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2017Spring&Summer GDS見本市レポート

30ヵ国から740ブランド出展、来場者は1万2500人

2017年春夏シーズンの国際靴&雑貨見本市GDSが、7月26日から3日間の日程でドイツのメッセ・デュッセルドルフで開催された。
出展は30ヵ国から740ブランド、同時開催の「tagit!」は13ヵ国から180社を数え、前年同期よりもさらに減少し、屋内の展示スペースホールが4つとコンパクトになった。
日本人常連バイヤーからは「ムダなスペースがないので、回りやすい」とポジティブな声も出ているが、「前回まで出展していた取引先がいなくなり、代わりの会社を探さなければなりません」といった声も聞かれた。
小売店来場者は1万2500人と前年同期より2000人減少、小売店の販売に影響が出ないよう、今回は金曜日に重ならない火曜日からのスタートだったが、来場者アップにはつながらなかったようだ。
ヨーロッパ靴工業会のトップでもある、イタリアのグループ企業IHMのクレト・サグリパンティCEOは「ドイツのクライアントは商品を見ていくが、オーダーするのはミラノのショールームか見本市。GDSはもはやドメスティックフェアになっている」と厳しいコメントしている。
一方、「ガンター」のブースには、カナダやシンガポールなどインターナショナルバイヤーが多く来場したとコメントしており、企業によって集客に差があり、GDSのとらえ方はさまざまだ。
今回の結果を受けて、メッセ・デュッセルドルフのW・ドーンシャイト社長は「GDS実行委員会や業界と改めて相談を重ねたい」とコメントしている。




 2017年春夏商品トレンド

素材やソールでスポーティー表現

GDSはさまざまな形でトレンド情報を発信しているが、今回は全体イメージの「トレンド・スポット」に加え、新たに「トレンド・コード」エリアを設け、8つのトレンド・コードに沿ったコーディネイトをウエアと靴で具体的に来場者に紹介した。
トレンド・コードのひとつに「TheSportiveFusion」とあるように、「スポーティー」はトレンドキーワードにははずせない要素。軽快にファッションを楽しめるさまざまな靴が登場している。
たとえば、「ハッシア」では、さりげなくあしらったスワロフスキーや、マットなメタリックでスポーティー感覚のエレガンス商品を提案。コンフォート系では、スポーティーソールを使ってエレガントに表現した商品が充実している。
「チエ・ミハラ」ではスニーカーやエスパドリーユが新しく登場。「ディーゼル」「カルバン・クライン」でもスタイリッシュなスニーカーを提案しており、デザイナーズブランドが発信するスニーカー人気はまだ続きそうだ。





 注目企業・ブランド紹介

エコーキッズ(ECCOKids)

「エコー」ブランドのキッズラインを発表

GDS初出展の「エコーキッズ」は、デンマークブランド「エコー」のキッズライン。上質な素材を使用したスカンジナビア・デザインは、キッズにも反映されている。
ウォーキングタイプでは、新しいモールドソール使いのソフトでイージーなデザインを提案している。ファッションラインも充実しており、モノクローム柄、バスケットデザイン、温度によって表面が変化するレザーを採用するなど、話題性のあるコレクションが提案されている。



ピコリーノス(PIKOLINOS)

16ヵ国で販売されるグローバル・ブランド

スペインの「ピコリーノス」は、シーズンを通してナチュラルレザーを採用、デザインで変化をつけている。ハンドメイドで生産されたコレクションは、はきやすくてファッション性もあり、世界中にファンが多い。
現在、16ヵ国に販売されており、日本でも販売されている。父親の跡を引き継ぎ2代目となるJuan・Manuel・Peran・Bazan社長は「私たちは日本のメンタリティーのように納期、支払い期日をしっかり守っています。ビジネスにおいては重要です」と語っている。




ウェンズデイ・ウィスキー(WednesdayWhiskey)

ポルトガル生産のペイント・シューズ

2013年にスタートしたオランダの「ウェンズデイ・ウィスキー」は、ダブリンに住んでいる友人のクローゼットの中身をイメージしてつくられたブランド。ポルトガル生産で、メンズ、レディスのカジュアルシューズを提案している。
今シーズンは、オランダのアーティスト、パブロ・ルッカー氏とコラボレーション。オリジナルペイントをプリントしたコレクションを発表、会場ではライブペインティングを披露した。


ゴードン&ブロス(Gordon&Bros)

タトゥーレザー・シューズを提案
ドイツの「ゴードン&ブロス」は1988年に誕生したクラシック&コンフォートブランド。今シーズンからタトゥーエディションを発表、オリジナルのタトゥーレザー・シューズを提案している。
会場では、アーティストがタトゥーパフォーマンスを披露した。


シューヴィータ(ShoeVita)

靴をカスタマイズしオンラインで販売

初出展の「シューヴィータ」は、3Dキャドを使って靴をカスタマイズ、オンライン販売システムを提案している。
ユーザーは、カッターシューズやパンプスなどシンプルな22デザインに、それぞれ70タイプのカラーやマテリアルを選択できる。
ウーマン、マザー&ドーター、マンと3ラインを展開しており、サイズは32〜45と幅広い。会社の拠点はフランクフルトだが、生産はポーランドで行っている。
ショップのタイプによって扱い方は様々だが、会場ではどのようにこのシステムを利用するか等の説明を行った。



ベルケマン(Berkemann)

スポーティーなコレクションを発表

イノベーションコンフォート「ベルケマン」は、有名スポーツメーカーが採用している3Dエアニットを使ったスポーツタイプのコレクションを発表した。
会場では、軽くて丈夫な3Dエアニットを実際に編みこんで、使い勝手の良さをパフォーマンスで披露した。



ニューフィート(NewFeet)

ファッションも考慮したオーソぺディック・シューズ

デンマークの「ニューフィート」は、ファッショナブルに仕上げたオーソぺディック・シューズ。かかとをシャープにし、つま先を幅広くした木型を使い、ストレッチ素材をアッパーに使い、余裕を持たせたベルトの設計で足に負担がないよう、考慮している。
糖尿病患者にも適した設計となっているが、一般のシューズと変わらないデザインが好評を得ている。


JJフットウエア(JJFootwear)

サイズレンジが広くほとんどの足に対応

「JJフットウエア」は、90年以上続くオランダのレディスシューズメーカー。ユニークなのがサイズ36〜44、ブーツに関しては筒周りがXS(30cm)〜6XW(60cm)まで展開しており、ほとんどの女性の足のサイズに対応出来る。
アンクルブーツに関しても、4タイプのウイズをそろえており、サイズに困っていた女性には朗報だ。




 
 インタビュー


ウテ・ヴィントハウゼン・キスさん

(メッセ・デュッセルドルフプロジェクトディベロップメントディレクター)


――今回は、展示会場がかなりコンパクトになりましたが
出展社が減少しているのは事実ですが、経済的に困難な状況でブースが小さくなった出展社もいます。前回まではかなりゆとりを持たせており、今回はムダなスペースをなくしたコンパクトなレイアウトにしました。来場者からはこのコンパクト感が好評です。

――今回の見所は?
「トレンド・コード」です。トータルコーディネイトでトレンドを発信しています。

――GDSはドメスティックな展示会という声がありますが
地域色が強い部分があるかもしれませんが、インターナショナルな展示会であるというスタンスに変わりありません。たとえば、ブラジルの出展社は、GDSがミーティングの場になっています。それぞれの立場によって違ってくると思います。

――今後の方向性について
テーマ、方向性をきめることは大事ですが、GDSが決めて導けるものではありません。毎年のトレンド、方向性は出展社側の意向によって決めていきたいと思います。