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地方専門店 足と靴の相談室 TOMOE(埼玉・富士見市)

靴とともに、楽しいおしゃべりと情報もお渡しする


 東武東上線鶴瀬駅で下車し、駅前商店街を抜けていくと、「足と靴の相談室 TOMOE」がある。十字路に約20坪の店舗を構えて17年。地元の顧客たちと暖かな交流を続けながら、営業を続けてきた。
 商品ラインナップは、「ヴィジェヴァノ」(キタ)、「アサヒメディカルウォーク」、「フィズリーン」(リファレンス)、「ストレッチウォーカー」(のさか)、「パワークッション」(ヨネックス)など日本の靴を中心に、「ガンター」、「リーカー」、「レモンティ」などのドイツブランドも多く扱っている。
 顧客は圧倒的に年配の女性が多い。滞留時間は長く、1時間くらいは普通だ。長谷川春代店長は、最初に足型をとって足囲・足長を見て、その人に合った靴をじっくりと選んでいく。
接客トークは靴や足のことばかりではない。「作業するから、長靴がほしいわ。実は主人の実家の片づけに通っているの」などなど、ニーズとともに自分の生活のことも多く語られる。中には2日に1回くらい、話したいために立ち寄る近所の顧客もいるほどだ。これは、親しみやすい長谷川店長の性格によるところも大きい。接客ポイントは、「相手に失礼のないよう、お話をなるべくじっくりと、庶民的に聞くこと」だ。あくまで聞き役に徹することが大切だという。



40代後半になってから靴の勉強を始める

 ショップは、長谷川店長とご主人の2人三脚で営業している。長谷川店長は、お孫さんの誕生をきっかけに、40代後半から靴と足について学び始めた。足の発育に、靴が重要な働きをすることを知ったからである。学校に通って専門的な知識を得てからベビー靴のショップを目指したが、地域性やアイテム数の少なさから考えて無理と判断、一般靴の販売に切り替えた。最初は自宅に少量の靴を置いてスタート、後に現在の場所に店舗を構えた。
 「基本的に既成靴を販売しています。難しい方は義肢装具士さんをお呼びして、オーダー靴をつくってもらいますが、外反母趾や偏平足などの方はインソールを直してフィッティングしています。靴の機能も優れていますので、十分健康を保っていただけると思います」(長谷川店長)。
 お勧めは「ストレッチウォーカー」で、日本古来のはきものである「一本下駄」を原点としたもの。身体の軸を意識するように設計されていて、ローリングして歩きやすい。「ヴィジェヴァノ」は、一見細身に見えるが外反母趾の人でもゆっくりはける構造になっている。トウが少し上がっていて、けり出しやすい。

雨の日は新しい靴で楽しくお出かけしよう

 長谷川店長は、接客のときには必ずプラスアルファの情報を伝えるようにしている。
 「毎日一万歩、歩かなくっちゃ」というお客には「無理して歩くことはありませんよ」と伝える。時には、「小さい靴べらを持ちましょうね、指ではくと靴も傷むし、小さい靴べらでさっとはいたほうが上品でしょ」とさりげなくエチケットにも言及する。
 「お客さまに、『雨が降ったら古い靴』というのはやめましょうといっているんです。革は雨にぬれてもお手入れすれば長持ちします。いい靴をしまい込んでも、何の意味もありません。雨の日は新しい靴、高級な靴をはいてお出かけしましょう。そのほうが気持ちも明るくなります。ソールのすり減った靴をはいて転んでしまうと、かえって高いものにつくと思いませんか」。
 最近は、「あしラブラシ」(写真)がお勧めだ。足指の間をスッキリ洗える専用ブラシで、一見歯ブラシにグリップがついたような形をしている、「足育研究会」のオリジナル商品だ。足を見ると爪を痛めている人が多いため、お勧めすることにしたという。富士見市のカタログ「ふじみ逸品」にも掲載させてもらった。甘皮をマッサージし、爪をブラッシングして健康に保つ。
 「店頭に、『ビールは出せませんがお茶は出せます』と看板を出したこともあるんですよ。下町的な気質の街ですし、いつまでも地元の親切な靴屋さんでありたいです」と、長谷川店長は笑う。今日も店頭は、ショッピングとおしゃべりを楽しむ顧客たちで賑わっている。

足と靴の相談室 TOMOE
埼玉県富士見市鶴瀬2−18−11
TEL:049・254・1192
http://tomoe92.web.fc2.com/