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エトワール海渡 総合力を発信するための要となる女子チーム

エトワール海渡は、東京・日本橋馬喰町に本社を置く総合卸商社である。取扱商品はアパレル、服飾雑貨からインテリア雑貨、生活雑貨、食品、化粧品までと幅広く、「ワンストップですべてがそろう」ことがひとつの特色。顧客であるブティック、雑貨店、ライフスタイルショップは日本全国に及び、オリジナルブランドも数多く所有する。
同社のもうひとつの特色が、優秀な女性社員を数多く抱えていることだ。全社員700名弱のうち、3分の2が女性。パート社員も加えれば、女性社員の比率はもっと高くなるだろう。
もう少し説明を加えておこう。いわゆる「馬喰町横山町問屋街」は現金問屋街ともよばれ、現金で「今日仕入れて今日売る」商材が手に入るところだ。多くの問屋がいまだにこのスタンスで商売を続けている中、同社は3年前から「総合力を発信すること」に力を入れてきた。毎月のテーマを決め、アパレル、服飾雑貨、雑貨の各部門が同じテーマでトータルに商品提案を行っていく。正直なところ、仕入れを主体とし、カテゴリーが無数にある卸商社で、統一テーマを横串にさすことは至難の業。統制がとれた同社だからこそできることといっていい。
今回登場してくれた商品部2課課長の鈴田美穂子マネジャーは、この中核を担う4人のマネジャーの一人だ。

企画テーマを売場の細部にまでていねいに落とし込む

鈴田マネジャーの商品部2課は服飾雑貨を扱う部門で、靴とバッグ、服飾(スカーフ、帽子、レッグウェア、ハンカチ)、アクセサリー・宝飾、化粧小物の4つのグループに分かれている。鈴田マネジャーは、これらのグループの統括責任者で、16人のバイヤーを管理する立場にある。グループ内のバイヤーでは男性は1名のみという状況で、圧倒的な女性パワーのもとで運営されている。
「2000年入社で、17年めになります。ハンカチの営業、靴下のバイヤーを経て3年前にマネジャーになりました。仕事の流れとしては、まず営業部のMDマネジャーとともに会社の戦略を立て、決まると『では、こういう企画で行きましょう』と部門別に落とし込みます。次にフロア別に、さらにボックス別と細かく落とし込んでいくのです」(鈴田マネジャー)
鈴田マネジャーの管轄である服飾雑貨部門はファッション館の1、5、6フロアに分かれており、各フロアはさらに4~5のボックスに分かれ、各ボックス1~2人のバイヤーが担当になっている。それぞれのバイヤーにまできちんと企画趣旨を伝え、細かなプランの企画書を提出させ、ていねいにチェックする。
「こうして、靴、バッグ、スカーフや帽子をそろえて発信していくことができるようになります。例えば、今期なら『ホワイト』『ボヘミアン』『デニム』などテーマを決めて総合的に提案しています。お客さまからは『売場が広くて見つけきれなかったが、提案してもらえるとわかりやすくていい』というお声が届いています」。
このほか、全社の展示会の企画をDMにどう落とし込んでいくかも、鈴田マネジャーの仕事となっている。
今回もう一人登場してくれた坂巻玲子主任は、鈴田マネジャーの部下であり、靴の担当バイヤーである。2010年に入社、13年に現在のポジションに就いた。
同社には約50坪に及ぶ靴売場がある。革靴だけでも220型(各2~3色、6サイズ)をそろえる本格的なもので、コンフォート、パンプス、カジュアルに分けられている。マドラスやリーガルコーポレーションなどの高級革靴からケミカルまで、約50社の仕入れ先を持つ。
「お客さまはブティックの方々が多いです。ほかのフロアで見てきた服に合わせて靴を仕入れます。仕入れるスカートに合う靴はどれ? と聞かれることもよくあります。この春夏はホワイトが主流なので、重めの黒ではなく、白やシルバーカラーをお勧めしています」(坂巻主任)
現在、最も力を入れているのがスタートしたばかりのオリジナル商品の開発だ。現在は12型ほどだが、坂巻主任が中心となって企画してメーカーに発注、営業チームとともに売り切る。昨年から、「お客さまの声を形にしよう」と始めたものだ。まだ数は少ないが、差別化にもつながるため、拡大していきたいと考えている。
 

女性としての消費者目線が生きる

では、「女性らしい視点が生きる」のはどこなのか。
「服飾雑貨は、圧倒的に女性のための商品が多いです。自分の身をもって体験できること、消費者にもなれることが強みです。お客さまの視点を意識しつつ、自分が気に入るかどうかを考える。私たちは、営業チームに『この商品がなぜいいのか、どこにこだわりがあるのか』を伝えなくてはなりません。そのためには熱意が必要で、商品が好きであればそれだけ熱意が入っていき、相手にも伝わっていきます」(鈴田マネジャー)。
スタッフたちは年代もバラバラだが、チームワークがとてもいい。「30代である自分より年上の人もいて、トラブルが起きてしまったときには、相談に乗ってもらうこともあります。そんなときは、ラッキーだったなあと思っています」と、鈴田マネジャーはいう。困難に出会っても、「やるっきゃない」「みんなでがんばろう!」と乗り越えていける、そんなタフさと思い切りの良さが、このチームにはある。
鈴田マネジャーは「さらにアイテムを超えた連動性を出すこと」を目標に挙げている。エトワール海渡はこれによって発信力を高め、新しい卸問屋の形を切り拓きつつある。その中核を担っているのは、まさに女子チームであるといえる。

エトワール海渡
東京都中央区日本橋馬喰町1-7-16
TEL:03-3661-1111(代)