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 全体傾向

バッグ企業は好調な売上げ

  2016年版靴・バッグ業界の小売、卸、製造と関連資材の3業種・6業態(バッグは卸、製造はひとくくり)の売上高上位50社(バッグ小売は33社、資材は48社)、計281社をランキング表にした。総売上高はおよそ1兆7700億円、前期比1・1%増とほぼ横バイにとどまった(決算期変更の企業もそのまま入れている)。上位企業においては前年実績を維持したものの、大きな伸びはなかったという結果だった。
 業種・業態別にみると、靴卸と靴製造が前期を下回っている。前期は伸び率で1位、2位にあったものが、一転してマイナスになっている。プラスで伸び率の大きい順に見るとバッグ小売7・7%増、バッグ卸製造3・8%増、靴小売3・0%増、資材2・6%増だった。全般にはバッグ関連が順調で、資材関連は前期の急激な円安の影響からは回復しているようだ。
 一方、利益については大手企業に規模なりに利益を確保しているが、中小は変動が激しい傾向を見せている。


 靴小売

大手との格差がさらに広がる

  靴小売の50社合計売上高は、5600億円、前期比3・0%増加となった。前期を上回った企業は23社、前期割れは26社という結果(1社は決算期変更)。前期を上回った企業数が下回った企業数よりも少ない結果となり、好不調はより明確に分かれた。
  1000億円超える靴チェーンは、ジーフットが加わり3社となった。2社はさらに伸ばしており、この3社で3600億円を超える売上高となり、さらに160億円ほど増やすなど、ますますシェアを拡大している。その下は100億円台の靴チェーンは6社で、前期と同じ。100億円以上の売上げ企業9社の50社に占めるシェアは80%になっている。
  50社中、2ケタの伸びを見せたのは「オリエンタルトラフィック」や「WAオリエンタルトラフィック」の店名で積極的な店舗展開をするダブルエーだ。
「この1年で新店が14店増えたことが何といっても大きい。いずれも好調で、売上げを押し上げる結果となった。既存店の売上げは前年度と変わらないが、新規店舗が好調を維持している。この1年では、札幌アピア店、明治神宮前店、名古屋モゾワンダーシティ店が好調。
  そのほかには、昨年秋冬にテレビCMを打ったことがよかったと思う。ファン層が広がり、これまで来店のなかった方々が、お店に足を運んでくれるようになったと感じている」(ダブルエー)。
  通販と実店舗で売上げを伸ばす21位のfitfit(フィットフィット)も高い伸びを見せている。ミセスを対象としたはき心地訴求も高い伸びの要因のようだ。


バッグ小売

大手チェーンと地方店舗が伸ばす

  バッグ小売の集計は前期と同じ33社となったが、合計売上高は1500億円、前期比7・7%増加と引き続き伸ばしている。2ケタ増加は7社あり、前期クリア18社、前期マイナス13社と明暗は分かれた。バッグ小売も大手との差はさらに広がっており、33者に占める上位2社のシェアは55%と5割を超えている。
  バッグのガリバー的存在になっている東京デリカは、当期は6%増加と依然、積極的な業態開発で、順調な伸びを見せている。大型店舗でファッション雑貨を展開するフィットハウスは、当期はマイナスになったものの、1店舗の平均売上高は7億円近く有り、強力な店舗として存在する。
  メーカーの別会社で小売展開する協和バックは大きく伸びている。「特に、弊社独自開発の『コバなしランドセル』のヒットがけん引した。これまでの製品よりも軽くてコンパクトに仕上がっているのが特徴です。またランドセルの販売時期がどんどん前倒ししており、今までの夏休み時期から、最近では4月出荷、5月販売という流れが出てきたことも大きな要因だった」(協和バック)。
  群馬・高崎市のギャレリア・ニズムは、実店舗2店舗30億円の売上だが、「EC市場が伸びてきているのとともに、自社のサイトも同じように売上げが伸長しています。すでにECショップは14年間継続しており、その積み重ねとノウハウの蓄積も大きい」(長野哲士社長)。
  ランドセルが主要商品の神田屋鞄製作所も2ケタの伸びを見せた。「店舗が1店増えたこともあるが、弊社のオーダーメイドランドセルが市場に受け入れられたことが大きい。ランドセル業界では、オーダーメイドの先駆者であり、いち早く取り組んできた。他社よりも選べるアイテムの種類も増やしており、消費者の方々に、自由にチョイスして頂ける楽しさが提供できている」(生田順洸社長)。