今月の記事・ピックアップ 2015・12
 HOME > フットウエアプレス >  女子力が動かす アミング(石川・金沢市)
女子力が動かす アミング(石川・金沢市)

250坪のライフスタイル型雑貨ショップ

  金沢を本社とし、1店舗あたり平均約250坪というロードサイドの大型ライフスタイルショップを展開する「Aming(アミング)」。現在は北陸(新潟を含)、北関東、近畿エリアに26店舗を出店している。
全店ロードサイド立地、商品は一括本社仕入れという仕組みを取りながら、それぞれのショップ毎に地元ニーズを取り入れた店舗展開。そしてチェーン店という匂いを決して感じさせない女性らしい好感度なディスプレイが印象的。コトを想起させる“シーン”提案が秀逸で、女性であればここで丸1日過ごしてしまうワクワクする空間作りが身上だ。
  アイテムカテゴリーは、ファッション(アパレル、バッグ、シューズ、アクセサリー、ソックス、ハンカチ)、コスメ&リラクゼーション(アロマ等)、ベビー用品、ステーショナリー、キッチン雑貨グッズなど多岐に渡る。最近では、ココナツココナッツオイルやグラノーラといった“スーパーフード系”などの食品も充実してきた。
  オリジナルブランドより、あくまでもセレクトが中心だが、で、メーカーの企画段階か携わりメーカーへ顧客の声をこまめに届けるなど作り手との密なコミュニケーションを大切にしている。店内には服飾雑貨売り場も充実しており、20坪ほどのバッグ売り場、財布などの革小物、アクセサリーコーナーが設けられている。
  バッグでは「ディープ」「アインソフ」「マルメロ」「フォルナ」など比較的ナチュラルテイストのブランドが主力。最近はあえて高単価のレザー系へとシフトさせたこともあり、売上も2ケタアップとのことだ。
本社営業部商品部 アパレル担当バイヤーの小幡さんにお話を伺った。



商いを通じて、女性教育を行いたい

  「アミングの創業は1982年。現在の会長・西江整と、社長・西江あきよ夫婦の2人が、当時まだ珍しかった“生活雑貨店”を30坪でスタートさせました。雑貨というのは生活必需品ではないけれど、編集力提案力でどんな風にも素敵に見せられる提案できるアイテム。難しいけれどどうしたらお客様に喜んでもらえるか、を常に考え、商いを通して人に喜んでもらえる自分になるために成長(進化)し続ける自分自身で考えながら店を作り、商いを通してお客様に喜んでもらえる人になろう、という社長の考え方を、スタッフ全員で共有しています。」
  地元の女性にとってアミングへの期待値は大きく、「店に行けば必ず何かある」「いつも癒しを求めて通う」という熱烈なファンに支えられている。それだけに、スタッフ力を養うための教育社員研修には力を注ぐ。
  「毎年必ず3店舗は新規オープンしていますが、新店には既存店からスタッフが4〜5数名人配属され、地元スタッフと共に必ず勉強会を行っています。勉強会では代表の西江が開催する心の勉強会を必ず実施、最初は不安や緊張を感じていたやる気が見えなかった新メンバーも、4日間でどんどん前向きになり、イキイキとしてなくるんです。まずは同じ目的を共有し、目線を揃えていくことが重要だと感じています。」と小幡さん。
  西江あきよ社長は、この事業に携わる前には保育士をしていた。子供たちと接しながら、“いくら子供だけに教え諭しても、母親が育たないと変わらないと子供は育たない”ことを実感し、当時から母親育ての教育=女性の教育育てを意識するようになった。心のあり方や人の心や人生の考え方生き方を教える場は本当に少ない。学校など机上の論理ではなく、リアルに社会の中で磨かれていく場(商いの場)が必要だと実感し、スタッフには「仕事を通じ実践で身に付ける」ことを提唱している。

採用基準は、向かう方向が同じ目線の人

  「現在、アミングの女性スタッフの人数は、全体の9割以上にもなります(2015年3月 従業員506名、うち正社員146名)。『店は人の心を磨く学校。商いを通じてたくさんの人と出会い、学び、成長していこう』という考え方があり、出店をし続けるのも女性たちが活躍する“学校”をたくさん作っていきたいからです。
女性が多ければ当然、母親になるスタッフも多いため、結果的には西江が考える“働く女性育ての教育、母親育ての教育”に繋がっています。育児のために一時的に職場を離れても、またアミングに復帰するスタッフは少なくありません。10年のブランク後、復帰するスタッフも。“またここで働きたい”と感じているスタッフが多く、嬉しいですね。」

アミングは8つの理念(「1あいさつ」「2掃除・整理整頓」「3笑顔」「4元気」「5素直」「6感謝」「7持続」「8勉強」)を掲げている。そして毎月回テーマを設けながら、スタッフ向けの心の勉強会をこまめに実施。
   取材当日も、西江あきよ社長による自社セミナー勉強会が開催されており、パワフルで熱のこもった話を女性店長達が熱心に聴き入る姿が印象的だ。「社長は厳しいですが、私たちを娘だと思って愛情込めて接してくれます」と小幡さん。
 最近では、社内だけでなく一般の方を対象にしたセミナーや勉強会なども行っている。「Amingママ・カフェ」と称し、子育て中の若い母親向けに「ココナッツオイルのお料理実演蛯原英里さんによるベビーマッサージ教室」や「西江あきよによる子育て勉強会」など様々なワークショップ形式の勉強会を開催。地域の女性たちにも“アミングからのメッセージの考え方”を伝える場を設けている。
  ショップスタッフを募集するときは、本社で会社説明会を実施する。その際も「あなたは何のために働くのか?どこに行きたいのかどうなりたいのか?」という問いかけに始まり、アミングの向かう方向に共感でき目的が合致している人を採用することにしている。「スタッフは誰でも良いわけではなく、一緒に働く人は選ばなくてはいけない。心のあり方が売り場に直結するのです。」西江社長の言葉だ。共に育つこと=“共育”を原点として、アミングの“心の学校”が来年も新たにオープンする。

◆株式会社アミング 本社
 石川県金沢市無量寺5-54-3 076-254-5400 http://aming.ne.jp/