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期待の「インバウンド需要」

・ビザ発給要件の緩和や、急激な円安進行によって、インバウンド(訪日外国人)の数が増えている。
・今年に入って中国の「春節」やタイの「ソンクラーン」が日本でも話題となり、日本の小売業は、都心部や観光地を中心のインバウンド需要で潤った。
・インバウンド需要もこれまでの家電や化粧品だけでなく、ファッション品や日常品にまで波及し、靴の購買も見られるようになった。
・特集では、靴売場の販売状況と合わせ、訪日客に対するサービス、接客対応を様子を見る。

 売場レポート
 これが売れている

エービーシー・マート(本社/東京・渋谷区)


ナイキとニューバランス、アディダスが3本柱

 エービーシー・マート各店では一昨年初頭から、銀聯カードの使用が伸びている。これと現金購入と合わせて、本部ではインバウンド効果は国内売上げの2%程度と見ている。都心のショップはことによく、お台場、新宿、池袋、銀座などの地域が強い。ショップによって買い方は異なり、「ABC-MART グランドステージ ダイバーシティ 東京プラザ店」では、朝の開店と同時に館に観光バスが横付けになり、その状況がずっと午後も続く。館が積極的にインバウンド誘致に乗り出したのはこの1年だが、その効果は目覚ましく、東京プラザ店では昨年11月に昨年対比170%近い売上げを記録した。一方で原宿店や新宿店では個人の観光客が多く、自分でショップを探してやってくる。

カラフルなアッパーが中国系の人々に受ける

 国籍はさまざまで、大陸からの中国人が7〜8割で、タイやフィリピンなど東南アジアの人も多い。購入ジャンルは圧倒的にスニーカーだ。
「当店で買いたいというよりも、円安もあって自国のナイキより安い、という感覚でしょう。ナイキ、アディダス、ニューバランスが売れ筋の3本柱で、ダイバーシティではナイキコーナーの前に人だかりができています。複数買いは多く、たまに一人で6足買う人もいます。サイズもバラバラだし、ああこれは家族の分なのだろうと思います。サイズがはっきりしていて、買い物の際に悩むことはありません。自分のもののほかは、試しばきはしないです」(販売促進部販売促進チーム・東前幸治チームリーダー)。
 ときにはラインで本国にいる相手に写真を送り、やり取りしながら購入する。一昨年から「外国人向けハンドブック」を各店に配布、接客の際のキーワードは決まっているので、こちらを活用している。しかし、中国語ができるスタッフのところには人が自然に集まるという。ナイキのエアマックス2015年版はアッパーがカラフルで、日本人には受けなかったが中国系には大人気。カラフルでキラキラしたものが好まれている。聞かれるので「免税店ではない」「値引きはしない」旨を話しても、それで「買わない」ことはない。総じて「自国より安いから買う」「単に安いから買う」人に分かれるようだ。
 外国人誘致のためにとくに何かしているということはない。「微博(ウェイボー=中国のブログサイト)」に掲載しないかという誘いも来ましたが、断ったという。今後、近いうちに免税店対応はしたいと考えている。