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これでロングセラー「ルームパンジー」

1986年、ライフスタイル型室内ばきとして提案

室内ばき分野で〝機能性“を、初めて展開したのがパンジー(大阪・浪速区)の「ルームパンジー」である。旅館や病院などのスリッパは、今日でもサイズや左右のないのが一般的だが、これを個人用の室内ばきとして、左右あり・サイズありの個人用室内ばき〝マイスリッパ”と提案したのが当たった。
「ルームパンジー」の発売は1986年。当時、百貨店で販売されていたスリッパの平均単価が1200円の時代に、3000円を超える値段で発売された。しかし、「発売当初は、雑貨店、靴店、下着店など、売場を求めて模索する状態だった」。それだけ、切り口が斬新だったということだ。フローリングの床が普及するなど住環境の変化やライフスタイルの多様化などを背景に、この値段でも広く受け入れられ、ロングセラー商品として、いまも活躍している。

靴づくりの技術を取り入れ、高い快適性を実現

「ルームパンジー」のヒットの要因は設計にある。これまでの「上ばき」「スリッパ」という発想でのモノづくりではなく、靴づくりの技術を取り入れて、左右のある木型のラストで手編み製法にした「室内ばき」としたことだ。このため、足にフィットし、階段の上り下りでも脱げにくく、パタパタという音がしない。
かかとにはヒールがあり、体重が踵部にかかりすぎないように設計されている。歩きやすく、長時間はいても疲れにくい。底にはすべり止めが付く。
素材は合成皮革。丈夫で手入れが容易である。発色もよく、パステル調のカラー展開が、売場でのVP(ビジュアル・プレゼンテーション)にも効果を発揮した。リピーターが多いことも、特徴の一つ。百貨店では、模様替えなどで商品を引込めると、お客様から「あれはどこに行ったの?」と催促されるほどだ。
百貨店では需要が伸びる「母の日」などをメインに売場作りに力が入る。また、娘から母へのギフトとして、特に喜んでもらえるアイテムとして浸透している。
サイズは婦人S(22、22・5cm)、M(23、23・5cm)、L(24、24・5cm)、紳士M(25cm)、L(26cm)、LL(27cm)の3サイズ。価格は3300~4500円。