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2015年秋冬の狙い目と売場展開
変化と独自性を意識したMDで「新しさ」を提案しよう

シンプル&ベーシックが主流となってから、大ヒット不在が続いている。しかし、お客は「新しさ」を求めている。今年らしい「新しさ」を提案できるかどうか、それがこの秋冬の勝負の分かれ目となる。

レディスシューズ

ブーツはバリエーションを持ち、新しさを演出

 今春夏はポインテッドトウが大人気。エレガンスでもカジュアルでも、モード感のあるポインテッドトウが支持された。秋冬にも継続するが、尖り方を少し和らげた優しいポインテッドトウも投入し、クラシックなイメージのアイテムを導入したい。ラストだけでなく、素材、色なども含め、全体的なイメージでの表現が不可欠だ。春夏との違いをアピールしよう。
 また、ここ数年のブーツ不振の流れもあり、新たなアイテムを提案できずにいた。しかし今年は、組み合わせ方を含めたバリエーションを持たせることで、新しさを演出し、お客の購買意欲を高めるように努めたい。


ブーティ〜ショートブーツ

――カジュアル系のブーティを強化

  ここ1〜2年、秋冬の主役はブーティやショートブーツが担ってきた。今年もその流れは変わらず、人気は継続する。しかし、昨年までとの違いがはっきりと分かるようなアイテムを展開することが重要だ。
  まずは丈のバリエーション。シューティ(丸物に近い丈)、ブーティ、ショート、ミドル(少し長めの丈)と、短いものから長めのものまで、かなりバリエーションが増える。それぞれにイメージや汎用性、ボトムスとの相性などがあるので、選択肢が広がる。レッグウエアとの組み合わせ方などを提案することで、それぞれの長所、活用の仕方、汎用性などを訴求することも重要になってくる。
  丈の長さに加え、トップラインの変化も今年らしい傾向。アシンメトリー、カットワーク、前傾斜、後ろ傾斜、V字カットなど、同じ丈でもトップラインの形状で表情も変わる。シンプルなデザインでも、トップラインの変化で差別化は可能だ。
  次に底回りのバリエーション。今年はカジュアル系のブーティを強化したい。フラット、厚底タイプは、ソールの形状や色などで変化を見せよう。ヒールタイプでも、低寸〜中寸を増やしたい。若干高めのヒールであっても、チャンキーヒールにすることで、安定感や歩きやすさは高まる。また、秋冬のブーティもスニーカーのように、“歩きやすさ”をキーワードとし、さまざまなタイプを訴求しよう。


マニッシュ

――トレンド性を訴求したMDを

昨年、トップトレンドとして注目されたロングブーツ、サイハイブーツは、今年もトレンドとして注目されている。メディアでの掲載は多く、トレンド層での購買は増えるので、立地、客層によっては実売が増える売場もあるだろう。しかしマスまでは広がらないので、扱いには注意が必要だ。
ラスト、シルエット、ヒール、素材などの新しさは必須である。価格訴求ではなく、新しさ、トレンド性を訴求しないと動かないので、低価格品を扱ってはいけない。悪いイメージを植えつけてしまったら、来年以降のブーツ復活時に、良いお客が来ない。目先ばかりを見るのではなく、先を見据えたMDが求められる。


サイドゴア

――バランスを取って、バリエーションを増やす

昨年、大ヒットしたサイドゴアだが、今年も継続。「脱ぎはきしやすい」「楽」という機能面での特徴が、エフォートレス化が進んでいるファッションや消費者心理と相まって、より一層拡大する。
前述のように、ブーティ〜ショートブーツの丈バリエーションが増えるので、サイドゴアブーツも丈が多様化。そこにフラット、厚底、低寸〜中寸、チャンキーヒールなど、底回りのバリエーションもプラスされるため、サイドゴアでもいろいろなタイプを提案できる。ゴム部の色、素材、サイドゴアの入れ方(形状)などのアレンジをプラスし、バリエーションの豊富さをアピールしたい。
サイドゴアの提案が多すぎないよう、全体のバランスを取ることが重要だ。


エスニック、ウエスタン

――ウエスタンブーツで新鮮なイメージに

今年のトレンドテーマとしては「エスニック」が挙げられる。特に「ウエスタン」系のテイストが注目されており、靴での取り入れも増えてくる。
ディテールとしては、きれいなフリンジがポイント。これまでのトラッド人気から、フリンジの代わりにキルト、タッセルなどを用いるのも、今年の傾向と言える。
アイテムではウエスタンブーツが浮上。本格的なウエスタンブーツはまだ難しいが、ショートウエスタンを中心に、ヒールアップさせる、切り替えやトップラインでのウエスタンテイストの取り入れなど、ほどほどな表現が主流。ここ数年、アメカジ系アイテムが提案されていないので、新鮮なイメージが演出できる。


スポーティー

――ウォーム感のある素材、カラーを提案

今年は秋冬でもスポーティーが期待できる。「楽なのにオシャレ」というアイテムを、秋のスポーティーとして提案することが求められる。
 まずは素材と色。今春夏は白スムースなどモード感を全面に出したアイテムに人気が集中した。秋冬はウォーム感のある素材、色で魅せていきたい。ウール、ファー、ハラコ、スエードなどの秋冬素材が中心となる。色も黒、ワイン、カーキーなどウォーム感のある色目が増える。光沢系も春夏のシルバーのような鋭い光沢感ではなく、ブロンズ、ガンメタを含めたダークで鈍い光沢感にシフトする。これら素材、色で秋らしさを出し、売場のイメージを変えよう。
 アイテムではブーツ感覚のアイテムを増やしたい。ブーティ〜ショート丈のバリエーションをそろえよう。
 またスリッポン一辺倒ではなく、レースアップ、サイドゴア、ファスナー使いなど、丈が長くなることで、デザインバリエーションも増える。


マニッシュ

――レトロ表現を意識したアイテムを

 今春夏も好調だったマニッシュ靴。秋冬も継続するが、クラシック、レトロ表現を意識したアイテムも展開し、秋らしさを演出しよう。
 オックスフォードはトレンドではないが、完全に定着した。紐なしタイプ、厚底、タンクソールなどの遊びも入れ、ベーシックタイプは絞って展開する。
 オペラシューズは落ち着いてきたので、ヒールアップさせてパンプスタイプへとシフトさせることも考えよう。カジュアルではローファーアレンジ、レトロなスリッポンタイプなどを増やしたい。チャンキーヒールを付け、汎用性を高めると、大人のお客からの支持も高まり、価格も通りやすい。大人がはけるということが、より重要になるので、マニッシュといえども「きれい」に仕上がったアイテムを選びたい。



メンズシューズ

女性的な感覚やレディスで流行ったデザインを提案

 メンズはここ数シーズン、完全にスニーカーに喰われている。しかしスニーカーがマス化したことで、逆にシューズに戻ってくる人もいる。そういうスニーカーに飽き足らない人たちに向け、商品の再構成が必須となる。
 これまでメンズでは、分かりやすいテイスト、アイテムが人気になっていたが、男性の女性化が進むに連れ、靴にも変化が現れ始めている。特にレディスで流行った傾向や、女性感覚が求められるようになった。メンズシューズでは、お客の感覚にまだまだ提案が追いついていないのが実情。この秋冬には、新しい感覚のメンズシューズの提案、展開を心掛けたい。


アメカジMIX

――モード感をプラスし、よりフェミニンに提案

 70年代、90年代ファッションの流行により、アメカジが注目されている。しかし、老舗ワーク系ブランドではなく、他のテイストとMIXし、「アメカジアレンジ」したアイテムに期待がかかる。
 特にアメカジとモードをMIXさせ、よりきれいに仕上げたアイテムが増える。女性化が進むメンズでは、モード感をプラスすることで、アメカジをよりフェミニンに提案できることがポイントだ。
 また、アメカジにトラッドをMIXさせたアイテムにも注目。アメカジのディテールを取り入れながらも、トラッド特有のきちんとしたイメージがプラスされることで、汎用性も高まる。


カジュアルブーツ

――ブーティ系の充実を図りたい

 今年は前述のように、アメカジ×モード、アメカジ×トラッドといった「アメカジMIX」が注目されており、ブーツでの取り入れも欠かせない。ワーク、ペコス、エンジニアなどのディテールを取り入れながら、シルエットやソールなどで異なったテイストをプラスするなど、さまざまなアレンジに期待したい。
 また、チャッカーブーツなど、短靴感覚ではけるアイテムの人気が定着している。以前のようなパンツインスタイルは厳しいので、ブーティ系の充実を図りたい。レディスで定着しているので、メンズでも問題なく受け入れられる。


ドレスブーツ

――トラッド風、ワーク風なアイテム提案

今年は、ドレスブーツを積極展開したい。
まずは丈のバリエーション。短めのブーティ丈を増やし、丸物感覚ではけることを訴求しよう。ブーツではあるが、年間の着用が可能であり、お得感をアピールできる。逆に少し長めの丈も登場。よりドレッシーなイメージで、シルエットもきれいに仕上がる。客層によって、使い分けができるだろう。
デザインバリエーションも増加。レースアップが主流だが、アイレットの数などで、トラッド風なアイテムも、ワーク風なアイテムも提案できる。モンク(ダブルモンク含む)、シンプルなサイドファスナータイプなども出てくるので、アッパーのデザインもきちんと見せて提案することが重要だ。
モードカジュアルブランドのアイテムもプラスし、オンオフ兼用の訴求を高めたい。


サイドゴア

――トレンド性あり、年齢層に関係なく支持集める

レディスで大ヒットしたサイドゴアは、メンズでも注目される。脱ぎはきしやすく、トレンド性もあるので、年齢層に関係なく、支持されるはずだ。
ベーシックでありながら、トレンド性があるアイテムは、メンズでは強さを発揮する。昨年、チャッカーをはいた人も、今年はサイドゴアへ移行してくれそうだ。
サイドゴアはカジュアルでも、ドレスでも取り入れできるところも期待ポイント。素材、底回り、シルエットなどにより、使い分けができる。
今年はブーツの丈のバリエーションが増えるが、サイドゴアブーツでも同様。通常はショートが一般的だが、今年はブーティタイプのサイドゴアも登場し、丸物感覚ではかれる。他のブーツよりも長期の着用が可能で、お得感もある。


スポーティー

――素材・柄などで遊びを取り入れ、差別化を

スニーカーはベーシック系が主流で、コート系、ランニング系アイテムが好調さを持続している。安心はできるが、新しさや面白さには欠ける部分も多い。そこで、素材、柄などでの遊びを取り入れ、差別化を図りたい。秋冬ということでファー、ハラコなどのウォーミー系素材は必須。迷彩などの柄やカラー展開なども、女性化が進むメンズ市場では必須となっている。クロコ型押し、パイソンなど爬虫類系も、スポーティーアイテムなら抵抗感が少ないだろう。
メンズスニーカーではスリッポンタイプの供給がまだ少ないので、カジュアルブランドのスポーティースリッポンをそろえ、スニーカーのお客にも積極的に訴求したい。
また、ハイカットスニーカー感覚で、ブーツタイプも提案したい。
アッパーは短靴やブーツのベーシックデザインをのせながら、ソールをスポーティーソールにするだけで、これまでとは違った印象を与える。歩きやすさもあり、幅広い客層に対応できる。お客さまの年代、テイストにより、アッパーのデザインやラスト、色使いなどを変え、バリエーションを持たせて展開しよう