスビーファムがあります。それぞれ商圏に対応していますが、今後は各カテゴリーのなかでレベルアップを図っていく必要があるでしょう。
 差別化や利益確保のために、PB(プライベートブランド)を増やすという考え方もあります。現在のPB比率は30%くらいで、今期は35%が目標。我々は業界3位というポジションですが、上位2社はもっと高いでしょう。しかし、イオンに来店するお客さまはシニアから幼児まで多種多様。差別化をPBで行うか、それとも幅広くNBを入れていくか、いろいろ方法はあると思います。

――接客についてのお考えは。
神谷 足型計測器を合計160台導入しており、足型を取ってその結果にしたがって、品をお勧めすることができます。また、社内資格である「フィッティングアドバイザー」を持つスタッフも、1700名を超えました。年に2回試験がありますが、事前に来てもらってロールプレイングも含めた講習を受けてもらっています。足の知識も必要な、難しい資格です。専門店が生き残っていくためには差別化が必要なのは当然で、大きく分けて商品と店舗展開のいずれかであると考えます。しかし、その根底にはスタッフの接客力があり、お客さまにいかに喜んでいただけるかにつながっていく、ということだと思います。

――今期の売上げの見通しは。また、今後の目標をどこに置いていますか。
神谷 今期は必ず1000億円に到達します。第一四半期が294億円でしたから、達成できると思います。国内の靴の市場規模は、約1兆3000億円ですから、シェアはまだ8%程度にしか過ぎません。このシェアを伸ばすことが重要と考えており、当面の目標は10%にもっていくことで、2020年ごろには15%まで伸ばしたいです。