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――客単価アップと女性客が増加チヨダ(東京・杉並区、舟橋浩司社長)は2016年2月期の連結決算で、9期ぶりの増収、3期ぶりの増益となる見通しだ。この増収増益の要因として、平均客単価のアップと女性客比率が増えたこと、スニーカーの好調な動きなどを挙げる。この背景には最近の店舗改装、新業態開発、社内体制の改革などがある。女性客アップを狙った改装、高価格帯のPB開発 既に発表されている既存店売上高、客数、客単価を見ると、通期でそれぞれ1・8%増加、4・4%減少、6・4%増加となった。客単価のアップが、売上げを上げる結果となった。客数は減ったものの、30〜40代を中心とした婦人層は増えており、その層のスニーカー需要が大きく伸びたことが、好結果の理由として上げている。 商品では、PB(プライベートブランド)とNB(ナショナルブランド)のバランスのとれた展開が、客単価のアップや女性客の取り込みに繋がった。 「これまで、必ずしも消費者目線ではないところで、PBの比率を上げることに固執した結果、品ぞろえのマンネリ化や価格の固定化、客数の減少など、マイナスのスパイラルになってしまった面もありました。これを見直し、大手スニーカー企業との取引を太くすることで、品ぞろえの幅が出てきました」(舟橋社長)。 16年2月期は150店舗ほどの店舗改装を実施した。新規業態の出店も含め、ここでは女性客の取り込みや高価格帯PBも提案できる売場を意識して改装を行っている。 期末店舗数で577店舗の「東京靴流通センター(TSRC)」の都市部の店舗では、これまでの赤を基調とした店舗から、店頭から店内まで白に変え、店名も「東京靴流通センター」と同時に、「TOKYOSHOESRETAILINGSCENTER」の表記を掲げ、店舗イメージを刷新した。昨年7月にオープンした蒲田西口サンライズ店も白≠フTSRCとしてオープンしたが、スニーカーを主力とした女性客の買い上げが増えている。 全店レベルでもスニーカーの販売比率は高まっており、これまで女性の占める比率は4割以下だったものが、「コンバース」や「ニューバランス」「プーマ」といった人気ブランドで見れば、半数以上が女性の売上げになっている。この女性層の来店拡大が増収につながっている。 新規出店では、2月に新規オープンした「シュープラザ・マーケットスクエア川崎イースト店」(100坪)がある。白を基調とした清潔感のある売場で、PBやNBの並ぶ壁面はこれまでよりも陳列点数を抑え、ブランドごとに壁面の色を変え、上段はPOPや写真を使った演出スペースとしている。ここも女性客を意識した新しい売場となっている。 今期も150店舗程度の改装、業態転換を予定している。新規出店については30店舗を計画しており、主にSCやGMSへの中への出店を考えている。 PBの展開では、高価格帯の商品も打ち出している。オン・オフ提案ができる靴として展開する「クリスチアーノ・ロザーニ」がその一つ。同PBでは「これまでのように上代に上限を設けることはしない」(舟橋社長)という姿勢で開発に取り組んでいる。イタリア人デザイナーに依頼し、イタリアの革を使った靴は、中心上代が1万円台半ばだ。1万円以下が主力の紳士靴の中で高価格帯のPBとなるが、既に投入している売場では好調な売れ行きを見せている。今後はジャケットに合うような、カジュアルスニーカーも提案する計画だが、こうした商品の投入はPBの強化と同時に客単価のアップとなっている。 消費者目線に立ったサービス、MDに チヨダでは前期、「はきごこち研究所」というプロジェクトをスタートさせた。その狙いを次のように話す。 「小売店の使命である品ぞろえとサービスを、消費者目線からもう一度見直すためのシンクタンクとして考えています。現在、所長以下、合計7人を中心に運営していますが、スタッフは社員全員であり、全員が参加するプロジェクトと考えています」(舟橋社長)。 ここではアンケートを通して消費者の声を集計するなどリサーチを行うほか、消費者のニーズに沿った商品開発や選びやすく気持ちの良い接客、快適な売場環境なども考え、提案する。 「スニーカーとの付き合い方」というテーマでWEBリサーチでは、通勤時に女性がスニーカーをはく率が高いことが分かったという。現状のスニーカー人気をブームのように言われているが、ライフスタイルの変化の中で、すでにスニーカーは通勤ばきの靴になっていると分析している。 3月18日、東京駅の八重洲地下街にあったチヨダ八重洲地下店が「CHIYODA HAKI−GOKOCHI(チヨダ・はきごこち)」という業態に生まれ変わってオープンした。丸の内周辺で働く人達と、インバウンドも含め、東京駅を拠点に旅行を楽しむ人たちを対象に、ビジネス、旅行、雨の日のライフスタイルなどを提案する。 ビジネス向けの品ぞろえが中心だが、スニーカーも増やし、子供靴も置き、家族で買えるフルライン。特徴として、旅とアクティブなビジネスもテーマとし、接客の向上とPBの提案、NB(ナショナル・プランド)の取り組みにおいては、より深いものにしています。 「『はきごこち研究所』プロジェクトの延長線上にある店として、同研究所で調査し、提案されたサービスや品ぞろえをこの売場でも具現化し、その快適さを体感してもらおうと考えています」(舟橋社長)と説明する。 「はきごこち研究所」では、自社の売場環境の改善のための声も集め、それを元にした提案を行っている。店舗の中でどのような言葉遣いをすべきか、女性が働きやすい環境にするためにどういう点を改善すべきかなど、集めた声をもとに、提案をしている。売場のスタッフに靴ベラやメモ帳が入れられるシザーバッグを配布したことも、声を拾い上げて実現したことだ。 チヨダにはパートは5000人ほどおり、このうちの75%は女性だ。女性店長となると、90人しかおらず全店舗の1割にも満たない。今後は女性が働きやすい環境を整え、女性店長の比率を高めていく考えだ。 |
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