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 HOME > フットウエアプレス > 特集 2015年版 売上高ランキング上位283社 

 全体傾向

靴・バッグ企業は前年クリア

  2015年版靴・バッグ業界の小売、卸、製造と関連資材の3業種・6業態(バッグは卸、製造はひとくくり)の売上高上位50社(バッグ小売は33社)、計283社をランキング表にした。総売上高は1兆7500億円、前期比3・1%増となった(前年の数字が不明な企業は外して前年比を出している)。前期を上回る伸び率となり、連続して前期をクリアしている。
 業種・業態別にみると、資材を除いていずれも前期を上回っている。高い順に見ると、靴卸5・6%増(49社で比較)、靴メーカー3・6%増、靴小売3・2%増、バッグ小売2・9%増、バッグ卸・メーカー2・0%増、の順で、資材は1・9%減だった。全般には靴関連が順調で、資材関連は一番初めに円安の影響を受けたようだ。
 一方、利益については企業によって変化が大きいが、この中には皮革年金基金の組合解散に伴う返済金をすでに準備したことによる損金計上もあった。


 靴小売

新興の靴小売が高い伸び

  靴小売りの50社合計売上高は、5500億円、前期比3・2%増加(49社で比較)となった。前期を上回った企業は26社、前期割れは22社という結果。前期と比べ、上回った企業も下回った企業も増えており、好不調はより明確に分かれた。
  1000億円超える靴チェーンは2社、3位のジーフットは目標の1000億円に16億円ほど足りなかった。この3社で3500億円を超える売上高となり、さらにシェアを拡大している。ジーフットを除く4位以下の100億円を上回る靴チェーン7社に変動はなく、10位までの売上高合計は4400億円ほどで、上位50社の8割を占めている。
  単純に売上高を期末店舗数で割った1店舗の平均売上高を出しているが、トップは前期に続いて、大型売場で地域一番店戦略を進めるシューマートで、平均売上高は3億1100万円とさらに伸ばしている。
売上高の伸び率を見ると、上位4社は比較的後発の靴専門店。ダブルエーはオリエンタルトラフィックと、新業態のWAオリエンタルトラフィックを駅ビルや大型SCに出店しており、すでに43店舗と店舗拡大を進めている。アパレルから靴市場に入ってきたfitfitも好調に伸ばしている。ジェイ・ビーも積極的に出店を行っており、最近はアパレルとのミックスのショップを誕生させている。


 靴卸

前期に続いて順調な伸び

 靴卸の上位50社の合計売上高は3600億円、前期比5・6%増加(49社で比較)の結果。これは全業種の中では1番の伸びとなった。前期を上回った企業は30社、前期割れは18社という結果。
 上位で高い伸びを見せたのが、前期に引き続いてアシックス商事。海外シューズ事業や資材事業が大きく伸びたことが要因。ニューバランスジャパンはスニーカー人気を背景に伸ばしている。リーガルグループのフィット東日本、近畿日本が2ケタの伸びを見せ、クラシックタイプの堅調な人気をうかがえる。
インポート商品主力のライフギアコーポレーション、ロイヤル、ジー・エム・ティーなどが、円安の逆風の中でも高い伸びを見せた。 


 靴製造

50社平均の伸び率はプラスに転じる

  靴製造の上位50社の合計売上高は3500億円、前期比3・6%の増加。市場環境は厳しかったものの、伸び率は前期のマイナスからプラスに転じている。前期を上回った企業は25社、前期割れは23社という結果。
  上位企業では、上位3社は順調に伸ばしているほか、マドラスと安全用品のシモンが100億円台に乗っている。ハルタは期中、販社との統合で新体制になっている。
浅草メーカーの中で、2ケタの伸びを見せたのは、モデルシューズ、オッティモ、シャミオールの3社あった。



 バッグ小売

大手チェーンと地方店舗が伸ばす

  バッグ小売の集計は33社となったが、合計売上高は1400億円、前期比2・9%増加と引き続き伸ばしている。2ケタ増加は4社にとどまり、前年クリア18社、前年マイナス14社と明暗は分かれたが、全体にはフレは少なかった。
  バッグのガリバー的存在になっている東京デリカは、当期は7・6%増加と依然、積極的な業態開発で、順調な伸びを見せている。大型店舗でファッション雑貨を展開するフィットハウスは、当期はマイナスになったものの、1店舗の平均売上高は8億円近く有り、依然、強力な店舗として存在する。
  売上げで特出するのは高崎市のはギャレリア・ニズムだ。ネット販売もあるが、2店舗で26億円の売上げ、しかも28・7%の伸びを見せている。



 バッグ卸・製造

オリジナル商品で順調な伸びを見せる

  バッグ卸・製造の上位50社の合計売上高は1800億円、前期比2・0%増加。前期より伸び率はさげたものの、連続で伸ばしている。前期を上回った企業は32 社、前期割れは17社という結果。上位企業は全般に順調な伸びをみせた一方、百貨店市場でライセンスブランドを主力にしてきた販社は、ランキングからは消えている。
  トップのエースはオリジナルブランドを中心に、当期も直営ショップの出店も積極的で1位の地位を堅持している。2位の吉田は当期は9・1%増で、2期続けて2ケタ前後の伸びとなり、オリジナルブランドの強さを見せた。



 資材

厳しい環境下で、明暗が分かれる

  資材の合計売上高は、50社の合計売上高は1500億円、前期比1・9%の減少と連続のマイナス。前期を上回った企業は27社、前期割れは20社という結果。50社中、2ケタの伸びは8社あり、好不調は2分する結果となった。特に円安など市場環境が厳しくなっており、この向かい風はさらに強まりそうだ。