今月の記事・ピックアップ 2014・10
 HOME > フットウエアプレス > 特集 高額ノンレザーと業態開発 売場の売れ筋と売場づくり



 ジェリービーンズ /ジネットスパ トレッサ横浜店(神奈川・横浜市)

フットケアサロンを併設し、相乗効果をあげる


 アマガサが運営するノンレザーシューズの老舗ブランド「ジェリービーンズ」は、今年で立ち上げから30周年を迎えた。直営店は全国で30店舗を数え、ここ「トレッサ横浜店」はこの秋でオープンから1年という比較的新しい店舗である。大きな特徴は、足のトラブルケアに特化したリラクゼーションサロン「ジネット・スパ」を併設していること。全国でもまだ2店舗しかない新業態だ。
 左側のショップでは、定番の「ジェリービーンズ」「ミンクス」「ル・キオネ」、そしてハイカジュアルな新ブランドとして立ち上げた「ジネット」までトータルでそろえている。右手がフットケアサロンの入り口になっており、奥にはフットケアを行う二部屋の個室が用意されている。靴の接客をしながらSPAを紹介したり、その逆もあるなど相乗効果が表れているという。

リラックスできる雰囲気を演出

「気軽にはけるカジュアルシューズブランドとして浸透してきたジェリービーンズですが、これからは足元の“トータルな健康と美しさ”までを考えた提案を目指しています。ショップでは、この秋限定で『ミッフィー』とのコラボレーション企画を立ち上げています。ファミリー層が多いためか、懐かしがって手に取るヤングミセスも多いですね。またフットケアサロンの方は、足に関するトラブル専門に診るサロンがまだ少ないので、巻き爪や魚の目などで悩む方が通って来ます。トータルな足元に関してはここへ、というイメーシを抱いてもらえるような店にしたいです」(知名愛(ちな・めぐみ)店長)。
 今までの直営店よりもグリーンを店内の随所にあしらって、リラックスできる雰囲気を意識したとのこと。店頭では、ソフトなインソールを気軽に体験できる「試しばきコーナー」も設けられている。
 ノンレザーの売場といえども、これからは“はき心地”と“リラックス”が重視されることを先取りしたショップだ。



 オリエンタル・トラフィック 吉祥寺店(東京・武蔵野市)

高級感のある店舗で想像以上の満足を提供


 ブランド設立から今年で13年目を迎える、ダブルエーの「オリエンタル・トラフィック」。9月末までに全国に計41店舗を構え、少し大人な客層に向けた「WA オリエンタル・トラフィック」の展開も始めている。「いつも想像以上の満足を提供する」というテーマをものづくりとショップ運営の軸に掲げ、業界内でも新鮮だった「ノンレザーを高級感のある店舗で提案する」というオリジナルなスタイルを確立してきた。
 カラーバリエーションと遊び心のあるデザインがこのブランドらしさ。とはいえ基本的にはベーシックなデザインではく人を選ばないのが長く愛されている理由だ。
商品本部・企画広告部の岩瀬絵美さんと、キラリナ吉祥寺店の稲生温子店長に聞いた。
「2014年4月にオープンし、売場面積は20坪と全店の中でも広めです。ソファやアンティークなスタンドを配して、友人の部屋に遊びに来たようなリラックスした雰囲気を楽みながら靴を選んでいただけます。そのために接客も重要視しており、お客さまの靴の悩みや不満などをきちんと聞けるスタッフの力を養っています」(稲生温子店長)。

スニーカーラインの「ORTR」を投入

「また、当社ではサービスをさらに充実させ、オリエンタル・トラフィックでお買い上げ頂いた靴は500円で下取りをしたり、トップリフトは無料で交換するなど工夫しています。サイズは22〜26cmまで、ブーツはS〜LLまでそろえ、自分のサイズがなくはけないという方がないようにしています」(岩瀬絵美さん)。
 基本的に各店のMDは共通しているものの、同店では小さなお子さま連れの若いママが多いこともあり、ローヒールやはきやすいカジュアルを多くそろえている。
 そして今シーズンから「ORTR」というスニーカーラインを登場させた。従来のオリエンタル・トラフィックとは一線を画すため、ストライプのスポーティーなデザインに靴箱も変えている。オリエンタル・トラフィックのブランド名が、さらに浸透する一歩となりそうだ。



 キビラシューズサロン 高田馬場店(東京・新宿区)

人工皮革を使ったオーダーシューズを予約制で展開

8月29日にオープンしたばかりの同店は、完全予約制のシューズサロンである。キビラには、同店以外にも池袋東口店・渋谷東口店・秋葉原UDX前店と3店舗の完全予約制のシューズサロンがある。インターネットからの予約が多く、1人1時間が基本で、待たずにゆっくりと自分の靴が選べるのが魅力だ。高田馬場店は、都内7店舗目となる店舗で、新宿店・銀座コア店・上野アメ横店・品川高輪口店(9月5日オープン)とは店舗形態が異なる。
 「完全予約制のシューズサロンは、一人ひとりのお客さまにマンツーマンで完全接客させていただいています。落ち着いた空間でオーダーならではの靴選びをしていただけます」(金子千菜美店長)。
 店内にある最新の3D計測器で測定した後、用意してある17のデザインから好みのデザイン、素材、カラーを選ぶというカスタムオーダーの婦人靴を提供している。人工皮革を中心に、最近は高級イタリアンレザーを使用したラグジュアリーなラインも展開している。価格帯は9900〜1万3900 円、イタリアンレザーは1万9900円と2万900円。サイズは21・5cm〜26・0cm。約3週間で手元に配送されるというシステムである。

7〜9cmヒールのパンプスが人気

 人気ナンバー1は、ラウンドトウのパンプスで、エナメル素材のピンクベージュ。7pの高さを全く感じさせないはきやすさで、ソフトエナメルを使用しているため足あたりが柔らかく色は肌になじみ、どんな服にも合わせられるところが人気の理由となっている。さらにスニーカーに使用されるハーフカップインソールが搭載されたバレエシューズ、9cmヒールのパンプスやストラップ付き、オーダーにはめずらしいブーティなども好評だ。
 同店を訪れるまで、自分の正しい足のサイズを知らない人が多く、間違った靴選びをしていたためにパンプスを購入してトラブルになっていた人も少なくない。金子店長は、「お客さま一人ひとりに、靴の知識と細やかな心づかいでおもてなしし、満足を生み出していきたい」と抱負を語る。今後も新規出店を予定しており、年内には、都内10店舗体制を実現する予定である。