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特集 アクティブ・シニアを狙う
・シニア人口の比率がさらに伸び、元気なシニアがさらに増えている。
・介護ビジネスの市場が広がる一方で、アクティブなシニアを狙った健康ビジネスも多様化し、さらに盛んになっている。
・シニアビジネスでは、50代からを対象として想定できるが、店頭では年齢よりもライフスタイルでくくったほうがMDも構成しやすい。
・特集では、シニアマーケットに取り組む百貨店やコンフォートに強い売場をレポートしている。そこでは会話を通したコンサルタント販売の重要さや、これまでとは違う、新鮮な品ぞろえが求められていることがうかがえる。

 そごう横浜店(横浜・西区)

中敷き調整でより足にフィットする靴を推める


カラーやヒールものも受け入れられる
50代以上のアダルト層が、同店婦人靴売場の顧客層の約半分を占める。歩きやすさはもちろん、見た目を重視する人が増えており、見るからに足あたりが柔らかそうな皮革素材タイプやファスナー付のウォーキングシューズは、「年配用」と認識しているためか、敬遠されることが多い。
チャンキーヒールや石使い、光る素材などの流行が入っているデザイン、ほっそり見えるパンプスやコンフォートシューズなど、若々しくスマートに見えるタイプが好まれている。カラーは、黒は定番として人気があるほか、赤系、ボルドー、グレー、ネイビーなど、これまではかなかったような色に挑戦する人も増えている。
ヒールは3〜5cm程度で、あるほうが良いという人が多い。これまで3cmヒールを愛用していた人に、5cmヒールを試しにはいてもらうと、はき心地もサイズもフィットし、いつもより素敵に見えるので、購入するケースも目立つ。
「底材や内部のクッション材など、外からは見えない部分にも機能性や気遣いが見られ、これまで敬遠されていた方からも支持されるようになりました。メーカーさんの研究成果で、はける可能性が広がっています」(婦人靴売場 バチェラー・オブ・シューフィッティティング 田中友紀さん)。

旅行時のニーズを細かに聞き出す
中心ブランドは「アシックスウォーキング」「イナバ」「銀座ヨシノヤ」など。オリジナルブランドの「リミテッド エディション」も人気が高い。パンプスからカジュアルシューズ、ウォーキングシューズまで商品の幅が広いこと、カラーの打ち出しや流行のチャンキーヒールなど、インパクトがあるものも多いこと、シューフィッター監修のもとに製作されているので、はき心地のよいことなどがその理由だ。
最近、ニーズが高いのが旅行用のシューズ。「食事の時にもはけて、すてきな洋服にもコーディネイトできて、歩きやすい」というのがキーワードだ。
こんなときには、旅行の用途などを会話などから得て、たとえば寺院を巡り歩くような旅行ならヒモ靴を勧めたり、歩くことが少ないようならスリッポンを勧めたりと、その人に合ったものを提案する。歩きやすさを優先するか、スタイルを優先するかを、会話のなかからつかんでいく。
売場では大きめのサイズの方が楽なので、「そちらがいい」といわれることが多い。
「そこはプロとして前後のサイズも試していただき、大きいと歩いたときに痛くなるので、その方に合ったサイズを勧め、理由もきちんと説明するようにします。また合わせて、簡単にはけるものは、簡単に脱げるという話もします」(田中さん)
同店では中敷きの調整もできるので、その人にフィットするように調整する。また、少しゆるくなっても、後からの調整も可能で、「アフターケアもしてもらえて、安心ね」と顧客の評判も上々だ。