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ニーズは「はきよく、疲れない6.5〜8センチヒール」。カカトを安定させ、前滑りしにくいパンプスが人気。

 西武池袋本店 (東京・豊島区)

クッション性の高い中敷きは標準装備、さらなる特徴が必要に

西武池袋本店の婦人靴売場では、ハイブリッドパンプスとして展開しているブランドは「ワコール」「メディカエスコート」「スタイルラボ」「ローズオット」「ムラング」「ネオリズム」「アンリーフ」など。ハイブリッドパンプスは、見た目に美しく、はきやすいパンプスという特徴があり、注目を集めているが、最近、少し変化が出てきた。
「足当たりがよい中敷きを装着したパンプスは標準装備になっており、全体にハイブリッドパンプスが広まってきた感じ。それだけに、中敷きの装備だけで引き付けるのは難しくなってきています。また、カジュアル全盛時代で、ハイヒールを求める人より、ローヒールを求める人の方が多くなっている。ローヒールはそれ自体がすでにはきやすくなっているだけに、ハイブリッドパンプスはさらに訴求力のある機能性、デザイン性が求められています」(婦人雑貨部・マーチャンダイザー・澤純也さん)。
 よく動いているデザインは、ポインテッドトウ、チャンキーヒール(太ヒール)、5〜7センチヒールという3つのキーワードを備えた商品だ。ファッションの流れも影響している。
立体的な中敷きで、見た目に訴求力が高く、ローヒールを中心に展開している「アンリーフ」、かかとがぬげにくく、前すべりしにくい「スタイルラボ」など、長時間歩いても疲れにくいという特徴にプラスして、細部にわたる特徴のあるものは人気が高い。

インポートブランドもはきやすいパンプスを強化

インポート商品の「ペリーコ」はファッショナブルで、はきやすいということで伸びている。こちらは、8cmの高めのヒールがよく売れている。「エコー」「コールハーン」「ロックポート」など、海外ブランドもはきやすいパンプスを強化している。
「ハイブリッドパンプスも、インポートブランドが伸びてくるのではないか。そのためには日本人に合う木型が重要」(同・澤さん)というだけに、もう一歩踏み込んだ特色づくりが必要になっているようだ。


(価格はすべて税抜)



 そごう横浜店(横浜・西区)

おしゃれではき心地のよいハイブリッドパンプスが大ヒット

そごう横浜店が開発したハイブリッドパンプスが人気を呼んでいる。13年春からスタートした人気アパレルブランドの商品で、13年3〜6月までで、1型で180足と前例のない販売数を記録した。その後、ファンは増え続け、14年2〜6月には、この1型だけで、460足とさらに前年の約2・5倍と大きく伸びた。そごう横浜店オリジナル婦人靴の1万足中、ナンバーワンの販売数を更新し続ける。年々、ハイブリッドパンプスのゾーンは伸び続け、15年9〜2月の売上げは前年同期比140%となった。

アパレルブランドも加わって人気上昇

「もちろん人気が出るとは思っていましたが、ここまで伸びるとは予想していませんでした」と開発の中心になった上級シューフィッターの林美樹さんは語る。
 もともとシューフィッターが開発したオリジナルシューズがあり、ヒールは5センチ以下、ストラップ付きのデザインで、はきやすさで売れていた。しかし、「ヒールが高く、ストラップが付いていないパンプスがはきたい」という女性層の声が増えてきた。
協力企業を探すところから始め、それにモーダ・クレアが賛同してくれたという。そして、おしゃれで、脱げにくく、痛くなりにくいパンプスができあがった。13年秋には有名アパレルブランドの商品も加わり、人気はさらに上昇した。
昨年9月には、今度は「8センチのヒールよりもっと低いヒールがほしい」という声に応え、6・5pヒールのパンプスを木型から制作して発売した。この木型は、足が前に滑りにくく、ヒールが高くても脱げにくい構造となっている。返りのよい底材を採用し、日本の職人の技術でスマートに見せるように工夫した。
パンプス部門では8センチヒールが売れ行きトップ。次点が6・5pヒールとなった。ハイブリッドパンプスは、現在3つのライセンスブランド、6つのメーカーブランドと幅が広がっている。
 「お客さまの声を受け、素材や色も増やしています。足に悩む女性が多いので、ますます需要は高くなるでしょう」(林さん)。

(価格はすべて税抜)